装備更新③
「それじゃあ、装備を買いに行くぞ」
手続きを終えると、さっさと冒険者ギルドを出る。
しばらく大通りを歩くと、金床と槌のマークが入った看板がぶら下がった店があった。そういえば、聞いてなかったな。
「クーデリカ、いくら持っているの?」
「金貨三枚ですわ」
「それは少ない。俺からの借金だな。いずれ返せよ」
借金という言葉にオーガに告白されたような表情をするクーデリカ。でも金貨3枚では俺のバイオレントカウの皮鎧(サービス品)1つしか買えない。2人のフル装備を整えるのなら、金貨20枚はいるだろう。
とにもかくにもクーデリカの財布事情は分かった。武器屋へと入っていく。店内の飾り棚には様々な武器が飾られている。やはりこの店にもやはり中古の武器を突っ込んだ樽は置かれてはいなかった。さらばだ、デルフリ●ガー。
「やっぱりここにも中古の武器を突っ込んだ樽は置いてなかったか」
クーデリカが当たり前のことを言っているこの人は何?って表情をしている。
「クーデリカは……っとスタッフは家から持ち出しているの?」
家から突然追い出されたので、着の身着のままとのこと。追い出されたときのことを思い出させたのか血の気が引いている白い顔だ。
「あー、すまん。代わりにクーデリカには俺が持ってるショートスタッフをやろう。当分はこれでことが足りるはずだ」
クーデリカが古びたショートスタッフを見て、俺の幼いころに思いを馳せたのか―――9歳なので十分幼いが、ほほえましそうにしていた。その杖ゴブリンドロップなんすよ、とはいえる雰囲気ではない
「マリアンヌは自分が無理なく振れる片手剣を探してくれ、軽めがいいぞ」
「はい、わかりました。しかし軽めなのはなぜでしょう?」
「俺が見たところマリアンヌは守りの才能がある。攻め手ではない。だから素早く取り回しができる方が便利だからだ」
マリアンヌは真面目にいくつかの剣を振ってみては、剣を試した。十本ほど試したときか、納得する剣があったらしい。
「これをお願いします」
俺が金貨三枚を払う。
「マリアンヌ、マリアンヌは私の付き人なのだからわたくしが支払うべきよ」
「そう?じゃあここは支払ってもらおうかな。どうせ、防具屋で二人とも俺が支払うことになるけど」
これでクーデリカの手持ちは0だから。よかったな俺が優しい金貸しで。求めるものは利子ではなく努力だ。
店から出るとそのまま数軒隣の騎士のヘルムのマークが入った防具屋に入った。様々な金属鎧や皮鎧、金属で編み込んだ服などが置かれてあった。
「マリアンヌは重くなっちゃうけどチェインメイルと手甲と大盾にブーツを。クーデリカは守りの魔法を編み込んだローブとマントにブーツを選んでくれ」
クーデリカさんは守りのローブとマント選ぶのは種類が少ないから簡単だったが、ブーツを選ぶのは、しっくりこないのか難航していた。長い付き合いになるかもしれない。ゆっくりと選んでくれ。マリアンヌはタンクなので色々つけては確かめていた。決まったのは小一時間後のことだ。十分早いな。いいことだ。
「しめて、金貨十五枚です」
「はいよ。どうぞ」
「ありがとうございます」
クーデリカが微妙そうな顔をしている。借金の額が大きいからだろう。
「催促なしのあるとき払いでいいから。それに何度も言うけど、俺は二人を一流の冒険者にするつもりだ。すぐに支払えるよ」
クーデリカは安堵したらしい。仲間が変なことで悩むのは困るからな。
「これで準備は整ったな。冒険に行こう」
さあ、何はなくともレベリングだ。