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安息地

「の、ののの.....」

サトーは戦慄した。

「の...?なんじゃ?」

首を傾げるのじゃロリ。

「.........のじゃロリ!」

サトーはつい口に出してしまった。

「...の、のじゃロリ?聞いたことない言葉じゃの...」

そう言いながら、薬草を石ですり潰す。

「ほら、ちょいと痛いぞ」

のじゃロリはサトーの膝の傷にその薬草を押し当てる。

「ぎゃあああ!!」

サトーは悲鳴をあげる。

「我慢せい。男じゃろ?」

「くっ.....」

「おお、やるではないか。それでこそ男じゃ。」

「....や、や......」

「や...?今度はなんじゃ」



「.....や、やぶ医者.....」



ポコンっ!


サトーはのじゃロリのげんこつをくらい、また気を失った。


ーーーーーーーーーー



「ーーーはっ!ここはどこだ!!」

「わかっとるじゃろうが。」

数時間後、目が覚めると、のじゃロリの姿。

ずっとサトーのそばに居たようだった。

いつの間にか足の痛みは嘘のように引いていた。

家は、暖色のランプで照らされているおかげで、安心感がある。木製の小屋のような温かみのある家だった。

「それで.......あなたは?」

サトーが恐る恐る尋ねる。

「わしの名はルー。ここ、アルカ雪原で薬草の研究をしておる。」

「アルカ雪原.......はっ!」

サトーは思い出した。自分が何をしたのかを。そして仲間を失ったことを。

「お仲間ならもう居らんかったぞ。わしが来た時には、全て魔獣に食い尽くされておった。」

「.........うっ......くそ...............」

淡々と言われるせいで妙にスっと入ってくる。ボイド、ウォーター、.........ウル。


「...なぜあなたはここに?」

「わしか...」

ルーは少し黙ると続けてこういった。

「わしは.......このアルカ雪原から出られんのじゃ。」

「.........えっ?」

ルーは少し悲しげな顔を見せたあと、真顔でそう言い放った。

「昔の話じゃ。気にする事はない。...それで、若造、名は?」

「お、俺の名前は.....っ」

はっ...!お、オレ.....?そうだ。俺は記憶を.....

現世の名は覚えている。

自分のことについても...

...だが、この世界の俺はもうサトーだ。それを変えてはいけない。だからこそ...みんなの復讐を...

「俺の名前はサトー。訳あって旅をしています。助けてくれてありがとうございます。ルーさん。」

「.........そうか...サトーか。なるほどな。」

「な、何がなるほどなんですか...?」

「ふふ...いいや、こっちの話だ。」

ルーは不敵な笑みを浮かべると、すぐに平常心に戻る。小さな体をよいしょと持ち上げ、椅子から降りると、台所へ向かった。

「今飯を作るから、待っておれ。」

「ありがとうございます。」

もう夜だった。気づかないうちにだいぶ寝ていたようだ。何日くらい過ぎたのだろうか?とても長いこと寝ていたような...

サトーは窓の外をじっと眺める。相変わらずの猛吹雪で、窓がガタガタ音を立てている。

美味しそうな匂いが小屋の中を埋め尽くす。

「美味そうな匂い...ルーさん、何を作ってるんですか?」

サトーが遠くへ問いかけると、ルーは決め顔で目を細めながら。

「とっておきじゃ、ひみつ。」

とだけ言った。

しばしサトーはこの小屋を観察することにした。小屋の中は植物や果物、小瓶やらと、いかにも研究者らしい部屋をしていた。部屋は綺麗にしており、片付いていた。こんなにも物があるというのに全く散らかっていない。実際、この小屋は広い。小屋と言うより山荘だ。その山荘を1人で、あんな小さい子が...。凄いことだ。実際の年齢を聞いたわけではないが...

見たところ、ルーはこの山荘で1人で生活しているようだ。他に人の気配が全くしない。

不器用に料理する姿は、料理の手伝いをする子供のような可愛げがある。同じ背丈程伸びる長く茶色い髪は後ろで結ばれることなく、揺らされている。

「できたぞ。」

長耳をピクピクさせながら料理を運んできた。

「おお...」

シチューだった。これは日本のものと大差ないほどに美味しそうだ。

「ふーふー...」

ルーさんはシチューをスプーンに取ると、シチューを冷ますようにフーフーしだした。

「ほら、口あけろ」

「い、いや...それくらい自分でできま......ッッ!」

ベッドに手をつこうとした瞬間、サトーの腕に激痛が走った。起き上がれないほどにサトーの腕は損傷を受けていたのた。包帯で応急処置はされているが、両腕の骨がぐにゃっと曲がったのが今の瞬間わかった。

「こらこら、まだ安静にしないとダメじゃ...ほら、あーん」

ルーはスプーンをサトーの口に近づける。エルフとは言え...見た目は子供だ。流石に大の大人がこんなこと出来るはずがない。恥ずかしすぎる。

「あーん」

サトーは躊躇なく口を開け、シチューを頬張った。

「美味しいじゃろ。」

「は、はひ。おいひーれふ。」

サトーはその後も介護されながらご飯を食べた。

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