ユリアと笑顔
次の日の朝、俺はユリアをお茶に誘った。せっかく決戦に向かうのだ。婚約者の美少女の顔を見てから向かいたい。
「レク様、帝国でのご活躍は耳にしておりますわ。おめでとうございます」
「ああ。今回の魔将はなかなか面白いやつだったよ」
「なんでも雷を自在に操る魔将だったそうですね」
「ああ。自身を雷で操って肉弾戦を挑んでくる魔将だった」
となりに座ってくるユリア。オーケーそういうことね。俺はユリアの指を絡めて、恋人つなぎをした。顔を赤らめるユリア。まだまだ恥ずかしいらしい。
「それでレク様はこれからどうなさるおつもりなの?」
「うん。一端帝国の辺境都市ウィズタートと向かおうと思っている。そこで王都でしたことと同じことをする。それが終わった後は、魔王を倒しに行こうと思っている」
「魔王を……討伐……」
信じがたい言葉を聞いたようにするユリア。絡めていた指に力が入る。まあ、この世界でいえば、神殺しをしますっていっているようなものだからな。
「ゲームでは魔王を討伐なさっているのですよね」
「余裕でね。だから安心して待っていてくれ。魔王を倒せばもう魔将がいなくなるから、戦況が有利になる。後はひたすらモンスターを狩っていくだけかな」
力が抜けた。安心したらしい。
「本当にレク様のことはアレイア様がこの世界のために遣わせたのではないかと思ってしまいます」
「どうなんだろうね。神様のことは俺も分からないや」
「王国も帝国もレク様に救われています。レク様は自身がなさった偉業を自覚するべきですわ」
ユリアの黄金の瞳にじっと見つめられて、そんなことを言われる。
「多少は自信をもっているさ。じゃないと魔王を討伐なんていわないし」
「もっともっとですわ」
「それなら、ユリアがつけさせてくれ」
俺はユリアを抱きしめた。ユリアはびっくりしたようだったが安心したように身を任せてくれた。ユリアすごい柔らかいな。あとすごいいい匂いがする。しばらくそうやって抱きしめあった。
「よし!なんか自信がもりもりと湧いてくる気がする」
「もう。レク様ったら」
くすくすと笑うユリア。そうだ。ユリア笑っていろ。俺がそれを出来る世界を作って見せるから。くすくすと笑うユリアを見ていたら、俺も嬉しさで笑顔になっていた。
さあ、ウィズタートに向かうとしようか。