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2/17

第一章1 俺のこんな日常

俺の日常が変わる?


そんなわけないだろ。


一目ぼれするまでは……

2017年春。

 一般的には春から社会人になる人もいれば、入学など、春は様々なイベントがある。そんな中一人の少年。

 高校二年生になった。初日

「遅刻、遅刻」

と、いつものように俺は、学校へ走っていた。

 俺、鷲崎奏太は、毎日を同じように過ごし、ただただ無駄な日を送っていた。そんな日が、去年いっぱい続いたためか、彼女を作ることは、おろか、リア充にすらなりたくなくなった。確定的に終わっていると思うことは人間には基本的に無関心ということだった。ほぼ高確率で、かわいい。という感情は生まれてこない。やはりそれは、趣味である、アニメ鑑賞、ラノベを読むこと。などに関係があるのであろう。

通学路である角を勢い良く曲がった瞬間、


「ドサッ」


何かにぶつかったのだと俺はすぐに認知したのだが、どの年齢層かわからなかったため速攻ぶつかった人に謝った。目線の先には、道端で座り込んでしまっている、超かわいい女子高生がいた。俺は(か、かわいい)と内心思っていた。


「あ、あ、、ああの..だだ、だだだだ」


安定のコミュ障が発動した。やはり、俺のコミュ障にはかわいさも通用しないのか。と痛感した。もう一回頑張って、


「だ、だだ、大丈夫ですか?」


ひきつった笑顔で、俺は聞いた。(俺今どんな顔してる?変な顔してないかな?早く反応してくれよぉ)

心の声が漏れそうになった。するとその女子高生は閉ざされていた口を開けた。そして、か細い声で


「あ.. ...です....なさい。」


 俺は聞こえなかったのだが、あまりもう一回聞くのも悪いだろうと思い、俺は女子高生のほうを向いて、笑って、再び学校へ走っていった。二、三分走って学校へ着いた。今日はなぜか、学校がいつもよりも騒がしかった。うちの学校には毎年、クラス替えがある。それを見て歓喜している人がたくさんいるのだろう。(まぁ俺には関係ないことだな。)俺は下駄箱に貼ってあるクラス替え表を見た。


「えーと、どこにいるかな。 あ、いたいた。席は、前から三番目か。悪くはないな。隣のやつ{椎名}って書いてあるけど、そんな名前のやつこの学年にいたか?」


 相変わらず独り言多めで、話していた。人と話すことはないのだが、名前を覚えることぐらいはできる。

一応自分の中では全員覚えたつもりだったのに。そんなことを考えながら俺は自分の教室へ向かった。

教室に着くなり、鞄から本を取り出し、読み始めた。(隣の席の{椎名}っていうやつまだ来てないのか。)

少し気にはなっていたがまたすぐに自分の世界に入りこんだ


「キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン」


チャイムが鳴ったが、依然として{椎名}は来ていなかった。すぐに教頭先生が入ってきた。


「えー皆さんに重大発表があります。」


「先生結婚したの?」

「彼女に振られたか?」


先生に野次馬を飛ばす生徒たち。なぜそんなことを言うのか。先生には、付き合って3年になる彼女がいる。それは、みんなの前で公表している。今までの結婚経験は0。したがって、先生の人生最後の彼女になる可能性が高い。そのままゴールインさえできれば、最高だ。まぁ、そんなわけもないだろう。

クラスはざわつき始めた。


「まだ気づかないか?なんで、鷲崎の隣の席が空いていると思う?」


クラスは、サッカーで点を決めてスタンドが大いに盛り上がっているときよりも騒がしかった。俺ももしやとは思ったが、まさかそれが本当だとは思ってもいなかった。

ガラガラっと、音を立ててドアを開いたとき俺の心臓は破裂しそうになった。

 銀髪碧眼で超かわいい美少女が俺のクラスに入ってきたのだ。俺は眉毛を上げ口が大きく開いた状態のまま硬直してしまった。それはあの。朝ぶつかってしまったあの少女だったからだ。俺は平然を装ったが、汗が止まらなかった。(えええええええええええええええええ)内心は{え}の一文字で埋め尽くされていた。少女は黒板に名前を書き始めた。そこには大きな文字と最後に行くにつれて小さくなってく文字があった。


「椎名璃那と言います。この辺に最近引っ越してきたばかりで、あまりこの土地のことは分からないので困っていたら助けてください。あと、あ、しゅ、趣味は読書でえっと、あとは、」


クラスの皆、いや違うな。クラスの俺を含めた男子たちは、満面の笑みでその話を聞いていた。話が終わると俺の席の隣に座った。他の男子からの痛いくらいの、羨望の眼差しが向けられた。俺は初めてみんなからの注目を体験した。意外に恥ずかしいことなんだなと実感した。

 {椎名}はこちらを向いて


「よろしくお願いします。」


と、優しい声で言ってきた。俺もすかさず、


「こ、こここ、こちらこそよろしくな。」


 安定のコミュ障が発動したが、{椎名}は気に留めていなかったのか、前を向いて先生の話を聞き始めた。


「これで今日のホームルームは終わりだ。 みんな一時間目の用意をしろぉ!」


そう言い残して教室を出て行った。途端に、{椎名}の周りには囲うようにして沢山の生徒が集まった。

勿論読書をしている俺の周りにも。静かに本を読んでいたい俺の身からすると、周りに人が集まるなんて地獄でしかなかった。


「椎名さんは、どこから引っ越してきたの?」

「かわいいねー。今度家いってもいい?」

「前いた学校はどうだったの?」


 {椎名}は苦笑いを浮かべていた。(流石に初日になかなかな質問攻めを食らって平気なやつはいないだろう)隣に座っている俺はそう思っていた。その質問にはなんと俺にも来た。


「ねぇ、わし、わし、ざわ君だっけ?お前本当にこんなことの席の隣でよかったな。」


と、煽りも交えながら言ってきた。


「運がよかっただけだよ………っておい。俺は鷲崎な!おいおい。ちゃんと覚えておけよ。」


軽く怒り、また読書をし始めた。しかしまだ、隣への質問攻めが続いていた。俺はあまりの鬱陶しさに思わず、


「おいおい、お前ら、まだ学校来て初日だろ?どう考えても、困ってるだろ。少しくらい考えろよ。」


と、言った。俺と椎名を囲んでいた集団は納得したのか、ばらけてしまった。すると椎名のほうから、


「あ、ありがとう………」


その一言から俺の日常が変わり始める。


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