アイスビッシュ砦防衛線①
戦闘が終わり、ディルギンが消滅をした。初めて戦った敵だったが、本当に楽しい敵に会えた。
達成感に浸っていると、ポケットが震えるのが分かった。
何事かと思い、ポケットをまさぐると伝言石がでてきた。伝言石には『アイスビッシュ砦に敵軍団の襲撃あり。要救援』と赤い文字が浮かび上がっていた。
昨日から本当に休みがないな。
「クーデリカ。マリアンヌ。ロイアルク!」
三人を呼ぶ。さっきの戦いを近くで見ていたらしくすぐに来た。
「アイスビッシュ砦がモンスターに襲われているらしい。すぐに向かいたい。一緒についてきてくれるか?」
「もちろんですわ」
「お嬢様についてまいります」
「はい」
ありがたい。今や、こいつらはモンスターを任せられる戦力だ。救援となれば戦力は多い方がいいだろう。近くにいる兵士に近づいて、事情を伝えた。何事かいいたそうだったが、急ぎなんだ。事後処理は全部任す。俺はクーデリカたちの下に戻って飛行石を投げた。
見慣れたアイスビッシュ砦の裏に出た。
「ここがアイスビッシュ砦……」
ロイアルクが感慨深そうにしている。国防を考える立場として思うところがあるのだろうか。
俺たちは最前線を目指して急行した。
道中顔見知った兵士に挨拶をすると、ローレン将軍の下に連れていかれた。
「よく来てくれた紅玉の英雄殿。こちらのお三方は?」
「俺のパーティーメンバーだ。中々の戦力に育ってきている」
「それは心強い。現在アイスビッシュ砦は大量のモンスターに襲われている状況です。バリスタ……強力な弓矢や榴弾……爆発する玉で対応をしているところですが、いずれは決壊することでしょう」
「そんなことにはならない。俺たちがいるからな。とはいえ、バリスタや榴弾に巻き込まれるのは困る。俺たちは敵の側面に回って裏から削っていくことにする」
「はい。かしこまりました」
俺はクーデリカたちを振り返っていった。
「聞いたな。王国軍は新兵器でそれなりに対応できているらしい。俺たちは側面から叩いていく。いくぞ」
「「「はい」」」
城壁の隅から降りると、矢の雨、爆発を横目に敵の側面に回り込んだ。
げ、コカトリスとかエルダーリッチとかいる。
コカトリスは石化ブレスを受けたら即死だし、エルダーリッチは広範囲に魔法を放つためタンクを無視してダメージを受けがちになる。
「今のお前たちじゃ戦えない敵がいる。俺はひとりでそういった奴を潰していく。お前らは俺が無視していった奴らを倒していってくれ」
さあ、さっさと倒して休みたいものだ。クーデリカたちのレベリングのためにも『パーティー』を編成し直して戦場に向かった。