魔王城前
「各自、装備を新調して、アイテム類は揃っているか確認しろ」
「確認できましたわ」
「大丈夫です」
「問題なしです」
とうとうこの日がやってきた。最終決戦の朝だ。
新しい技や魔法、能力も覚えさせたし、準備は万端だ。
「それじゃあアイスビッシュ砦に飛ぶぞ」
俺は飛行石を取り出して、空へと放り投げた。
俺にとっては見慣れたアイスビッシュ砦に転移した。
ローレン将軍に会いに行く。兵士たちは俺を見たら敬礼して素通りさせてくる。仕事をしてください。奥の天幕についた。
「ローレン将軍、入ってもいいですか?」
「レク殿か。入ってくれ」
相変わらず、煙草の煙で充満している幕内だ。
「レク殿、どうかされたのかな」
「そろそろ、魔王に挑みに行こうと思ってな。帝王からも命令書が出されているし」
「命令書?」
「これこれ」
俺はアイテム欄から命令書を取り出すとロイアルクに渡した。
「確かに帝印が押された命令書のようですが……。レク。戻ったらこの命令書を預からせてもらってもいいですか」
「うん?いいよ」
というわけで、命令書を再びアイテム欄に仕舞い込み。ローレン将軍に向き合う。
「こういうわけだ。魔王討伐に行ってくる」
「魔王を……途方もない」
感心するように唸るローレン将軍。
「わかりました。勝利を祈っております」
「ああ」
俺達はアイスビッシュ砦を通り抜けた。
そこからは毒の沼と枯れた木があるばかりの土地だった。
敵はスノウハーピーとホブゴブリン、キマイラだ。スノウハーピーの歌と連れ去り攻撃に気をつけるようにいうと、真っ直ぐに魔王城に進み続ける。正直装備アイテム的にドラゴン装備と同レベル帯のものしか見つからないからだ。裏ダンジョンまでいかないと、これ以上の装備は望めないだろう。
敵を蹴散らし続けて、一昼夜歩き続けると、魔王城が見えてきた。とても巨大な城だ。人類の最盛期にはここまで人類の生息域が広がっていたと分かる建物である。
俺たちは入り口に配置された、サイクロプス五体を蹴散らして天幕を張った。今日はここで寝るとするか。サイクロプスがいた以上、周囲のモンスターも集まってこないだろう。
夜、みんなでご飯を食べていると、ロイアルクがいった。
「レクここが魔王城なんですね」
「ああ」
「ここからでも、禍々しい気配を感じます。……僕たちは勝てるのでしょうか」
「俺がいるから勝てるに決まっている。安心しろ」
「レクの自信はどこから湧いてきているのか興味が出てきました」
ゲームからかな。
「わたくしたちはパーティーリーダーについていくのみですわ」
「私はお嬢様についていくのみですが」
「おうがっつりついてこい」
明日からは魔王城内の探索だ。