再度の謁見
次の日、俺は王都に召喚されていた。
そうだね。魔将をたおしちゃったからね。また勲功を立てちゃったからね。国としては頑張った人を褒めないとね。
俺は出頭する気持ちになって、王城へと向かう気持ちになった。
俺は陛下の前に跪いている。王城に着いた途端、着替えさえられて、あれやこれやいう前に王の前に引きずり出されたのだ。
「またの呼び出し、大変であっただろう。面を上げるといい」
そういわれたので面を上げる。相変わらず高貴な顔立ちをしていらっしゃる。ユリアと結婚することになるってことはこの人は俺の義理の父となるのか。
「レクよ。我は正直、再び謁見室で其方と会うこととなるとは思わなんだ。次にレクと会うのはユリアとの結婚式であると思うっておったわ」
「ははは。私も陛下と再びここでお会いすることになるとは、思ってはおりませんでした」
本当にそうだ。あの日の地獄に魔将が関係していたなんてこと、レクは知らなかった。
「感謝するぞ、レク。コレントの都市は魔軍に対する、アイスビッシュ砦に次ぐ王都の守り。コレントの都市が墜ちていれば、次は王都での決戦となったかもしれぬ。魔将は人にはかなわぬ存在、もしかしたらと考えると胆も冷えた」
「私も王国の助けになれたようでうれしく思います」
王様は改めて真剣な表情になった。お顔立ちが優れているので、そういった表情が本当に絵になる。
「……今回の魔軍どこから湧いてきたのだと思う?」
「アイスビッシュ砦に魔軍が現れていないとなると、攻略前にこちらに渡ってきていたのでしょう。アイスビッシュ砦が魔軍によって奪われて長い時が経ちすぎました」
「で、あるな。まだまだ油断は禁物ということが分かった。精々気をつけるとしよう。さて、魔将を打ち滅ぼしたレクには、双竜賞を授与する」
楽器隊が荘厳な曲を演奏する。脇から身分の高そうな貴族が出てきて、胸に勲章をつけてくれた。しばらく場に余韻が残る。
「それでは、王国が持っている飛行石を褒賞としていただけますか」
「あいわかった。様々なところに行く、冒険者のレクには必要なものだろう。あとで渡してやれ。それと今回の報奨金だ受け取って帰れ」
王様は傍に控える、偉そうな貴族にそう命じた。偉そうな貴族は俺に金貨の入った袋を渡す。お、重い。
「して、レクよ。今後はどうするつもりなのだ」
「はい。まずはコレントに戻って挨拶をしてきます。それからアイスビッシュ砦に転移柱の設置、カウネルによって、北に帝国に渡ろうと思います。私の勘でしかありませんが、次は帝国が魔軍によって襲われるような気がします」
少なくともゲームではオープニングにおいてまずは王国が魔軍によって墜ちて、世界地図が赤く染まって、次に赤くなったのは帝国であったはずだ。ことは人類と魔軍との生存戦争。見過ごすことはできない。
「……そうか。レクは既に王国の守りの要、国の外にはあまり出したくはないが……ことは人類の存亡に関わること。仕方がないか。王国が管理している転移柱がある。登録をしていけ。あと、王城の技術研究部に寄っていくように。―――オーギュスト!」
俺の胸に勲章を幾度となくつけてくださっていた偉そうな貴族はオーギュストというらしい。
「報告にあった例の完成品をレク殿に渡せ。魔将が現れたときにレク殿に連絡が取れぬのでは話にならぬ」
「はっ」
俺はオーギュスト様に連れられて謁見室を出た。王様が手を振ってくださったので、手を振り返しておいた。