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森賊

 さっそくお姫様の護衛と一緒に王都に向かう。

 一緒に仕事をするのだからと、護衛長に挨拶に伺う。


「冒険者のレクだ。今回はよろしく頼む」


 威厳は出ているだろうか。頼む、出ていてくれ。


「はい。お話はお伺いしております。英雄殿。この度は我らの力不足でお手を煩わせて申し訳ありません」


 威厳とか考えていたのが、申し訳なくなるほど丁寧な方だった。


「いえ、仕事ですからお気になさらず。道中敵が出たらみなさんは馬車の守りに徹して、敵は私にまかせてください」

「かしこまりました。よろしくおねがいします」

「よろしくおねがいします」


 うん。威厳とか考えて上から話したのが恥ずかしかったけれど、うまくいったのでよし。聞けば港町ナールトから王都までは、南街道が整えられており大きな街道を進むことになるらしい。道中ボスクラスのモンスターは人類の往来が多いためいないだろうとのこと。


 ゲームではほぼ廃墟といってよかったから現代の知識が不足しているな。時間があったら地理や歴史の勉強を簡単にでもしておこうと決めた。


 あとしておくべきことは人を殺す覚悟か。この世界には賊や邪教徒がいる。生かしてはおけない。殺す覚悟を決めておくべきだろう。深呼吸をして意識を切り替える。


 しばらく歩いていると、街道近くの森から、森賊とサイクロプスが現れた。ボスクラスのモンスターはいないっていってたじゃないですか。俺は『スキルツリー』から『投擲』を習得すると、こちらに迫るサイクロプスの目に短剣を投げた。投擲された短剣はサイクロプスの単眼を穿った。

 痛みに悶えるサイクロプスをよそに、同時に迫りくる森賊たちを相手する。

 

「死ねえ!」


 剣を振り下ろす大男を利用してジャスト回避を発動。ゆったりとした時間に近くにいる三人の首を跳ねる。続いて斧を持った女がいた。怯えたように立ち竦んでいたのでそのまま首を跳ねた。まだまだ森賊はいる。短剣を持った賊に近づく、慌てて振るわれる短剣を小盾でパリィ、首を跳ねる。慌てて弓を連射する射手がいた。サードパーソンで冷静な俺に当たるわけはない。練習も兼ねて、剣で矢を弾きながら近づく。最後の矢にダッシュ回避を合わせて避けて、首を跳ねた。


 痛みがなくなってきたのか、サイクロプスが立ち上がっていた。馬車の方に近づこうとしている。後ろから近づくと大跳躍で首に近づき、後ろ首を突き刺す。肩に足を乗せると。そのまま払って切った。

 大きな音を立ててサイクロプスが倒れる。


 そういえば、サイクロプスは飼うことできるのか。相当量の肉が必要になるが。この森賊がその肉を何から調達していた考えれば慈悲はない。


 ふーっ。まずまずの戦闘結果だったな。経験値は少なかっただろうが。



 随分と小さな冒険者様だと思った。

 護衛長として外部の助っ人に頼ることになるのは忸怩たる思いがあったが、こらえた。相手は魔将を討ち果たした未来のミスリルプレートだ。すごい人に力を貸してもらっているのだ。敬意を示さなければならない。


 挨拶に来てくれたが、最初はちぐはぐだったが、やさしそうで丁寧な子どもだった。


 雰囲気が変わったのは、森賊が出てからだ。

 まずい森賊の奴らサイクロプスを飼っていやがる。こちらの被害も考えなければならない。

 彼は祈るように身体の前で指を動かすと、短剣を取り出してサイクロプスの眼を穿った。……なんという威力。

 次に先頭を走る大男の大剣に身をさらした。


「あ―――」


 危ないと警告する前に、彼は三人の首を跳ねた。そのまま堂々たる足取りで女の首を跳ねる。短剣使いの男をあやすように小盾で短剣を跳ねのけると態勢を崩した男の首を跳ねる。弓矢の男があの小さな冒険者様を恐れて矢を射っている。それはそうだ、こんなの勝てるわけがない。彼は矢を遅いとばかりに切り払い続けると最後に矢をすり抜けるようにして、弓矢の男を殺した。


 見入っている場合ではない。サイクロプスが立ち上がり始めている。

 隊に声がけしようとしたそのとき、サイクロプスの喉から翡翠の剣の切っ先が飛び出てきて、そのまま払った。


 結局森賊は誰一人としてなにもすることができず。彼に殺された。私たちも彼と敵対すれば同じ運命をたどることとなるだろう。


 どうかこれからも、この冒険者様の敵となるようなことがおこらないように、そう祈った。

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