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祝宴

 こっそりと覗いた祝宴の会場は武骨な城の中で異質といっていいほど豪奢なものだった。吊り下げられた大きなシャンデリア。伝説の一場面でも描かれた大きな絵。黄金の細工がされた壁。白いテーブルクロスが掛けられた卓には様々な料理や酒が並べられている。所々にウェイターやウェイトレスがお客への対応をしている。


 俺たちが来たことで来賓が揃ったのか、ジャスコが先に入って帝王ダルトンに話しかけると、凛とした涼やかな音が鳴った。人々の喧騒が静まる。


「此度は我ら帝国がモンスターどもに蹂躙されかけるという大きな厄災があった。多くのサイクロプスやキマイラどもが群れを成してウィズタートの都市を襲うという未曽有の危機だ。言うまでもないことだが、ウィズタートの都市は帝国の対魔軍に対する最前線都市。ここが落とされたならば、次はこの帝都が危機に陥ったかもしれない。そんな中、4人の冒険者が活躍して、このモンスターどものほとんどを討ち果たしたという。紹介しよう。ウィズタートの英雄たちを」


 目の前で扉が開く、入れという意味だろう。会場に入っていく。人々の視線にさらされるが、出来るだけ堂々としておく。後は勝手に勘違いしてくれることを祈るのみだ。


「まずは多くの敵を討ち果たした紅玉のレク・コレント殿。王国の貴族でありながらミスリル冒険者として活躍しており、この度の事態で最も活躍してくれた」


 俺が王国の貴族であること、子どもでありながらミスリル冒険者であることにどよめきが走った。


「次に我が息子ロイアルク。レク・コレント殿の背中を守り戦場を駆け巡ったという。我が息子ながら大変な活躍ぶりであったという」


 ロイアルクを称える声があちらこちらで聞こえるが。その活躍を疑問視する声もちらほらと聞こえる。最近急激に強くなったから信じられてないのかもしれない。


「さらに、救護所にて未知の魔法を使い、多くの怪我人を癒し続けた。クーデリカ。領軍においては彼女を聖女として称える声もあるそうだ」


 あれが例の、とか無能と呼ばれていたのにとか、美しいとか聞こえてくる。元々クーデリカは才能の塊で美少女だから当然の結果である。クーデリカが小さく聖女じゃありませんとか呟いている。諦めろ。


「その救護所がモンスターに襲われたとき颯爽とモンスターに立ちはだかった聖女の騎士。その鉄壁はモンスターを通さなかったという。マリアンヌ」


 メイドなのに騎士になっている。あんな華奢な身体でと疑問視する声がちらほら聞こえる。

 全体としておおむね好意的に迎えられているらしい。


「ウィズタートを救った四人の英雄には、猛獅子賞を授与することとする。皆の者拍手を持って称えよ」


 雨音にも似た拍手が降り注いできた。俺は人の多さにちょっとうんざりしていた。

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