加護の使い方⑥
王城から出ていく前に魔王を討伐するためだからといっていくつかのアイテムを貰っていくことにした。クーデリカ達にも自身で持たせる。万が一はぐれてしまうことがあったらいけないからな。
陛下やユリアにとりあえず別れを告げて飛行石を使った。
ウィズタートの都市に転移した。
クーデリカを領主に会わせるのは酷というものだろう。
「二日で終わらせられるように頑張るつもりだ。クーデリカ達は休んでいてくれ。ああ、頼んでいた装備が出来ているか確認してくれ。装備が揃わないと出発できないからな。合流は炎鹿亭にしよう」
「分かりました」
俺は領主館に向かった。領主館の門番に挨拶をしたところ、向こうはこちらを知っているらしく、「戦神だ……」って呟いていた。
領主に用がある旨を伝えた。門番が慌てて中に入っていく。しばらくしたら、領主の執事、確かクーデリカがバランツっていっていたか、が出てきた。
「これはレク様、どのようなご用件でしょう」
「俺の加護で人を強化できることが分かってな。ウィズタートの都市の人間全員を強化するために領主に協力してほしい。強化っていうのはこんな感じだな」
バランツは技量に秀でていたので連続斬りを習得させる。
バランツは一瞬ふらついた。だが自身が新たな技を習得したことに気がつくと目を輝かせた。
「これは強大な加護ですね」
「ああ。これでウィズタート全体の戦力を上げておきたい。そのための準備を領主にお願いしました」
「はい、いまお取次ぎいたしますので、中にお入りください」
俺は屋敷の応接室に連れていかれた。しばらくすると、ウィズタートの領主がやってきた。銀髪に紫色の瞳、クーデリカと同じ色だ。神経質そうな顔立ちをしている。目が変にぎらついている。
「レク殿。バランツから聞きました。レク殿は人を強化することができると。もしかしてクーデリカも同じように?」
「ああ」
ウィズタートの領主からぎりっと歯ぎしりの音が聞こえた。怖い。なんでこんなに怒っているんだ。
「人を強化する加護とは素晴らしい。早速、人を集めましょう。ところでレク殿」
「何でしょう?」
「帝王からレク殿に命令書が届いております」
「俺は帝国の人間じゃなくて、王国の貴族なんだが。まあ、聞くよ」
「ありがとうございます。こちらの命令書です。魔将を倒した今が好機であり、魔王を討伐しに行けという命令書です」
「おお、分かった」
命令書を受け取る。
元々その気だったんだ。命令書がでているのなら、その後の褒賞も期待できることだろう。ラッキーだな。
俺はその日から二日間ひたすらスキルツリーを開きまくった。