観劇②
場面は冒険者ギルドになるようだ。金髪のレオを名乗る男優、イケメンが冒険者ギルドに入ると喧騒が起こる。
「おい、あれが切断の」「ああ、あの翡翠の剣でずんばらりだ」「あの悪名高い冒険者のイルボーを」「しっ。あまり声をだすな。目を付けられるぞ」「俺もあの一瞬を見たはずなんだ、なのに剣閃が見えなかった」「俺もだ」「やばい冒険者じゃねえか」
レオは冒険者ギルドを見渡していった。
「メリエンヌ。もう一人パーティーメンバーを加入させるぞ何か強大な敵が現れたとき、当面は俺ひとりが対処する。そのときにクーデリカとマリアンヌを任せられる剣士がほしい」
「わかりました」
「勧誘は俺に任せておけ。冒険者流の勧誘方法ってやつを見せてやるよ」
レオは座っている銀髪のイケメン男優に近づいていく。
「おう。そこの弱っちい新米冒険者、俺のパーティーメンバーにしてやるからついてこい」
「なんだと。私が弱いだと。あまり無礼を働かない方が身のためだぞ。さもないとこの場で切ってしまうぞ」
「無理無理。お前、俺より弱いから。この場では邪魔だ。表でやろうぜ」
「いいだろう。口から出た言葉は戻せぬと知れ」
こんな感じだったか?もっと温和な感じだったと思うが。
銀髪男優が剣を構えると、レオは木剣を構えた。
「木剣を取り出すとはなんのつもりだ」
「貴方が弱いから、翡翠の剣は必要ありませんってことだよ。いっただろ、弱いお前を俺のパーティーメンバーにしてやるって。どうせ打ち合うつもりもないしな」
「大怪我を覚悟するんだな」
「覚悟はいらないよ。俺は傷つかないし、お前を傷つけない。ただの模範演技になるよ」
「いくぞ」
華麗な剣戟を交わし合う二人。そしてとうとう剣を弾かれた銀髪男優は膝をつく。
「参りました」
「おう、お疲れ様。鍛錬の成果が見られる真っ直ぐな剣だったぞ」
「ありがとうございます!」
「俺が最強の剣士だから、最強の座は無理にしても、俺がお前を世界で二番目に強い剣士に育て上げてやる。だから俺のパーティーメンバーに入れ」
「はい!よろしくお願いします師匠」
「師匠はやめろ。ため口でレオと呼べ。お前は?」
「ライです」
『こうして出会った四人は冒険へと向かうのです』
アナウンスが入るんだ。自国の皇子を勝手に劇の題材にして怒られないだろうか。