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アイスビッシュ砦攻略①

「諸君、我々は本日勝利を手にする!アイスビッシュ砦の正門を開く算段がついたので、全軍で攻め込み……」


 翌日、俺はローレン将軍が檄を飛ばしているのを横目に早速、アイスビッシュ砦の側面へと向かった。檄を飛ばしてから、あんまり時間が経つと士気も落ちてしまうだろうから急がなくてはならない。それにしても檄が俺の作戦の成功を前提としている。結構期待してくれているのかな。じつはツンデレ?


 アイスビッシュ砦の主は狂魔女クライディアである。特技はパッチワークである。ただ、はぎれではなく人間やモンスターの肉だ。見ただけで異形と分かるモンスター達が襲ってくるステージだ。


 おそらく、この時代においてもそれは変わってないはずだろうが、違っていたらと思うと不安だ。


 隠しトンネルを通り、城内の倉庫室に出て食堂へと入る。そっと扉を開けて後悔した。パッチワークの材料がそこらに吊るされているのだ。人間と分かるものの手足、様々なモンスターの手足が吊るされている。こんなとこで食事をするモンスターどもとは友達になれそうにない。


 奥からは調理場が見えているが、後悔することが分かっているので省略。ゲーム時代には大きな鍋があってナニカの肉が煮込まれていた。中庭へと抜け正門へ向かう。当然敵はいる。人間の手足を持ったゴブリンを後ろから狩る。そのとき、パッチワークの騎士に気がつかれた。


 パッチワークの騎士は様々な軍の兵士から作り出されており、各部分で鎧が違う。武器も個体差があるモンスターだ。


 怪物のような速さで振られる剣を冷静にパリィして、クリティカル攻撃をとる。それでも倒れない。クモのような動きをして迫ってくるようになったパッチワークの騎士に大跳躍からの一撃を入れる。眠ってください。


 各箇所に配置されているパッチワークの騎士を一体一体処理をする。元々は騎士だ。思うところはあるが、もう戻すことはできない。冷静に、冷静に、と自身に言い聞かす。


 正門の開閉装置があるところまでやってくることができた。ゴブリンたちが寝ている。パッチワークの騎士はいない。思うにパッチワークの騎士は目の前の敵に反射的に行動しているだけだ。考えて行動するということがないのだろう。だから怠惰なところがあってもゴブリンを配置しているのかもしれない。


 ここで倒しておきたい気持ちもあるが、先に作戦の遂行だ。ハンドルを回して閂の片側を引き上げる。できるだけゆっくりとやったこともあるのか。ゴブリンは起きてこない。

 そのまま城壁に出ると前夜にローレン将軍に渡されていた旗をアイテム欄からだして振る。



 アイスビッシュ砦の正門により近い城壁から赤い旗が振られている。昨夜渡しておいたわが軍の旗だ。……本当にやり遂げたのというのか。なんというやつだ。


「見よ!作戦が成功したとの合図だ。全軍アイスビッシュ砦の正門へ攻め込め」


 先遣部隊が正門を押すと今まで開くことのなかった砦の門が開く。こちらの迅速な対応に魔軍どももまだ対応できていない。……チャンスだ。


 部隊の一角から悲鳴が上がった。サイクロプスだ。今までも城壁でこちらに大岩を投げてきていたやつだろうか。

 早く部隊を立て直してサイクロプスと戦わなければ、そう考えていると、一陣の風が走った。


 レクがサイクロプスに近づくと、そのまま跳びあがって首に翡翠の剣を突き立てる。サイクロプスが嫌がって手で払おうとする前に、蹴り飛ばして離れる。

 怒り狂ったサイクロプスが、棍棒を振り下ろすのを華麗によけたかと思うと、神速でサイクロプスの足に切りかかった。

 たまらず片足をついたサイクロプスの後ろに回り込むと再び大きく跳んで、やつの後ろ首に剣を突き刺して、突き刺したまま剣を無理やり回した。

サイクロプスの首が落ちる。


「ローリン将軍、先に行っています」


 今、何を見せられたのだろう。小隊規模でなんとか戦うサイクロプスを瞬殺していったのか。


 笑いがこみあげてくる。マークスの奴め、何が優秀な冒険者だ。あれはもっとちがうなにかだぞ。今度会ったら文句を言うことを決め、改めて軍の指揮を執った。

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