最終話 あいあむ!翔楼(オリジナル)!
結局、俺はなれたのだろうか。
2年の4月に思った理想の俺に。
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『よろしくお願いします!!』
『こんな自分を変えたいんです!』
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こんな…かw
確かに一気に変わったから何事かとは思われただろう。
ハイパー陰キャ→陽キャ
仕方がないねw
誰しも1年の頃は様子見みたいに猫被って過ごすよね?
2年からが普通の自分って感じ。
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色々な学んだ。
この1年と数ヶ月という短い間に。
そして出た答えは否だった。
俺は理想にはなれていない。
でも分かった。
自立は出来ても人は1人では生きられない。
たくさんの人、少なくとも1人以上から支えられて生きている。
理想ではない、けど成れたよ。
俺という概念に。
俺、『伊達翔楼』と言うオリジナルに。
全ての始まりは【あるぺじお】で、そうした事を学ぶ旅の終着点もソコだった。
たかがものの1年と少しでここまで成長出来たとは思わなかった
何もかもがココに、【あるぺじお】にあった。
周りが歳上ばかりだからなのか、同い歳とは違う考えだったり、何もかもが上回っている。
例えば事故に遭ったときだったり。
例えばあーちゃんとの出会いだったり。
例えばアリスとの出会いだったり。
気付かされた。
1人では何も出来ないのが人間だと…。
だから人は支え合いながら生きていくのだと。
過去の俺にはバカだと笑い、
今の俺はイマという未来を生きている。
【あるぺじお】で学ばされた事は未来を生きる俺の体を創る大事な欠片だった。
【あるぺじお】に入った時の俺はその欠片を埋めようとせず、そもそも他人に頼るのをやめようとしていた。
しかし、今に至るまでしてきた事は『他人と付き合う』
色々なスタッフの方だったり、時にそれはクラスメイトの時もあった。
そうして接してきた経験が、
今も胸の中で塊になって揺るがないんだ。
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【卒業式】
卒業生として在校生よりは遅く登校した。
しかし少し遅すぎたかな。
クラスは賑わっていた。
ドアを開けるとクラッカーが俺に目がけて飛んでくる。
流石に目を閉じて顔を守ろうと手で顔を覆う。
『ありがとう、お前 (あなた)のおかげで俺達(私たち)は夢を持てたよ』
クラスメイトが俺1人に向けてみんなで練習したであろう団体芸をしてくれた
おかげで俺の身体は固まって動かなくなった。
そして滝のように涙が溢れ出した。
俺は卒業生代表として式で挨拶しないといけないのに…
ソコで泣くつもりだったのに。
「ちょっと…式で泣くだけで終わりにしようとしてたのに……」
「こんな所で泣かせてくれるなよ………w」
「でも、ありがとう…」
「俺の言葉がちゃんとみんなの心に刺さって、そしてちゃんと夢に気付けて……」
ただただ涙が止まらない。
最後にそんな事を言われるなんて思わないだろw
「とりあえず火薬くせぇから窓開けようぜ?w」
俺がそう言うとみんなワイワイと好きな事をし始めた、どうやら俺の反応を待ってたらしいw
すると先生が来て卒業を祝って下さった。
そして式が始まった。
およそ1時間ほどの間、椅子に座りっぱなしで話を聞いた。
>卒業生答辞、代表起立!
「はい!」
来賓の方、そして職員に向けてお辞儀をして、舞台上の校長に向けて歩を進めた。
「僕は、この高校の生徒であった事を誇りに思います。
僕は2年生の頃、事故に遭いました。
退院して、始めて登校した時は変な反応をされるのだろうと思って登校しました。
そして秋月先生に呼ばれ教室に入りました。
案の定クラスメイトは僕を見つめました、変な物を見るように。
でもそれは違いました。
『キミの座席は変わっていないよ』
『みんなの意思で、以前のままにしておこう』
『迎え入れる事が出来るようにって席替えはしていないんだ』
僕を迎え入れてくれたのです
たかが1生徒の為にみんながそこまでしてくれた事に涙しました。
このような大きな場を借りて、先生方、そしてクラスメイトの皆に感謝しようと思います。
ホントにありがとうございました
最後に言葉を残して答辞と致します
コレはクラスメイトには既に言いましたが、この場を借りて全校生徒に向けてもう一度言います。
高校最後の年は勉強に集中しなくてはいけません。
でも1度考えて欲しいのです、
この場に居る全校生徒。
その中に、ご両親から大学に行けと強要されていませんか。
でも親の言葉は絶対だろうか、守らないといけないのか。
答えは否です、僕達は時に反抗し、時には賛同し。自由に生きてきました
僕達を縛るのは校則、社会のルール、法や憲法だけです。
我々は自由に生きていい権利がある。
両親からの圧に負けてはならない、いつも抗ってきた、今回も。そして、これからもそうでしょう。
本気で就きたい職業の事を考えて下さい。
この際、両親の事は気にしないで欲しい。
好きな職業じゃないとその仕事にやり甲斐を見つけられなくなってしまう。
だから志は高く。夢を追い続けて欲しいと思います。
以上を答辞と致します」
「卒業生代表、伊達翔楼」
普通は起こるはずのない。ものが聞こえた。
それは在校生、卒業生、来賓の方から拍手の音が聞こえてきた。
正直、今朝の事がなかったら最後の一言はなかった。
これまた感謝だなw
そしてまた来賓、職員に辞儀をして席に戻った。
そして式が終わり、退場。
もちろん俺は泣いたよ?だってこれ程悲しいことなんて無いだろうよw
ここまでしてくれたクラスメイト達との別れなんだから……。
クラスに戻って集合写真を撮った。
クラスメイトのほぼ皆と写真を撮った。
容量なんか気にせずに何枚も、何枚も!
こうして写真にして閉じ込めないと。
みんなが居なくなってしまう…
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そして今はただ、立ち尽くす。
最愛の人と式典に出れたから。
「I am なにかしらです」
「私は 翔楼です」
「愛してます、心から大好きだと誓おう、何度でも言います」
「産まれてくれて、ありがとう。」
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今は大学生しつつ、【あるぺじお】に勤めております。
流石にもう若くないから女性スタッフ(偽)としてではなく、唯一の男性スタッフとしてね。
どのみちチヤホヤされる事に変わりはないけど、コレでいいんです。
俺は、俺だからする事をしてます。
俺は翔楼だから。
今まで受け取った苦い味も。。。
珈琲の豆とは比べものにならないぐらい、
甘い甘い嘘でした。
【あるぺじお】の店内の一角に俺は1人でコーナーを設けた。
【人生相談コーナー】
張り紙にはこう書いて置いている。
「悩みはありませんか、些細なことから何でも。」
「コーヒー一杯はおまけします、悩みの種を砂糖のように溶かして差し上げます。」
そう。俺は俺のしたい事をする。
お悩み相談窓口の売り上げが下がる?
そんなもの知るか!w
ちゃんと聞いてくれないぐらいなら、こんな俺でも聞ける些細なことから何まで答える!
それが俺の生命の意味。
そこに
予約リストを設けた。
火曜日と金曜日のうちの希望する日。
そしてご来店可能な時間を記入して。
始めてから数ヶ月経った、
そんな今でも予約リストは常にびっしりと名前が書き綴ってある。
街の一角のとある喫茶店にて
貴方のご来店、お待ちしております
結局、俺はなれたのだろうか。
これにて
あいあむ!なにかしら!の物語の終結とさせていただきます。
本当に今までこの作品のご閲覧ありがとうございました!




