第49話 Fragments of Crystal
どうしようどうしよう…!!?!?
いつもになく俺は焦っている!!
それもそのはず、仲良かった女子から「好き」と伝えられては焦るというかなんと言うか…。
戸惑っている?これが正解かっ!?
もう分かんねぇやw
でもどう切り返せば痛くない?
どうしても俺が今から放つ言葉は切れ味が高くて触れれば怪我するような……
少しおどけて時間を得よう。それが今の俺に出来る精一杯だ。
「え…????あ、あの。出来るなら、もう1回言ってくれない?聞き取れなかった!」
ごめん俺彼女いるんだわ←これは切れ味MAX+煽りスキルEXだから絶対言ってはならん…
どうしよう…!!
「もう…だから………好きだって言ってるでしょ!!」
典型的なツンデレの例だ。なんて思ってる暇はない
今の俺にはソレに答える言の葉を探さなければならない。
「ありがとう、たしかに受け取りました。」
「今の俺には返すことは出来ないから受け取るだけにしておきます」
「あっ、でもね!好きだよ!!?」
これが今の俺に出来うる限りの怪我をしないように配慮した言葉だった。
コレに不満を覚えるだろうなぁとは思ったけど
どうやらそんな感じを見せなかった。
「私ね、実は恋なんて初めてだったんだ。」
「だから私、このモヤモヤはなんだろうって、ずっと探してたんだ」
「とある曲の歌詞が酷く今の私には刺さって、気付いたんだ。これが恋なんだって。」
ダメだw涙出そうだわwww
俺こういう話にホントに弱いんだよおおおおおお!
「そうなんだw初恋、実ったらいいね♪ 」
あああああああああ心がバキバキ言ってるんじゃあああ!!
良心が痛むとかじゃなくてホントに辛い。
仲良くする事は出来るけど、これ以上縮まる事はないし、離れることもない仲っていうのがまた辛い。
一定の距離を保つ事が辛い、難しい。
誰でも分かるだろう、こんなもの。
彼女以下、友達以上。
その境にあるのは親友では無い何か。
俺は……何を、したかったんだろう。
普段そんなにアリスとは話さないから辛くないけど、話す時がある。その時が酷く疲れるんだろう。
これから1年間。
全ては我慢。
1年後
高校という世界から解き放たれるのも、
このクラスから放たれて悲しい思いや辛い思いをするのも。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
どうもアリスのことが全然頭から離れない。
バイトにもあまり集中出来ず、少し浮かれていた。
「かけるー?どうしたの??今日やたらとボーッとしてるよね?」
休憩時間の中姉さんが話しかけてくれた。
さすがは我が姉。俺の様子なんか見通している。
「実はさ…」
疲れきっていた重い口を開いて説明した。
「うーん、辛い。でも翔楼は明澄香の事が好きなんでしょ?」
「たしかに優しい優しいお姉ちゃんに似た翔楼なら、そのアリスって子にも愛想を振り撒いてしまうね♡」
「でも、だからこそじゃないの?学校では仲良くする。言い方は悪いけど、ビジネス彼女ってワケにはいかない?」
ビジネス彼女。
上部だけの関係って事かなと推測する
俺はアリスを好きだけど、あの好きの意味は異性としてではなく、個人として。
それをアリスも承知の上で話を聴いていた。
学校だけの関係になってしまう、それでいいのなら俺はお付き合いする。
「ありがとう姉さん、少し決心がついたよ」
「よーーーっし!今からアクセル踏み込んでくぜええええええっ!!」
なんて意気込む閉店2時間前。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そして翌日。
学校にいつもの時間より少し遅めに行った。
むしろ遅刻ギリギリラインを狙って学校に。
その途中にあーちゃんにLINE。
『今日少し遅れて入りそう!』
『遅れる分頑張るから許して!!(>︿<。)』
放課後まで俺は授業に集中出来ずにいた。
ソワソワして仕方がなかった。
そして同時に心配と不安も。
確か5限目の途中ぐらいだったっけな!
俺は勇気を振り絞って話しかけた。
話しかけないと放課後のお呼び出しも出来ない。
「あのさ、アリス」
「今日の放課後、時間あるなら教室残っててくんない?」
少し目を光らせた様子を見せた
「放課後教室ね?分かった」
多分少女漫画とか見てんだろw
あの目の輝きようはそうだw
『教室を最後に出る生徒は施錠して職員室に持ってきてくれたまえ!!』
『では良い週末を!』
うちの先生はいつも週末を楽しみにしている方で、時間さえ空けばすぐ京都や奈良など日本文化に触れる。
なお、教える教科は物理w
矛盾してるけどそれだけ、この国『日本』を愛してるって事だろうw
そしてクラスは静寂になった。みんな早く帰って好きな事をしたいからね!w
「「あの!」」
息があった。
アリスは目の前で少し顔を赤らめた
「俺から言うね、アリス少し心の準備してて。」
「今から恐らくキミにとって酷いことを言う」
少ししてから答えた
「もういいわよ?」
「じゃあ言うね。
俺、彼女居るんだ。」
絶望するなりなんなりすると思っていた俺がバカのようにあしらわれた。
「で?w」
予想外過ぎる。え、いやさ!
普通泣き崩れるとかさ、呆然と立ち尽くすとかさ!
アニメであるじゃん!アニメの見すぎ?現実って上手くいかないもんだねw
そして更に言葉は紡がれた
「いや、かける君に彼女が居るのなんて分かってるわよw」
「あの喫茶店の店長さんでしょ?この間一緒に居るの見たものw」
あっあっ…
「そこで!俺からの提案だ。」
「『学校でだけ』と言う縛りの元ならお付き合い出来ます」
今までニコニコしていた目が輝きを失い、本気の顔になった。
「それっていいの?貴方の彼女さんが何か言うんじゃないかしら?」
「もしそれでいいとしても…ホ、ホントに私が貴方に付き合っていいの…??」
一気に女の子になった。
面白い
「別に俺はOKだし、あーちゃんには何としても許可とるよ」
「それでキミが幸せなら。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ここで補足。
アリスもあーちゃんと似たような扱いを親から受け、あとから産まれた妹の世話とかを押し付けられ、ほとんどと言って自分がしたい事が出来なかった悲しい過去がある。
「この喫茶店に来て俺に用があるなら呼んでね、お話ぐらいは聞けるし相談には乗るから」
そんな風に言って何度かお話を聞いてまとめた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「今までを楽しんでない、言い過ぎかも知れないけど多分そうでしょう。」
「だからせめてこれからの1年間。学校に居る間だけにはなるけど幸せになって欲しいし、自分の生きる道を確立して欲しいなって」
「好きな事で生きていってほしいなって思う。」
「だから、これから1年弱の間よろしくね、アリス♪ 」
◆◇◆◇◆
【閉店後】
あーちゃんを家に呼んで俺の部屋に招いた。
打ち明けると物凄い怒られた。
承知の上で踏み込んだ道だから怯みはしなかった。
「ごめん、でも彼女のためを思ってなんだ…」
「少しは分かって欲しいんだけど、彼女もあーちゃんの過去みたいに、彼女には妹が居てね?」
「そう、なっちゃんの事なんだけどね…
親から世話を押し付けられて、幼稚園児になった頃ぐらいからもう押し付けられてそれ以来全然自分の好きな事が出来ずに縛られていたんだ。」
「だから俺と関わったこれからあと1年弱の間はめいっぱい楽しませてあげたくて…」
なぁーんだwとあーちゃんは疑う事をやめてくれた
「え、許してくれるの?」
全てを見透かして言った。
「だって言っても無駄でしょ?w」
「もう少しで半年になるんだよ?もうしょーちゃんの事なら、誰よりも分ってるかも知れないまであるよぉ?w」
つい涙が流れた。身体が叫んだ。
「ありがとう、あーちゃん!」
両の腕を差し出され、そこに吸い込まれるように抱き着いた。
たまに敬語になるのはやっぱり歳上と意識しているからなのだろうか
「ありがとう、これからも大事にします」
「アリスと仲良くても、俺の身体は絶対に貴方の物ですから、好きにしてください」
「あーちゃんにはホントに助けられてばかりで…」
「感謝してもしきれないよ……」
「ありがとう…」
今回もご閲覧ありがとうございました!
お次最終回です!
お気をつけて頂くのは物凄い勢いで話が進みますので、なんとなくで読んでください!
描写をハッキリ見てると分からなくなるので人物のした事だったりを見ていてくださいまし!




