ただいま、コレントの都市②
「それじゃあローレン将軍、俺達はコレントの都市向かうから」
「はいレク殿。此度は援軍に来てくださってありがとうございました。新兵器だけではこの砦は再び落ちていたかもしれません」
「かもな」
バリスタや榴弾でコカトリスやエルダーリッチ、ブラックキマイラ辺りは倒しきれなかったことだろう。
「まあ、お互い要成長ってことだな」
「レク殿はまだ、成長しようとしているのですか?」
ローレン将軍が目を丸くする。
「当たり前だろ。俺はまだ最強じゃないからな」
「なんという向上心……」
向上心とかじゃなくて、レベルマックスまで育てていないと気持ち悪いというゲーマー根性である。
「レク殿。コレントの都市の転移柱はこちらのアイスビッシュ砦に移動されたのですよね。よろしければ、馬車をお出ししましょうか」
「お。それはありがたい。頼むよ」
俺ひとりだったら、走った方が早いがクーデリカとマリアンヌに走れとは言いづらかった。ロイアルク?頑張って走ればいいと思うよ。俺も走るし。
馬車では妖気の森を迂回することになるので、コレントの都市についたのは夜になった。
「俺は実家の孤児院に帰る。あと、明日は加護を使ってコレントの戦力増加と婚約者たちに会いに行くから、自由行動で」
「そう、ですか」
不満そうにするクーデリカ。ぷくーと頬が膨れそうだ。
「クーデリカ、お前のことも愛しているぞ。許してくれ」
「……もうしょうがないですね」
クーデリカたちに宿をとってやった。久々にコレント孤児院に帰るか。ひと月も経ってないし、そうでもないのか。
見慣れたドアノッカーを叩く。扉の向こうからこちらを誰何するシスターテレサ。
「こんな夜にどなたでしょうか」
「俺だよ。シスターテレサ。レクだ」
扉がガチャガチャと鍵を外して開かれた。
「レク。無事でよかった」
抱きしめられた。ずいぶんと心配をかけていたらしい。俺も大丈夫だと伝えるためにしかと抱きしめ返した。
「シスターテレサ。あんまり怪我もしなかったし大丈夫だよ」
「それでも心配なものなのです」
ゆっくりと手が離れていく。騒ぎを聞きつけてハインツ達がやってきた。
俺に抱き着いては、活躍ぶりを聞きたいという。
俺はウィズタートの都市に行ったこと。速攻で牢にぶち込まれたこと。そこでパーティーメンバーと出会って冒険したこと。都市のモンスターの襲撃があったこと。その功で帝城に招かれたこと。ウィズタートの都市に魔将が攻めてきたことを知って、急行、撃破したこと。それからアイスビッシュ砦の援護に向かったことを教えた。
ハインツ達はモンスターの恐ろしさに身体を震わせて、それ以上に俺の活躍に目を輝かせていた。どうだ。俺は活躍したんだ。すごかろう。