ハーレムへの進み
俺はコレントの都市に向かっている。明日が装備品の受け渡しの約束の日だ。レベル15のときに更新した装備をレベルにあったものに一新できることに俺はウキウキしていた。
道中盗賊団がいたので壊滅ながらコレントの都市に急いだ。このままのペースなら夕刻ごろにはコレントの都市に入れるはずだ。
その後は問題もなく都市に着いた。まずは冒険者ギルドへと向かう。
冒険者ギルドに入ると歓声に迎えられた。
「おっこの国初のミスリルプレートの冒険者様がかえってきたぞ」「俺はいつかあいつはやる奴だって思っていたんだ」「そんなのレクの活躍を見てた奴は全員分かってたさ」「なにはともあれ、コレントの都市から超級冒険者が誕生したことに乾杯」「ああ、その上王女様を射止めた色男に乾杯」こいつらはどんなときでも乾杯しているな。
受付のイリス姉さんのところに行く。
「レクくん。……いや、超級冒険者になった方のことをくんでなんて呼べないよね」
「いえ、イリス姉さんは特別ですから。これからもレクくんと呼んでください。じゃないと寂しいです」
「もう、レクくんったら。お姫様とご婚約されたんだから、そんな思わせぶりなこと言っちゃだめよ」
「勘違いなんかじゃありませんよ。本当に俺にとってイリス姉さんは特別なんだ」
イリス姉さんは赤くなった顔でこちらを見つめてくる。勝負所だ。
「イリス姉さん。イリス姉さんも俺の婚約者になってほしい」
俺は茶色のダイアモンドの指輪を差し出した。
呆然としたように、しかしその手は指輪へと吸い寄せられていた。
「レクくんはお姫様の婚約者だし、それに……私レクくんに比べておばさんよ」
「イリスさんはお姉さんですよ。それに俺の特別になってほしい人でもあります」
指輪を抱きしめるようにするイリス姉さん。
「それに俺はミスリルプレートの冒険者です。必ず幸せにしてみせます」
「……はい。よろしくレクくん」
周りから歓声か怒声か分からない声が響く。もはや聞き取ることすらできない。
俺は、受付に身を乗り出してイリス姉さんを抱きしめた。
さらに周りはヒートアップ。何故か酒を浴びている男もいる。浴びるように飲むとかいうけど本当に浴びなくても。
俺は周りの騒動から逃げ出すように冒険者ギルドを出た。
イリス姉さんを婚約者にできたことにガッツポーズをする。うおー、俺はやってやったぜ。屑の発言である。けど屑とののしられようと俺はやると決めたのだ。
というか、貴族でもあり、ミスリルプレートの冒険者である俺ならお嫁さんが何人もいてもおかしくなから。自己弁護をする。
なんやかんやと考えて、落ち込んだり、奮起をしたりしながら孤児院への道を歩く。
「あー!ミスリルプレートの冒険者の貴族様になったあげくお姫様と婚約したレクだ」
近くにあった荷馬車に乗っていたサリアに声を掛けられた。こころなしかいつもぱっちりとした瞳が薄められている気がする。
俺は荷馬車へと飛び乗ると、速攻攻撃をしかけることにした。
「サリア、頼みがあるんだ。俺の婚約者になってくれ」
俺は御者席に飛び乗ると、うやうやしく指輪を取り出した。
「いいわよ。よかった、レクはもう私のことなんて眼中にないのかと思ってたから」
「幼馴染のサリアから目が離せないよ、必ず幸せにする」
「誰にでもそんなことをいってるんでしょ。ばーか」
「今はサリアにだけだよ」
屑だ。今ここに屑がいる。しかし俺は本気なのだ。本気で僕と俺の恋を成就させようとしているのだ。愛がいっぱいで幸せもいっぱいにするのだ。
「まあ、いいわ。受け取ってあげる。ただし条件があるわ」
「なんだ?」
サリアはこほんともったいぶっていった。
「私、商人になりたい。だから一般的なお嫁さんは難しいかもしれない。それでもいいならいいわ」
「もちろんさ。共働きなんてめずらしくもない。それに俺は最高の冒険者になる男だからな。一般的な旦那は難しい。俺たちは俺たちらしい、関係を探していこう」
「……うん」
サリアは頬を赤く染めていった。
「レク、ちょっと」
「なに?」
サリアは俺の頬に顔を寄せたかと思うと、そのまま唇をつけた。
「無事のおまじない。私のこと幸せにしてくれるんでしょ。ちゃんと無事でいてくれなきゃだめだから」
「俺は心配いらないよ。サリアの方こそ都市の外にでることもあるんだから無事でいろよ」
俺もサリアの頬にキスをした。
「あの子にはまだ?」
「まだだ。これからだよ」
「今不安だろうから、ちゃんと安心させてあげなさいよ」
「頑張ります」