第28話 愛コンタクト
「ありがとう、あーちゃん。」
背中を軽く叩いて離れる
「さぁ!お仕事!頑張りましょ〜!!!」
するとみんな笑い出す。
そりゃそうだwついさっきまで泣いてやがったヤツが急に元気になるんだもんなw
まぁ俺という人間がそんな感じだから仕方ないだろうし、皆ももう知ってるでしょ。もう6~7ヵ月の付き合いだしw
中には笑い泣きをしている方も。
でもこの涙は面白過ぎて泣いた訳じゃない、久しぶりの感覚につい、うるってきた人だろう。かく言う今さっきまでの俺がそうだったからねw
なんか社会的身分は低いくせに仕切るのは図々しいと思うけど、それで皆が活気だってやってくれるなら俺はこのまま続けるよ。
さぁ!頑張るよ〜!!!!
久しぶりの復帰でお客様も心配して下さってた方が居て、めちゃくちゃ嬉しかった。
そして時間はそろそろ18時を指すのだがまだクルクルさんは来てくれるだろうか、
なぜ、俺が18時を指定したかというとこの様におかえり会していつもの開始時間とはラグが生じると思ったからだ。
そして接客し続け、気が付き時計を見たら18時57分。
「行けたら行くけど期待はしないでね」
そう、言ってたじゃないか。
何でこんなに期待しているのだろうか。
するとノブが回り、ドアベルが鳴る
そこには息を切らした女性が。
そう、俺が呼び出したクルクルさんだ。
「あーちゃん、あの子の接客やらせてもらっていい?」
「ちょっと学校で約束して…ね?」
「むぅ~。まぁいいけど!」
そうは言いつつも顔は素直じゃない。
表情はしょぼんとしており、頬を膨らめてる
そんなあーちゃんにポンポンと頭を叩き
「ありがとう」
そう呟きクルクルさんのもとに行く。
「来てくれてありがとねw」
「てっきり来ないのかと思ったよ、そんなヒール履いてるのに走ってくるなんてw」
「私は時間は守る主義なの、19時になってなければ19時じゃないでしょう?」
「そうだねw」
「なにか持ってくるよ、何が良い?」
「じゃあいつものコーヒーと…そうね、あなたのオススメがいいわ」
「はーい、いつものカプチーノとオススメねw」
「ところで私を呼び出した理由を教えてよ、どうして?」
「理由って言うかただ単にお礼がしたかっただけだよw」
「朝のはホントに助かった、ありがと。」
「ところで悪いけど佐原さん下の名前教えてくれない?」
「朝はあんな強気なこと言ったけど思えば名前知らないなってw」
「お礼がしたいがためにこんなところに呼ぶバカがどこにいるのよ!w」
「佐原有莉朱」
「有野課長の有に茉莉花の莉、朱色の朱でありすよ。」
「ありすは何で有野課長知ってんの?w」
すると少し頬を赤らめた。
「ごめんないさい伊達君、もう一回名前で呼んでくれないかしら」
?(・_・;?????まぁいいけどw
「ありす?」
すると佐原さんもとい、ありすの瞳から大粒の水の雫がコーヒーカップへと落ちる。
ミルククラウンではないがそれに似たものが見えた。
「どうした??」
「いえ、ただ…下の名前で呼ばれたのが嬉しくって…。」
なるほど?この人もあーちゃんみたいに少し問題があったんだな。
「こんなのは彼氏にしてもらうべきなんだろうけど、生憎俺は泣いてる子を見過ごせるような質じゃなくてねw」
俺が包み込む。
この寒い中走ってきたのだ、体はもちろん冷えていた。それと同時に冷えている心も多少感じた。
エスパーなんかじゃないけど、分かるんだ。何となく。
そしてそのまま数分が経過し…
「落ち着いた?」
「うん、その…あり…」ゴニョゴニョ
「ん?今なんて?」
「なんでもないっ!」
さらに頬を赤らめる。
「相談ならいつでも乗るから。」
「あっ、でも一応来るときは前もって教えてね?」
「帰ってたらどうしようもないからさw」
ついでにLINEを交換しあった。
「あの、伊達君、お金は…?」
「んなもん要らないよw」
「俺が呼びたくて呼んだんだから俺が持つよw」
「あっもう夜だから気を付けてね、早く帰るんだよ~?」
「ちょっと待った、奈津未居るかしら?」
「あーちょっと見てくるね」
奈津未とは第9話にて出てきたありすの妹、うちのいっこ下のスタッフだ。
居た。
戻る。
「居たけどどうする?」
「一緒に帰るわ、もうあの子も時間過ぎてるでしょ?」
「そういえばそうだね、呼んでくる!でもお着替えがあるはずだから多少はかかると思うよ?」
「それぐらい分かってるわよw」
「じゃあ言ってくるね。」
なっちゃんにお伝えすると分かりました~と快諾。
ちなみに俺たちが話していたのは普通の席ではなく、ちょっとした小部屋でしてねw
普通のお客様は入れないVIPルーム(適当)。
そして二人が帰るのを見届けた。
ずっと話しっぱなしな辺りからとても仲良しに見える。
どうも問題を抱えている様には見えないが、人とはいつも分からないもんだなw
「ごめんね、あーちゃんお待たせ。」
しかし顔をプイッと背けられてしまった。
もう時間は過ぎ、姉さんは先に帰っているしお店も閉まっている。
あーちゃんを抱き寄せる
「…ホントはね……えりかよりも心配してたぐらいね…しょーちゃんの事心配してたの…」
涙が零れ、肩が濡れるのを感じた。
「あーちゃん、今日は我が家に来て。」
「俺も今夜はあーちゃんと居たいんだ…」
着替え、店のありとあらゆる電源を切り、鍵を閉めて帰路をあーちゃんと寄り添って歩いた。
冷たい風に吹かれ震える華奢な手を握り、帰った。
とあるゲームで好きな人達のコラボが始まってしまった…!
また忙しくなりそう!!w




