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翡翠の剣

 どうにかあいつの口を黙らせることできないかと思っていたが吟遊詩人はハープを弾いて歌いはじめていた。


「ああ!見えるかあの難攻不落のアイスビッシュ砦が!魔軍に奪われた人類の防衛の要が!」


 激しいハープの調べが辺りに響き渡る。観客も増えていく。俺はそっと翡翠の剣を収納した。


「多くの兵士が砦の攻略挑むもあまりの強固さに断念した。しかし、そのとき一人の少年が現れた。茶色の髪に涼やかな青い瞳をして翡翠の剣を背負った少年だ!少年はローレン将軍に進言する。『私に策があります。一日で砦を攻略して見せましょう』少年は卑しきゴブリンどもが砦に掘った穴を利用して砦を内から開いて見せた。作戦成功を告げる旗を振る少年。ローレン将軍はその隙を逃さない。巧みな指揮を持って砦に打って出た。」


 そんなこと言った覚えはないけどな。


「しかし、敵も魔軍。巨大なサイクロプスが迎撃に来た。振るわれる棍棒に被害を覚悟した。しかし!そのとき翡翠の剣を持った少年が颯爽と現れてサイクロプスの首を落とす。この知略と武力に秀でた少年の名はレク!」


 ああ、こいつ実名を出しやがった。


「そのもの数々の騎士の遺体を繋ぎ合わせた不気味な敵やサイクロプスどもを打ち倒しながら砦の最奥に目指した。そこはまさに地獄。数々の死体が材料としてぶら下げられた狂魔女クライディアの工房。レクは足を踏み入れる前に十人の勇気ある兵士たちにいった。『ここが狂魔女クライディアの居場所か!お前たちは生き残ることだけを考えて行動しろ』濃厚に漂う死の気配の中に踏み込んだ。すると聞こえる『生まれてこないの、生まれてこないの、生まれてこないの』不気味に呪うような声。その声の主こそ狂魔女クライディア。血走った目でこちらを睨む。『わたしの子どもが生まれてこないの』放たれる縫い合わされた騎士どもがこちらに迫りくる。十人の勇士が必死に耐える中、レクは颯爽と不気味な騎士どもを刈り取っていく」


 やけに詳しいな。あの場にいただれかがいったのか。


「『邪魔しないで、邪魔しないで。邪魔しないで』狼の脚をもったゴブリンどもが襲い掛かってくる。倒れる勇士をレクは魔法を以て助ける。『消えて、消えて、消えて』さらに強大な敵が現れる。人の皮をした竜だ。レクは竜のブレスの中を颯爽と近づいていく。胴体を薙いだ。痛みにあえぐ竜は空を飛ぼうとする。レクはその隙を見逃さない。翼を叩き切ると、落ちる竜。痛みに暴れる竜に闘牛士のように華麗に避けては切りつけるレク。竜まで討たれたことを知った狂魔女クライディアは自ら立ち上がって、レクを殺そうとする。レクは盾で弾いた」


 絶対あの場にいた誰かだろ。


「レクは言い放つ『うるせえ、もう黙ってろ』。狂魔女クライディアの首を絶つ。レクは兵士たちに向かうと檄を飛ばす。『アイスビッシュ砦の主は俺が討ち取った。後は残った雑魚どもを一掃すればこの戦い俺たちの勝ちだ。あとひと踏ん張りだ。やるぞ!』その後も鎧袖一触で敵を討つレク。王城に招待されるレク。王の前に出るレク。王は言う『褒賞が何がよい。なんでもやろう』レクは答える『ユリア姫と婚約させてください』そうレクは愛のために戦っていたのだ。称えよ、孤児から勇者となったレクを、褒めよ、人類の守りを取り戻したレクを」


 なんかユリアのために戦ったことになっている。ユリアと出会ったのはアイスビッシュ砦の後だ。……仲間の視線が痛い。

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