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旅の途中  作者: 堺大和
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貧乏神

女房がボチボチ ぐずぐず言いだしまして

女「ちょっとあんた 二階の客 あれはなんですねん」

亭「二階の客て…」

女「あのヒョロヒョロした客」

亭「ちょっとまてや ヒョロヒョロした客て」

女「二階のあの汚い服着てる客 

あの得体のしれない客

あの着ているもの何やねん 

どうにかこうにかの服装やで

ヒョロヒョロしてこけたら避けそうな服

袖つかんだらビリって避けそうな服

そやさかい ヒョロヒョロした客や」

亭「そないえげつないいいかたしたりなや」

女「毎日毎日仰山仰山酒ばかり飲んで

いっぺん一度勘定してもらっておいで

勘定をしてもらっておいでて いうてるねん」

亭「また 立つときにな」

女「何言うてるねん 

こんなのん待ってたら何時になるか解らんがな

うちは五日目ごとにもうてますて

勘定をしてもらっておいでていうてるねん」

亭「それがそういうわけにはいかんのや」

女「何でや」

亭「泊まる時最初にな 

旅立ちの時纏めていただきますから

結構ですて儂いうてもうたがな」

女「何言うてるねん あんた… 

相手の顔を見ていいなはれ そんなことな

あれは金持ってへんで」

亭「そんなことはないわな」

女「なにいうてますねん 

私はな ここの宿屋で生まれ育ってるさかい

小さい時からズット客の顔を見て大きくなってるんや

あんたは途中から来た養子や」

亭「養子 養子ていうな」

女「物の道理をいうてるねん 私が睨んだら間違いない

そこそこ金持ってる客か 一文無しか

私が睨んだら間違いないわ」

亭「そんな一文無しっていうこと無いやろ

大きなこと言うてるで」

女「大きな事言うのが危ないのや 

あんたはそんなことも解らへんのやさかい

あの客 貧乏神やで 貧乏神に見込まれるって 

あんたの貧乏性やさかいや

勘定が言いにくかったら 

酒代だけでも現金でおますさかいに

酒代だけでも払ってくれて言うておいで 

またぶらぶらと出て行ってもうたらかなわんさかい

今行って捕まえておいで」


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