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役割と能力

 まずは各人に自分の役割を理解してもらわないといけない。


「さて、まずはどう戦うのかを教えておこうか」


 俺は王国でいう妖気の森のような場所である、テク平野に向かいながら全員をみまわしていった。マリアンヌとロイはこちらをじっと見ているだけだが、クーデリカはうんうんと頷いている。子どもみたいだな。子どもか。


「まずはマリアンヌ。マリアンヌはみんなの守り手だ。敵を挑発して引き付けて、攻撃して激情を誘う。そして耐える役だ」


 華奢ではあるが能力は天性のタンク職。ここらの敵には負けないだろう。しかし、いままでモンスターと戦ったことがないからだろう。自信がなさそうにしている。


「レク、私はメイドとして働いていていました。そのようなことができるかどうか……自信がありません」


 俺はできるだけ自信ありげに言った。


「大丈夫だ。マリアンヌの能力はその役、タンクっていうんだけど、向いているよ。やれば絶対できるから」

「はい。そこまでいうのなら、タンク?をやってみます」


 よし。俺の強烈な押しのお陰で折れてくれるらしい。ありがたい。


「んで、ロイは剣士、攻撃役だ。マリアンヌさんに敵を任せながら、一体一体丁寧に倒していけ」

「はい。分かりました」


 ロイは元々戦士の寵愛を受けるために戦うつもりだったのだろう。やる気に満ち満ちている。

 そして、最後はクーデリカか。今にも倒れそうなほど、青い顔をしている。今まで実家で無能だといわれ続けてきたのが効いているのかもしれない。


「最後はクーデリカ。バッファー兼アタッカーだ。マリアンヌさんに守りの魔法を維持しながら、余裕があればロイに攻撃の魔法をかける。それでも余裕があったら、魔法で敵を撃て。あとはマリアンヌが守ってくれるだろ」


 クーデリカはとうとう気持ちが決壊したかのようにいった。


「レク。わたくしはまともに火力のある魔法は使えません。守りや攻撃の魔法も知りません」

「そうかもな。じゃあ使えるようになればいいだけだ」

「魔法を覚えることはそんなに簡単なことではありません、詠唱などの努力を積み重ねてやっと覚えるものなんです」


 うん?ゲームではスキルポイントはモンスターからしか得られなかったが、この世界では特訓で得られるのか。そうじゃないと、毎日素振りしても身につかないだろうしな。


「じゃあ試してみよう。……うん?おかしいな操作できない。ゲームじゃこんなことなかったのに。ロイ、来い」


 俺は『スキルツリー』から仲間にスキルを習得させようとした。しかし動かせない。何か条件がある。まず思いあたるのは距離だった。なのでロイを呼びつけて肩を掴んで試してみる。

 

「操作できた。肉体の接触がキーなのか。……やけにスキルポイントが多いな。入手方法はモンスターを倒すことだけじゃないってことかな。さっきクーデリカが詠唱の練習とかいっていたし。とりあえず、一閃と攻勢でいいか」


 ロイが何故か身体を震わした。怯える顔でこちらを見た。


「レク様。僕は今剣士の技のひとつである。一閃を覚えました。あなたは武神か何かでしょうか?」

「さあ?そういう加護を貰っただけの人間だと思うよ」


 本当にね。


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