謁見
帝都に到着したのは、その三日後のことである。俺たちは堂々とアイテム欄を利用しまくって、いい寝床、いい食事をしていたからか若干周りの兵士から白い目で見られたが。
兵士たちの兵站を担当している者から熱烈な勧誘を受けたがノーサンキューだ。
帝都の様子は一言でいえば灰色といった感じだ。よくいえば質実剛健といった印象を受ける街だった。どこの建物も同じような造りをしている。合理性を求めている。まあ、実際帝国は寒く、土が痩せており、豊かな国ではない。効率を求めていった結果こういう帝都になったのだろう。
帝都の中をゆったりと馬車で進んでいく。このまま城に向かうらしい。しばらくすると、城が見えてきた。城かあれ……砦じゃないか?そのまま戦いに使えそうな造りをしている。
「おいロイアルク。あれ城じゃなくて砦だろ」
「一応城ですよ。万が一の際の防衛戦に備えて作られているんです」
「それであんな造りなのか。すごいな帝国の考え方」
馬車が城に着くと、兵士が合図を出して大門を開けさせる。無骨な鉄製の大門をくぐり抜けた。石畳の広間に迎え撃つように構えられた城。これ、侵入者を城の上から集中攻撃できるように造っているんじゃないか。
馬車から降りて、ジャスコについていく。
どんな最終決戦を想定しているのかと怯えつつ城に入っていく。入り口の通路がやたらと狭い。王国の入り口は威厳と余裕のために広く造っているに対して、侵入した敵が大勢入らないように造っているのだろう。
少しして、やっと城らしい広間に着いた。飾られているのが金属鎧や武具が多くますます戦いの気配を感じさせる。偉そうな人がいった。
「これより、帝王に貴殿らの到着を伝えてくる。少々待っていてくれ」
「はい」
なんとなしにクーデリカとマリアンヌと一緒に広間の武具を見回る。ロイアルクは実家だからかどことなく居心地が悪そうだ。
ほんの数分待っていただけだろう。さっきのジャスコが戻ってきた。
「帝王が貴殿らと早速会いたいとのことだ。謁見室へ向かおう」
早いなあ。帝王の対応が。
ここだけは贅を凝らしたのか、豪奢な鋲を打っている扉の前に向かうと、ジャスコが何やら唱えて扉は自ら開かれた。
石畳の謁見室に敷かれた赤絨毯。その奥の階段を上ったところにその男は座っていた。この帝国の頂点。帝王ダルトンだ。