クーデリカとデート
ウィズタートの全体の戦力を強化し俺はフラフラしながら、炎鹿亭に向かう。
炎鹿亭ではクーデリカたち三人が夕食を取り始めていた。寂しいので、俺も一緒にご飯を食べることにした。
「それで、装備はどうだった?」
「職人方も急いでくれているようなのですが、明後日の朝までは揃わないそうです」
マリアンヌが答えてくれる。
「そうか。なら、明日も休みだな。主に俺のために」
本当にここ十日ほどスキルツリーを開いてばかりで疲れた。
「それで、クーデリカ、俺とデートしてくれ」
「……はい。よろこんで」
よしっ!クーデリカとデートの約束をしたぞ。
俺はすっきりとした気持ちでベッドに転がった。
翌朝。せっかくなので炎鹿亭の前で待ち合わせをした。しばらく待っていると、クーデリカが初めて会ったときのお嬢様の服装をしていた。
「初めて会ったときにも思ったけど綺麗だよ。クーデリカ」
「ありがとうございますわ」
もじもじとにやけるクーデリカ。かわいい。俺は確信した。
「よろしければエスコートをさせてください」
「ええ。よろこんで」
そういえば、忙しすぎてデートコースを選んでいないことに気がついた。
「クーデリカって休日はどうやって過ごしていたの?」
「それは本を読んだり、観劇したりしていましたわ」
「よし、観劇をして、いい感じのところで食事をしよう」
「もう、レクったら適当」
「すまない。今後の課題にさせてくれ」
「仕方ありませんから、わたくしがよく見ていた劇場に参りましょう」
「うん」
円柱が立っている。海外の博物館みたいな建物のところに来た。これが劇場らしい。中に入ると、シャンデリアと赤い絨毯、大勢の人々が俺達を迎えた。
「おかしいですわね。こんなに混むことはめずらしいのですが。よほど人気のある出演者がいるか演目をやっているのでしょうか」
「そうなのか。これが通常ではないと」
「ええ。これでは席が取れるか分かりませんわ」
「まあ、聞いてみよう」
俺は受付のボーイに話しかけると、ボーイは驚いたような表情をした。どこかで俺の活躍を見ていた人だろうか。ボーイに観劇をしたい旨を伝えると感動したように、特別席を無料で案内してくれた。
「なんか、特別席を案内してくれるらしいぞ」
「通常貴族などのために使われる席なのですが、いえレクは貴族ですが。変な対応ですわね」
俺たちは首を傾げたが、その理由は劇を見たらすぐに分かった。