5-10.弁当屋2
「らっしゃいま・・・」
「・・・」
「あれ、そうだよな、人違いじゃないよな。何だ、偶然か」
「・・・まあな」
「へえ。今はどうしてんだ。まだ博打やってんのか」
「ああ。お宅はずっとここか」
「いや、ときどき変わるよ」
「ん、転職すんのか」
「そうじゃなくて担当場所が変わるってだけだ」
「ああ、そういうことか」
「そうだ。あの後、大丈夫だったのか」
「大丈夫・・・ではなかったな。色々と警察に聞かれた。半日以上は拘束されてたな」
「半日以上も。何で」
「リリイ・ルウの仲間かとずっと疑われてたんだ。お宅はあの後どうした」
「何か普通に逃げれたよ。ポイントナインが他にも居てな。ツヅキを車に乗せて俺は走って帰った」
「あの小銃は」
「ポイントナインが持って行った」
「そもそも何であの賭場に居たんだ」
「ナカセに教えてもらったんだよ。たまたまあいつが俺の所に来てな」
「そう・・・」
「・・・」
「・・・」
「どっかに行くのか」
「ああ」
「弁当買うのか」
「じゃあ、買おうかな」
「シューマイ弁当か」
「・・・そうだ」
「七百六十両」
「・・・」
「・・・ぴったりか。じゃあこれ、はい」
「・・・それじゃ」
「あ、カイライ、箸。そういえば、カイライって、どっちだ。苗字?名前?どっち」
「苗字だけど」
「フルネームは」
「フルネームは、カイライ・ノバ・クチウチ」
「え・・・」
「・・・」
「凄いな、お前のフルネーム」
完
明日から新シリーズ「ハブの切り札」よろしくね!