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テグ平野のレベリング①

 それでは準備を終えた俺たちはテク平野に足を踏み入れた。平野というだけあってそこらスライムとラビットが見えた。


「それじゃあ三人で頑張ってこい、俺は近くで助言するだけだ。……さてと」


 俺は翡翠の剣を腰から引き抜いて重力渦の魔法を詠唱する。ロイとクーデリカだけだったら危険だが、マリアンヌ……タンクがいる。装備を整えた今、ここらへんで危険なモンスターはいなさそうだ。


「マリアンヌは挑発を討つ準備をしてろ。クーデリカはマリアンヌに防御付与を詠唱しておけ。ロイは一匹ずつ確実に仕留めることに集中しろ」


 さあ、レベリングの時間だ。俺が推測した通りこの世界のバージョンが1.00ならばレベリングの仕様も変わっていないはずだ。さて、今日中にどこまで行こうか。わくわくである。


「さて、俺も詠唱を重ねてっと。重力渦発動と」


 俺もしっかりと詠唱を重ねて、範囲の拡大をする。目の前には重力系の魔法特有の紫色の巨大な魔方陣が現れる。そこから発生した重力の渦は視界にいたモンスターを次々と吸い寄せる。ロイとマリアンヌは覚悟を決めたよう装備を構える。クーデリカ必死に防御付与の詠唱をしていた。マリアンヌの防御が強化された。


 マリアンヌは覚悟を決めたような顔をしてから、大楯と剣を頭上で打ちつけながら叫んだ。


「うおおおおおおおお!」


 おお。穏やかなマリアンヌがすると挑発行為は違和感の塊だな。クーデリカも目を丸くしている。マリアンヌの頬に朱が差した。


「違うんです。お嬢様。これが挑発の技なのです」


 恥ずかしい思いをしただけあって、その効果は絶大だ。俺、ロイ、クーデリカまでもターゲティングしていた。モンスターは今や一斉にマリアンヌを見ている。

 クーデリカがロイに攻撃付与を掛けた。ロイは俺の指示した通り、一対一を作るように心がけている。2人に付与魔法を掛けたクーデリカが精神波で攻撃に移行するのがわかった。クーデリカが放った魔法はスライムを一撃で粉砕した。


 マリアンヌは戦ったことがなかったのだから仕方がないが、敵の攻撃に過剰に反応して防御している。クーデリカは初めて攻撃魔法を使えるようになったのが嬉しかったのか、付与魔法が時折切れている。ロイも初めて取得した剣技に振り回されている。俺は声を掛ける。


「マリアンヌ攻撃を怖がりすぎるな。試しにスライムの突進を大楯なしで受けてみろ。―――そうだ。痛くないだろう。マリアンヌの固さならこの平野なんて敵じゃない。冷静に攻撃をさばけ。挑発は切らすな。クーデリカ、攻撃に集中するな。それより付与に気をつけろ。そのほうがパーティーの役に立つ。ロイはいちいち一閃を使って仕留めるな。弱っている奴はただ切れ、効率的に倒すだけ仲間の負担が減るぞ」


 動きが変わった。マリアンヌはやたらと大楯を振り回さず、敵の攻撃の強弱を見極めようとして動いている。クーデリカも付与魔法を中心とした動きになった。マリアンヌとロイが動きやすそうにしている。ロイも一閃の連発はせず、クリティカルを狙えるときはそのまま切り、一閃に耐えられても、続く攻撃で敵を倒していった。


 しばらくして、ロイが最後の敵を切った。俺は『パーティー』を開いてみんなのレベルを見る。やはりバージョンは1.00だったか。このバージョンは仲間とのレベル差が少なくなるようにパーティー内に高いレベルのキャラ、おおよそが主人公になるのだが、これに合わせてレベルが上昇しやすくなっている。今回は俺のレべルが高いため、みんなのレベルが上がりやすくなっている。これなら次も行けそうだ。


 とりあえず。みんなに声を掛ける。


「ロイ、最初一撃で倒せなかった敵が一撃で倒せるようになったろ。マリアンヌはどんどんモンスターの攻撃が弱くなっていったように感じたんじゃないか。クーデリカは魔法の倍率が上がっていくのを感じただろう。これが戦士の寵愛だ」

「それはともかくレク。説明が足りなすぎます。怪我人が出たらどうするつもりだったんですか。パーティーが壊滅していましたよ」


 頬を膨らませるクーデリカ。その心配はない。


「俺ならどんな敵にも圧勝できる。なにも危険はなかった。さて」


 俺はみんなが倒したモンスター達の膨大な死骸に手をかざした。死骸は光の粒となって消えた。


「本来ならモンスターの討伐証明となる部位を取らなきゃいけないが、今日はレベリングが目的だからな。場所を変えて、もう一度敵と戦うぞ」

「その光の粒は何なのですか?」

「これは物を収納する加護だ。今回はモンスターの討伐部位を収納している」


 クーデリカが不満そうな顔をしている。俺の能力はゲーム由来だしな。


「さあ、質問は以上だ。テク平野のもっと奥まで行くぞ」


 今日中にこいつらをどこまで引き上げられるだろうか。楽しみで仕方ない。

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