アリアとお泊り 竹
夜も更けていたので領主館に泊めてもらうこととなった。
今は応接室でアリアとお茶会をしている。不埒な真似をさせないつもりなのかメイリスさんが同じ部屋にいる。まあ、お茶のサポートかもしれないが。
「レクには驚かされることばかりです」
「まあ、俺だからな」
「そうですね。レクですから」
お茶うけに置かれているクッキーをかじる。甘さが脳に染み渡る。疲れが飛んでいくとまではいかなくても、ほぐれたようだ。
「それで、帝国はどうでしたか?」
「俺がいなかったら帝国は危うかったかもしれないな。モンスターの大群に魔将がいた。コレントの都市の襲ったあれみたいなものだな」
「そう……ですか」
なにやら考えこむアリア。どうしたんだろう。
「レクは本当に英雄なんですね。事前に襲われることを知っていたのですか?」
「いや、ただの勘」
あとはゲームのオープニングでまずは王国が赤くなり、次に帝国が赤くなっていったのでその順番で魔将が攻めてくるだろうというただの推測だ。
「勘って……でも意外とそのようなものなのかもしれないですね」
「そんなものです」
「レク……お父様に聞きました。魔王に挑もうとしていると。本当ですか?」
「本当だよ。魔王に勝つつもりだ」
「ちゃんと帰ってきてくださいよ」
「当たり前だよ」
アリアが対面している椅子から立ち上がると、俺の隣に来る。ミリアムさんこれはありですか?ミリアムはそっぽを向いている。お嬢様からならオーケーらしい。
アリアは小鳥がついばむようにそっと唇を重ねてきた。
「レクはわたしの英雄様なんだから必ず帰ってきてくださいね」
「おう。世界一の英雄になって帰ってくるさ」
アリアは俺の手を握る。華奢で細い手だ。力を入れてしまったら、砕けそうなほど繊細さ感じさせる。
アリアは指を俺の指へと絡めていく。恋人つなぎだ。
「レク。わたしキスをしたの初めてです」
「アリアとキス出来てとても嬉しいよ。よかったらこちらからもう一度してもいいかい?」
「恥ずかしいからだめです。まだ」
「ごほん」
顔が真っ赤なアリアにミリアムが咳払いでフォローを入れる。ここまでらしい。無念。
まあ、これ以上攻めるとアリアが倒れそうだから、やめておこう。
後の時間はかぐや姫の物語を話して、楽しく過ごした。
俺はこの世界で燕を見たことがないので子安貝をどうにか苦慮して説明した。
アリアはレクなら全部集めてしまいそうですといった。アリアのためなら集めてみせるさ。少なくとも竜の首ならすぐにでもとってこられる。
アリアは異世界の物語が本当に楽しそうに聞いてくれるなあ。かわいい。
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