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観劇③

 舞台上では大量のラビットが現れて、動いている。はく製に棒をつけて裏から動かしているのだろう。メリエンヌが引き付けて、クーデリアとライが倒していく。レオは後方で腕組をしている。


 すべてのラビットを倒すのを確認するとレオが言い放った。


「よくやった。次に行くぞ」

「本当にこの人は強いのかしら?」


 続いて大量の偽ウルフが現れた。こちらもメリエンヌが引き付けて、クーデリアとライが倒していった。


「よし、今日はここまでにしておくか」


『そのときでした、三体のサイクロプスが現れたのです』


 舞台に現れる。偽サイクロプス、あれもはく製。サイクロプスのはく製!?よくやるなあ。


「レオ。逃げましょう。サイクロプス相手に勝てません」

「俺に任せな」


 紅玉の剣を引き抜くレオ、叫びながら勇ましく剣舞する。レオが剣を振る度にサイクロプスが細切れになっていった。


 このときは翡翠の剣だったんだがな。

 俺はそんなことを考えながら、顔を真っ赤にさせて倒れそうなクーデリカの背中をさすってあげた。


「ふん、敵にもならん」


『こうしてレオの指導の下三日間の冒険がありました』


 再びアナウンスさん。場面が暗転する。部隊が防壁の外になっている。


『その日は突然訪れました。モンスター達が徒党を組んで都市に攻め入ってきたのです。サイクロプスやオーガ、キマイラなどの強大なモンスター達が多くおり、苦戦が予想されました』


 レオとライが剣を振るうたびに敵が倒れていく。


 モブの兵士がいう。


「なんと勇ましい。まるで戦神のようだ」「彼らだけで、ほとんどのモンスターを倒してしまっているぞ」「実に頼もしいじゃないか」「まさしく英雄だ」


 場面が転換する。救護所がでてくる。クーデリアが光を放つと包帯を付けた役者たちが包帯を外して跳び起きる。


「怪我が治ったぞ」「痛みがなくなった」「まるで聖女様だ」「いや、このようなことができるなんて聖女に違いない」「……可憐だ」


 その時だった。救護所にウルフたちが割って入った。立ちはだかるメリエンヌ。メリエンヌが引き付けている間に治療された者たちがウルフを倒していった。


 しばらく治療を続けていたが、けが人が来なくなった。レオがやってくる。


「レオ。怪我をしたのですか?」

「俺は最強だから、怪我とかしないし、ポーションを持っているから大丈夫だ」


 レオたち四人は救護所をでる。


 救護所を出る。周りからは畏怖と敬意が入り混じった眼差しでみられる。

「見ろ、聖女様だ。なんと神々しい」「戦神もいるぞ、敵をほとんど一人で食いちぎったらしい。なんとも恐ろしい」「聖女の騎士様もいるぞ」「あー、俺もちょっとくらい怪我をして運ばれておけばよかった」「聖女様は可憐な方だったぞ」


 帰る途中、ウェンズデイ家の馬車があった。活躍したクーデリアを迎えに来たのだろう。場面がまた変わる。


 お屋敷の中、勘当を言い渡したおっさんがいう。


「クーデリア。よくやった。お前がここまで魔法を使えるようになるとはな。再びウェンズデイ家の名を名乗るのを許そう」

「いいえ、お父様。わたくし家には戻りません。愛する人を見つけたのです」

「なんだと。そんな勝手が許されると思うのか」

「思います。勘当ってそういうものでしょ」


 颯爽と出ていくクーデリア。後に残されたおっさんは呆然としている。


 場面が変わる。


「レオ。わたくしレオのことが好きです」

「クーデリア。俺もだ」

「「一緒にいよう」」


手を繋いで都市を歩いていくのだった。


 拍手喝采で終わった。このときはまだ付き合ってないんだが。独自解釈かな。

 クーデリカは虚ろな目で座り込んでいる。俺はクーデリカを連れてすぐにそそくさと劇場を後にした。

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