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第十三話 白仙の不運



 城内へと戻った白仙。


 城内は至って平凡で軍の力を過信しすぎている節もあるが、白仙が戻った瞬間数名の使用人が客室へと案内するのだった。


「何かありましたらお呼びください」


 そういってメイド服を着た女性が扉を閉める。


「まさかあの竜が知能高いなんて思ってもおらんかった。まさか、戦況が悪いと思った瞬間後退を開始するなんての」


 白仙のいう通り、白仙とオサキによって仲間が三匹やられた瞬間、残りの残党すべてが今までじりじりと城の方向へ攻めていたのを後ろへと逃げるように下がっていた。


 だから、アルギに対して見えていないと白仙は言い放った。


 あのまま放っておけばこれ以上の損害なく、勝利を敵撤退で納めれたものを後退中の残党へちょっかいをかけ、カーゴン側の「何が何でも生きて帰る」という思いにより損害を得てしまう。


 あそこは普通に撤退させておけばよかった。


 カーゴン側もこれ以上の戦闘は避けたかった。


 白仙が追撃できるところを追撃せずに地面へと降り立った行為。


 これをみたカーゴンの三匹は白仙による撤退要求であると捉え、白仙という危険人物からの追撃を待逃れれる。ましてやこの危険人物の情報も国内へ持ち帰ることが可能。


 ならば。あの味方を三頭もやった奴の言うことに従って撤退しよう。


 その考えは、カーゴンが人語を話せ、それなりの知力を持っていたからこそ。その結論に行きつき、撤退を開始しようとしたのだ。


「馬鹿なやつらじゃの」


 これらすべてを見透かしていた白仙は天井を見上げ、呟く。


「しかし。何かこの先嫌な予感がしてならぬのじゃが・・・」


 サブステータスバーにはしっかりと黄色に染まった不運の文字が映っているのが何よりもの証拠であった。


「あとは。報酬など受け取りとーないのだがの・・・」


 はぁ。とため息を一つついた白仙はその夜。


 また窓をぶち破って城の外へと逃走した。


 

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