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魔王戦④

 俺は天井を破壊して飛び立つ魔王に必死に掴みかかっていた。

 ここからこいつを殺すためには額の逆鱗まで向かわなければならない。


 わっしわっしと鱗を掴んでは前進していく。


 魔王は恐れたように叫ぶ。


「なんだ!なんだ!お前は」


 最強の冒険者だよっていってやりたかったが、風圧でうまくしゃべれない。ただひたすら額を目指して進んでいく。


「ここで逃げて、100年も過ぎれば、余の勝ちだ!」


 お前、その勝ち方は魔王としての風格がなさすぎるぞ。ひたすらわっしわっしと登っていく。とうとう背中にたどり着く。


 危機感を覚えたように、急速な上昇と落下を繰り返す。上昇時と落下時はじっと耐えて、あとの時間で登っていく。


 岩壁に身体をこすりつけようとしている。俺は岩壁の反対側に移動する。

 林の中に突っ込んだ。枝葉が身体を傷つける。アイテム欄からポーションを取り出して被る。

 無駄な抵抗をしやがって。

 残りの時間はわっしわっしと登っていく。

 首下にたどり着いた。


 首を必死に振る魔王。必死にしがみつく俺。

 先に根が折れたのは魔王だった。

 疲れ切って、首が垂れた。この隙にわっしわっしと逆鱗に近づいていく。


 俺は首の鱗に足を引っかけると、膝立ちになってなんとか紅玉の剣を引き抜いた。

 これでおしまいだ。突き刺す。


 砕けた逆鱗から瘴気があふれ出す。耐えきれず吹っ飛んで上空に放り出される。

 魔王は自らの中に渦巻く力に耐えきれなくなったかのように爆発した。


 俺はアイテム欄から飛行石を取り出してアイスビッシュ砦へと転移した。


「いてえ」


 勢いがついたまま転移した結果、地面を大いに転がった。ポーションをかぶって回復する。気まずさを感じつつアイスビッシュ砦を通してもらおうとする。


 そのとき、ローレン将軍がやってきて、感激したように俺の両手を握った。


「ここからでも魔王が討たれる姿が見えました。あなたこそ、真の英雄です」

「ありがとうローレン将軍。そういってもらえると嬉しいよ。けど、仲間を魔王城に置いてきてしまったんだ。まず迎えに行かせてくれ」

「かしこまりました。王都に連絡して待っております」

「頼むよ」


 俺は自身に疾風の魔法を掛けて魔王城へと走った。なんとなく、締まらないなあと思った。

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