新しい世界の夜
「この街も…もう終わりだ…」
アディール都市部
傭兵たちが溜め息と共に愚痴をこぼす
それを耳に挟んだこのなかでも一回り若いアインは静かに怒った
実はここ最近、魔物だの獣だのが凶暴化したようで、国が雇う兵士たちの数では足りなくなったのか市民たちは傭兵として雇われることになったのだ
傭兵とは言っているが、徴兵とやっていることは何ら変わりがない、なんなら昇給が無い分それより下かもしれない
だが元々アディール以外の国では強制徴兵が当たり前で我々の国がそれを実行せずに国を守れていたというのが奇跡に近い
つまり無知が寝言を言っているのだ
アインは怒りを抑えその場を離れた
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いきなりの衝撃に目を覚ました俺は息を呑んだ
自分を中心に隕石が落ちたような痕跡が残っており、その周りには木が生い茂っていて生き物がいるような気配もない
そんな仰々しい景色に俺は圧倒されていた
「何処だここ、何で俺はここにいるんだ」
そして、ふと自分を見るとフードを被っているのに気付いた
あぁ、思い出した
高校3年生の夏俺は自殺したんだ
俺は昔から親や先生に人と比べられ、自分に嫌悪感を覚えていた
そして、いつの日か自分が人の目に映らないようフードを被って生活していたが、比べられる毎日に耐えきれなくなったある日ビルから飛び降りた
そして今、せっかく新しい世界に来たんだ
この世界では楽しく生きる!!
そこからはまず行動だということで立ち上がり、人を見つけようと森の中を歩いた
しばらく歩いていると、木の隙間から明かりが漏れているのが見えた
俺はすぐさま駆け出した、そして
「街だ!街があったぞ!」
街があるのか、人はいるのかという不安が渦巻く中での街の発見に歓喜に渦巻かれ喜んだ
俺は口角を上げ街へ目がけ駆け出すがやはりフードを被ってしまうのであった