表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/135

DLC?

 城内の探索は快適なものだった。本来であれば邪教が召喚したモンスターで満ちているのだが、この世界では邪教信仰はまだ本格化していないし、王国における邪教徒は一掃している。そのうえ教主(仮)は改心している。


 俺は城内のある扉の前に来ていた。大きな鉄製の大門だ。ゲーム時代もここは開かずDLCではないかと囁かれていた扉だ。俺はありったけの爆発ポーションを積み上げた。そしてみんなで出来るだけ距離を取って、爆発ポーションをひとつ、山へと投げつけた。爆音が辺りを支配する。大門は完全に破壊とまではいかなかったが、人ひとりが抜けられる程度には開いている。


 俺は仲間へ待機を言い渡して、中に入った。できれば装備がいいが、ボスモンスターだった場合撤退するには俺ひとりの方が逃げやすい。


 部屋の中に灯りは少ない。ランタンに火をつける。中には血管が張ったような石造りの部屋、部屋の床一面に描かれた紫に輝く魔方陣、中心には石化した人間がいる。近づいて見ると女性らしい。……かっこいい系の美人さんだな。


 俺は魔方陣について詳しいわけでもないので、紅玉の剣で魔方陣の一角を削っておく。魔方陣が明滅した。多分機能がなくなったのだろう。後はこの女性か。どうしたものか。どうもこうもないか。最強になる男がもしかして敵かもしれないと女性を無視するわけにはいかない。


 俺は竜の血を彼女の全身にぶっかけた。煙が立ち上がり、卵の殻が取れるように彼女の身体から石が取れていく。彼女はしばらく忌々しそうに全身にまとわりつく、石を取り除くと、身体をほぐすように動かした。……戦闘の前準備じゃないよね。


 彼女はこちらを向いた。


「礼を言う。私はアレイア。このままでは魔将へと堕していただろう」

「いいえ。どういたしまして俺はレクです」


 アレイア?この世界で信仰されている女神様の名前だ。偶然じゃ……ないだろう。開発陣め。ここで信仰されている女神様が魔将となっている姿と戦えると面白いっすねみたいなノリでこの状況をつくったんだろうな。


「少年聞きたいことがある。今の人類はどうなっている」

「貴方のお陰で死の山。……越えられない山の間にできた谷に砦を築いてそこから東に王国と帝国を建国してそこそこ繫栄していますよ」

「そうか。このような子どもが魔王の城に来るものだから、私の時代よりも状況が悪化しているのかと思った。なぜここに子どもがいる」

「この時代、最強の冒険者が俺だからです。魔王を討ちに来ました」

「……最強?それは素晴らしい。これから魔王を討ちに行くつもりだった。同行してもいいか?」

「こちらの指示に従っていただけるのなら」

「……助けてもらった恩義がある。いいだろう」


 女神アレイアが仲間になった。彼女も未来において女神と呼ばれていることを知るまい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ