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妖気の森でレベリング②

 この三日間、スライムやホーンラビットを倒し続けたおかげで、レベルが8まで上がっていた。今日からはもっと深くに入るつもりだ。

 安定を取るならレベルが10になるくらいまでは、レベリングをしてから潜ると間違いがないが、時間が惜しい。


 今日までに貯まったスキルポイントが利用してパリィ後の攻撃力を上げる『反撃』、攻撃力を上げる『攻勢』のスキルを取得しておく。ピクシーの相手に必須になるであろう『ダッシュ回避』取得済みなのを確認して一呼吸。身体の空気を一新する。さあ、挑戦の時間だ。


 歩きながら『マップ』を参照しつつ森の深部へと向かっていく。深くに行くにつれて紫が濃くなっていく。


 目の前の木々の間から花をはやした人型の大根、目が真っ黒な闇を宿しているモンスターが現れる。ピクシーだ。ピクシーは、こちらを発見すると両手を振り下ろすように、緑の弾を放ってきた。


 これが、いままで深くまで冒険しなかった理由、魔法攻撃だ。魔法攻撃はパリィすることができないため、いままでここまでは入らないようにしてきたのである。しかし、それも今日までだ。魔法の着弾の直前にダッシュ回避を発動する。ダッシュ回避の無敵時間を利用して、魔法攻撃を避けた。そしてジャスト回避が発動する。動きを止めたピクシーに近づいて、その額に短剣を突き刺した。そして、そのままの勢いで蹴り飛ばした。


 のっそりと立ち上がるピクシー。流石にここまでのクラスのモンスターとなると一撃では倒せない。ピクシーは奇妙な声を上げると、奥の木々の間からもう一匹のピクシーが現れた。これがあるからレベルアップが必要だったのだ。

 奇妙な声を上げ続けるピクシーに対して、もう一度短剣を刺して倒した。


 新しいピクシーに対して、しっかりと距離を取って相対する。今度のピクシーは近づいて腕を振るってきた。これにはしっかりとパリィをして反撃の一撃を加える。今度は一撃で倒れる。


 息が荒くなっている。知らず知らずのうちに浅い呼吸をしていたみたいだ。今のレクのレベル、装備から魔法防御力は低いので、三発魔法攻撃を受けたら、こちらが倒されていただろう。


 とはいえ、三発だ。ヘルモードでは一撃で刈られるため、必死になってダッシュ回避の練習をしていたから、大丈夫だとは踏んでいた。やはりなんとかなりそうだ。


 妖気の森の入り口と違ってここまでくると、ギルドの報酬も大きく異なる。安全第一かつ挑戦しながら早くレベリングと装備更新をしなければならない。


 ふと、二匹目のピクシーが現れた木の根元をみると、アイテムの表示があることに気がついた。薬草である。幸運である。とりあえず持っておいて、たくさん集まったら納品しよう。


 しばらく薬草を集め続けていると、子どもぐらいの体躯の醜い人型のモンスター達がいた。鉤状に曲がった鼻、ギラギラとした目、ゴブリンである。ゴブリンもまた注意が必要なモンスターである。集団で行動すること、様々な武器や魔法を使ってくることもある、知性があり稚拙な罠を作ることもある。


 背後に回った俺は、最後尾にいるゴブリンの首を短剣で切った。ゴブリンが倒れる音に他のゴブリンたちが気づく。

 最も近くにいたゴブリンが短剣を振りかざす。しっかりとパリィをして反撃の一撃を加える。魔法を使えるゴブリンが攻撃後の隙を狙ってファイアボールを放ってきていたが、ダッシュ回避からのジャスト回避の発動。スペルキャスターのゴブリンの喉を短剣で突き刺す。最後のゴブリンは混乱して、怯えていたので短剣を振るって倒した。


 距離を取って、アイテムウィンドウの表示を利用してゴブリンが死んでいるかの確認をしっかりと行う。ゴブリンは狡猾だ。死んだふりにだまされて殺された冒険者の話は多くある。


 アイテムストレージにゴブリンの死体を入れていく。全身が光の粒になって消えるが、アイテム欄にはギルドでの討伐の証拠となるゴブリンの耳が表示されている。まだまだ、自分の能力ながら謎は多い。


 さて、ゴブリンのドロップのチェックの時間である。

 ゴブリンは落ちている武器や倒した冒険者の装備品を使っている。そのため、稀に価値の高いものを持っているゴブリンがいることがあるのだ。

 ゲーム時代には、防御力の上がる指輪を持ったゴブリンを見たことがあった。

 今回は外れだ。錆びた短剣に、棍棒が二つ。やや当たりが、スペルキャスターのゴブリンが持っていたショートスタッフである。今後魔法を使うことがあるかもしれない、持っておこう。


 それからしばらく薬草集めをしながら、ピクシーやゴブリン相手に戦った。今日のところは被弾することはなかったが、もっと大きな集団相手になるとそうもいってられないだろう。要修行だ。


 帰りながら『パーティー』を開くと、レベルが10に上がっていた。目標達成である。これでミスが重なっても逃げられるだけのHPと防御力が手に入った。そもそもミスのことを考えるならパーティーを結成すればフォローしあえるのであるが、

 レベリングのことだけを考えるなら、ソロでの冒険が一番いいといえる。しかし、人類全体の戦力増強を考えるといずれはパーティーを組むこともあるだろうな。

 ただ、それはコレントの都市を守ってからになるだろう。


 今日の小さな挑戦の成功を自分で祝いつつ、子どもたちにホーンラビットの代わりをどうしようかと悩んだ。しばらくはアイテム欄に貯めていたホーンラビットの肉にするにしても、これからはピクシーとゴブリンの相手が中心になる。食べられない。


 再び、食生活の改善という問題に直面しつつ、コレントの都市へと向かった。

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