第二章1 運命
高2の生活が始まってから三日目。俺にしてはかなり濃い内容だったと思う。
思い返してみよう
出会いがあり、好感情を抱き、かっこつけた。挙句の果てには。嫌われる。到底二日間とは思えないような内容だったと実感している。(そこらのリア充たちはもっともっと濃い生活を毎日しているのか?は?羨ましい?そ、そそそそそんなわけないだろぉ?)そう思っていた。俺はリア充になりたいとは思わないが、一人ぼっちの現状を変えたい。そう思っていた。実は椎名も同じことを考えていたのだ。
俺は二日目の夜3時に突然目を開けた。怖い夢を見たらしいのだ。
「え。ええ。そ、そそんなことがあってよかったのか………夢だよな?夢であってくれ。」
まさにガクガクブルブルガクガクブルブルが似合いそうな状態であった。
話は夢の中にはいる………
俺は学校にいた。しかしなぜか、視点というか、いつもとは何か違った感じがした。(まぁ夢だからな。)
すぐに異変に気付いた。俺の周りには女子が蠅のようにたかっていた。という表現が一番いいほどの状況であった。ふと、鏡を見た。俺は声も出ないほどに驚いた。鏡に映っていたのは…
「あれは、こいつら、蠅だろ?ん?てことは、この真ん中にいるのって………」
そう。あろうことか夢の中で俺は椎名の目線で学校生活を送っていたのだった。
「しーなちゃん しーなちゃん」
「りなー りなー」
名前を呼ばれ続けられることにおれは恐怖を抱いた。取り敢えずその場を切り抜けた。教室に着くと、いつも、普段俺が座っている席には、誰か、そう。何か邪悪なものにとりつかれているようなオーラが見えた。普通の人のオーラが無色透明だとすると、そこに座っている奴は、(茶色?いやそれは誉め言葉になってしまう。そうだな?んーヘドロ色をしていた。)俺は今現在椎名の体になっている。(夢だが…)学校生活を過ごすには
、椎名でいないといけない。そう固く己に誓って椅子に座ろうとしたときに気づいてしまったのだ。その邪悪なヘドロ色のオーラを放っているのが、俺。鷲崎奏太だったのだと。俺は反省した。毎日こんな奴に明るくふるまってもらえる俺がなんだか非常に面目ないと思った。先生が来てホームルームが始まった。
「はい。今日は4月4日木曜日。今日は絶好のお昼寝日和だ!」
そう言い残して教室を出て行った。(ちょっとまてよ。確か昨日は、{夢と現実が混じってる}2日だったはず。なんで一日飛んでいるんだ?休んだ?もはや一日爆睡してしまった?)ことを考えていたが、勿論答えは出なかった。
「はっっっっ!!」
ここで俺は目を覚ました訳だ。確認のために鏡を見てみた。俺だった。それは当たり前だ。俺が俺でなければ俺は誰だって話になる。 訂正する。 鏡を見てみた。そこに立っていたのは正真正銘の鷲崎奏太だった。安心と同時にまた睡魔に襲われた。気付くとまた夢の中にいた。そこには立っていたのは仮面をかぶった、性別不詳見た目は人間、推定二メートルほどの人間が立っていた。話すことはなく直接心に話しかけてきた。
「やぁ。鷲崎奏太。君に希望を与えよう。」
声に特徴はなく、非常に聞きやすい?声だった。間もなくその人は、ある紙を渡してきた。
{鷲崎奏太 幸福への道。}
1 睡眠時間を記入せよ。
2 直接害はないが、寝言が多くなる。それに対していいか。
3 これは夢ではない。希望なのだ。了解したか?
~注意事項~
1 睡眠時間は絶対順守とされるため、寝る時刻、起きる時刻の変更は一切認めない。
2 夢で何かミスしたと思ったら、すぐに右手の甲をつねれば目が覚める。逆に左手の甲をつねれば、その地点までをセーブする。回数に制限はないが、起床時刻三十分前は使用できないものとする。
3 起床した際にセーブを忘れた場合そのデータは無効化され最近のセーブデーターに戻る。
~最後に~
・このことは、他言してはならない。発覚した時点でこの効果は失われる。また、この夢で見ることは、すべて現実のものとなるため、悪用を禁する。
以上をもって絶対不変のルールとする。
複数の物事が重なった場合、どちらかのほうになる。それか、その事実はなかったことになる。
同時刻、椎名璃那も同じ夢を見ていた。
二人はもちろん同じ答えを導き出した。
「すべてを承諾します。」
そういった瞬間二人は目を覚ました。俺は自分の体を見た。特に外傷もなく気分が悪いといった体調不良もなかった。いつものように母親に名前を呼ばれ食卓へ向かった。親からは特に不思議がられる様子もなく朝ごはんも食べ終え妹を起こしに行った。何の変哲もない俺には俺の家族全員は無反応だった。(当たり前だが。)俺もそんな状況になれつつあった。
「いってきまーす。」
普段通り一言かけてから家を飛び出した。左を向くと、椎名らしき人物の存在を確認したため走って学校へ向かった。俺は下駄箱に着くなり思い出した。(夢の中で俺は椎名の感情が分かったが、俺って、そんな存在だったの………)少し落ち込みつつ教室へ向かった。教室に着くなりすぐに鞄から本を取り出し、読み始めた。今日はいつもよりも教室が騒がしかった。理由は分からない。俺は(迷惑だよ。人、周りの人のこと考えろよ。リア充共がぁぁ爆破するぞぉ)怒りを込めた内心の声が、周りに聞こえてるのではないかと思えるほどの怒りを込めていた。
間もなくして椎名が教室に入ってきた。隣、俺の隣の席に座った。俺には夢のことが脳裏によみがえりなんというか、申し訳ない気分になった。嫌われた相手とはいえそういうところはしっかりしている俺はこうやって今までの日々を生き延びてきたのかなと思った。椎名も鞄から本を取り出し読んでいた。
その日は特に大きなこともなく一日平和と言えば平和であった。俺からしたら平和の日なんてないが、周りの目からすれば何事もない一日だったのだろう。家への帰り道。俺は今朝の記憶をよみがえらせていた。
(今夜から俺は未来視ができるようになるのか。)何のとりえもなかった俺のステータスに、特技は未来視です。というかっこいいものが出来た。うきうきしていたのか帰り道がすごく短く感じられた。
家のドアを開け、自室に入った。
「あの紙には、睡眠時間を夜11時から朝6時と書いた。現実世界では7時間だが、夢の中での時間の速度がわからない。そこの対応をどうしていくか。あとは、今日することを11時までに終わらせなきゃだな」
ワクワクしているときに限って時間の経過は遅いものである。家に帰ってきたのは午後4時30分今の時刻は35分これだけの話をして五分しかたっていなかった。しばらく時間がたち夕飯の時刻となった。まさに秒と言っていいほどの速さで食し終わった。俺は時間を最大限につぶすために、スマホをいじっていた。
「ふぁぁぁぁ」
飽きた。スマホいじるのが飽きてしまった。ふと時計を見ると10時45分だった。俺は慌てて風呂へ向かった。湯船に浸からずに簡単に体を洗い、すぐに風呂を出た。時刻は10時58分だった。
ラスト二分の120秒の時間がたつのはもう永遠に感じられた。残り1分、カウントダウンをしていき残り一けたになった頃、布団にもぐり寝る準備をした。11時になった瞬間意識がふっと飛び夢の中にとんだ。
夢に出てきた男は言った。複数の場合、どちらかの事実が無効化されるか、どちらも無効化されるという条件だった。
忘れていないだろうか。誓ったのは鷲崎だけか?違う。ともに、同時刻、椎名も誓っていたのだ。
二人の思い描く夢はどちらが現実に反映されるかはわからない。
その事実を知らない二人。誓った以上何も口出しはできない。
そして
彼らの身に何が振りかかるのか。