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装備更新

 洗い終わったハヤブサの指輪を装備して次の冒険に繰り出した。


 六日目もピクシーとゴブリンと薬草集め。今日少し問題になったのはハヤブサの指輪ぐらいだ。朝から着けっぱなしにしていたら、フレアとイリス姉さんに早歩きでどうしてそんなに急いでいるの?と尋ねられた。都市の中では外しておいた方がいい装備なのかもしれない。他の人にとって違和感のある動きになるらしい。


 昨日の一日でレベルが16に上がった。次の段階にいくときだ。


 というわけで今日は、装備の更新のため鍛冶屋などに行くことにした。今まで貯めてきた合計金貨九枚相当を財布に詰め込んだ。

 

 レクの短剣は貰い物であるため、レクにとっても俺にとっても初の武器の購入である。物語の定番として、その武器は使えねえのさ。しかし、アイテムウィンドウを見られる俺なら使用条件が分かるぞ。というのを期待したい。


 というわけで金床と槌の紋章が刻まれたプレートがかかっている店舗に突入してみる。レクは買い物をするお金がなく、俺はゲームくらいしか買うものがなかった。交渉する自信がまったくない。


「あぁん?ここはお前のようなガキが遊びに来るような場所じゃないぞ」


 来ました。定番のやつ。俺は勇ましく切り抜ける。


「すみません。これでも中級冒険者になりましたので、装備の更新をしたいと思い、こちらのお店に伺ったのです。遊びや冷やかしではないので商品を見せてはいただけませんか」

「お……おう。お前さんが都市で噂になってるレク坊か。悪かったな、武器選びで悩んでいるなら相談に乗るから見ていってくれ」


 良かった。平和的解決ができた。


 店内の飾り棚には様々な武器が飾られている。残念なことと言えば、お店の樽に中古の武器が詰め込まれて置かれていないことである。さようならデル●リンガー。


 さて、気を取り直して店内を見回すと、それほど選択肢がないことに気がつく。レクは9歳でちっこいため、普通の剣を背負っても地面に線を描くことになる。かといって、筋力の要求値の低い武器なら短剣とそう変わらない。悩みながら店内を見回していると、鍛冶屋のおじさんから声をかけられた。


「それでレク坊はなにで悩んでいるんだ」

「それが、ここの武器は俺には長すぎるんだ。かといってこいつ以上の武器っていうのが見つからなくて」


 腰のベルトに差した相棒を鞘ごと、おじさんに差し出した。


「もっと重いやつとか、魔法使いでも使える短剣とかないかな?」

「お前さん、魔法の才能もあるのか。ならいいやつがあるぞ」


 おじさんは嬉しそうに顔を緩まして、店の奥へと向かっていった。しばらくすると、一つの箱をカウンターに置いた。


「開けてみな」


 開けると、翡翠でできたショートソード入っていた。透き通った剣に思わず見とれた。筋力の要求値……大丈夫。知力の要求値も大丈夫。刀身の長さも問題なし。理想的だ。


「おじさん、すごいよ!完璧だ」


 おじさんはまんざらでもなさそうに鼻の下をこする。


「おう、魔法使いの護身用に作ったはいいが売れなくてな。奥にしまっておいたんだ」

「そんなこと、わざわざ言わなくてもいいのに。おじさん、いくら?」

「金貨五枚だ。払えるか?」

「大丈夫だよ。これでも中級冒険者として活躍しているからね」


 ほとんど銀貨での支払いになってしまったが、支払うことができた。

 カウンターにジャラジャラと銀貨を並べる俺におじさんは苦笑していたが、何もいわなかった。


 新しい相棒を腰に差して鍛冶屋を出る。


「本当にありがとう。俺はレク。おじさんは?」

「儂はガンダってんだ。毎度!」

「俺、この剣で大冒険者になってみせるよ。この店繁盛させちまうけど、ごめんな」

「あっはっは。そりゃ楽しみにしておくわ」


 続いて防具屋へと向かう。騎士の兜の紋章が刻まれている。というか隣の店舗だった。


「ごめんください」

「あら、中級冒険者のレクさんね。いらっしゃい」


 こちらではお客さんとして最初から扱ってくれるらしい。というかこの都市で俺ってどんな噂になっているのだろうか。


「すいません。防具が欲しいのですが、ありますか?特にサイズが」

「ありますよ。騎士や貴族の子弟たちが買っていかれますから。金属鎧と皮鎧どちらになさいます」

「金属鎧を試してもいいですか」


 ゲームの『ルーンレコード』では、俺は金属鎧を利用していた。物理防御力が高いのももちろんだが、騎士っぽい見た目がかっこいいのである。かっこいい、これはテンションの観点から重要な要素である。


 しかし、問題が発生した。視界が悪く、動きづらいのである。ゲームのときはこんなことなかったのに。泣く泣く金属鎧を諦めた。


 それからいくつか皮鎧を見せてもらったが、どれも性能が低かった。


「金貨三枚迄なら支払えるので、もっといい皮を使ったものはありませんか?」

「これ以上となるとバイオレントカウの皮で作ったものならあるんだけど……金貨三枚かあ。うん。レクくんの将来性に賭けてそれを売ってあげる」


 灰色がかった皮鎧が奥から引っ張り出されてきた。試着してみると。意外と柔らかく行動を阻害しない。


「いいですね。これ」

「そうでしょう。大人用の皮鎧がみんな買われちゃったくらい、いい出来なんだから」

「すごい気に入りました。これをください」

「レクくんの将来を見込んでなんだからね。活躍したらリエル防具店の宣伝をしてね。期待しているわ」

「はっはっは。まかせてください。これでも大冒険者になりますから」

「まあ、なんて大口。期待しておくわ」


 これで装備の更新が終わった。あとは、商会で状態異常回復のポーションを買わないといけない。深部のハーピィは眠りの状態異常を持っている。くらうつもりはないが、保険は用意しておかなければならない。

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