魔法使いになるためには
「次はマリアンヌ。お手を拝借」
ひょいとマリアンヌさんの手を握ると、マリアンヌさんは恥ずかしそうにしている。とはいえ、ロイのことをみていたためか、緊張と期待の入り混じった様子だ。
「おっポイントが足りている。挑発と防壁の二ついっておくか」
マリアがゆっくりと目を閉じて、そして開く。その目には深淵が宿っていた。そして頬が赤くなっていく。あー、マリアンヌさんには挑発は恥ずかしいかもしれない。
「レク。防壁は良いのですが、挑発はこのようなことを本当に……?」
「クーデリカの安全のためだ。諦めろ」
クーデリカは魔法特化なので防御面は甘くなってしまう。それをカバーするには挑発は必須だった。
「最後はクーデリカだ。お手を拝借」
クーデリカの手をとろうとすると、さっと避けられてしまった。どうやらお嬢様はお恥ずかしいご様子。
「クーデリカお嬢様、覚悟が出来ましたら手をお取りください。私が魔法をかけて差し上げましょう」
顔を赤くしながら、そっと手を乗せるクーデリカ。さてさて、クーデリカは異様にスキルポイントが多い。やはりモンスター討伐以外の稼ぎがあるに違いない。
「さすがは努力したといっていることはある。攻撃付与と防御付与、あとは精神波の魔法と」
クーデリカは複数の魔法を一気に覚えた影響か、目を回した。ふらふらするクーデリカが足をもつれさせたため、腰を掴んで支えた。
「おっと。セーフ」
腰に手を触れられたクーデリカがもじもじとしている。そんなに恥ずかしがるようなことなのか。意識しすぎだと思う。
「レク、もう大丈夫です」
「分かった」
俺はクーデリカの腰から手を離すと、できるだけ自信たっぷりにいう。
「精神波をあの岩に向かって撃ってみな」
一瞬不安そうな表情をしたクーデリカが目をつぶって詠唱をはじめた。クーデリカは通常の精神波を唱え終えて、追加詠唱を行う。よほど自身の魔法に不安があるのだろう。出来る限り威力を上げるつもりらしい。
透明な波のようなものが放たれた。岩は砕ける。
クーデリカは砕けた岩を呆然と見ている。そのあとの表情は形容しがたい。怒っているのか、悲しんでいるのか、喜んでいるのか分からなかった。
なんとかしてクーデリカを褒めて、認めてあげたい。
「クーデリカが一気に三つも魔法を覚えられたのは詠唱の練習のお陰だろうから誇っていいよ。普通は一つだから」
その言葉に、クーデリカが喜んでくれたのが分かった。やった。
気持ちが落ち着いてきたのか、クーデリカが疑問に思ったことを聞いてきた。
「戦闘でのレクの役割はなんのですか?」
「俺は監督役だ。強いのが出たら俺が討つ」
俺は最強になる男だからな。




