第三章 好感情
俺は、暖かい布団にもぐりこみ、睡魔に襲われるのを確認した。
━━━━━夢の中━━━━━━
俺は、もう完全になれている。ひとまず場所を確認する。完全にここは俺の部屋だった。再び同じことをするのかと思うと、少し憂鬱な気分になった。
<以下省略>
本当に想像通り過ぎて怖いぐらいにいつもと同じことが起きた。俺は玄関の戸を開けた。そこには………
特に誰もいなく、
まだ至って変わらない、変なところはない日常だった。何分か歩いていくと、目の前に愛華が現れた。
「お、おはよう。」
俺はなぜかわからないのだが、自然に声が出た。
「おー、わっしーじゃん。おはよう。」
優しく返事をしてくれた。俺は少し、ドキッとした。わからないのだが、鼓動が早くなってきた。俺は、高瀬に好感情を覚えたのだ。まぁ、それも無理はない。性格や、表面上の中二発言は痛いが顔は、椎名に並ぶくらいいし、内面も高瀬の奥深くにある感情は腐っていない純粋な女の子で、かわいい一面もあった。
そのとき俺は気づいてしまった。俺は、高瀬のことが気になっているのだと。自分でも驚いた。あの高瀬に好感情と言うか、好きと言う感情を抱いてしまったのだ。椎名にやったかっこつけ。その失敗を踏まえて、慎重に行動しようと思った。一緒にいて別に苦でもないし、椎名と違って堅苦しいところもないからだ。俺にはそういう女の子が似合ってるんだなと、つくづく実感した。
高瀬と一緒に歩く通学路。俺はそれだけでめちゃくちゃ興奮していた。それが夢の中だと、わかっていてもだ。危うく自分を忘れてしまうところまで行ってしまいそうになった。慌てて自我を取り戻し、再び歩き始めた。
━━━━━現実世界━━━━━━
今回の夢の情報はかなり少なかった。俺が高瀬のことを好きになる。と言うことだけが分かった。本当にそうかはわからないが、未来視に嘘はないと確信していた。もしかしたら本当に彼女ができるかもしれない。そこまで考えていた。急に椎名のことが頭をよぎった。
(あいつは俺の恋愛対象には入らないと、思う。あんな奴と付き合うなんてありえない。)そう思っていた。
<以下省略>
俺は、玄関の戸を開けた。そこまでは、夢と変わらなかった。しかし、ここで予想だにしていない出来事が起きた。玄関の扉を開けると、丁度椎名がそこに立っていた。
「は?」
「は?」
見事にハモった。
「かぶせてくんなよ。」
「かぶせてくんなよ。」
またハモった。そして俺が先に話しかけた。
「なんでお前ここにいんの?」
「はぁぁ?学校行くからに決まってるじゃない。あなたこそなんでこの時間を狙って、家から出てきたんだよ?」
かなりご立腹のようだった。
「俺は未来視の通りに行動するだけだから。」
「え?」
「え?」
「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
最後のほうは会話が成り立っているのか不安なくらいに語彙力が低下した。
「い……いま………なな、な、なんて……………」
椎名が、言葉を詰まらせながら言った。俺はすぐにもう一回言い直した。
「だから、よく聞けよ。俺は未来視の通りに行動するだけだから。って言ったんだけど?」
「ほ、ほんとに…………………み、みみみみみみみみ」
「落ち着け。何言ってるかわからん。」
「未来視が使えるの????」
勢いよく椎名はそう言った。俺はすぐに脳内思考モードへ移った。(まてあて、あいつは何であそこまで、未来視が気になってるんだ?わからねぇ。わからなすぎる。もしあいつが使えるなら…………)いかに早く答えを見いだせるかと、とんでもない速さで試行した。ぃかし、今答えが出るものではないことtが判明したのか、観念し、正直に話すことにした。
「俺は、ある日から未来視が使えるようになった。」
「へぇ~そうなんだー。」
軽く流されたのだが、意味ありげな感じだった。本当に何かを隠しているような表情をしていた。すると椎名は、逃げるようにして
「あー。もうこんな時間じゃん。遅刻しちゃう。急がなきゃ。(棒)」
そう言って先に走って行ってしまった。一人取り残された俺は、ただただゆっくりと歩き始めた。
(未来視通りにならない。)俺はこのことについて深く考えていた。未来視はもしかしたら、夢でしたこと、いわば起きたときに最初に見たものとか、歩き始める足は、どっちの足とか、そういうことまで事細かにしないとならないのかとすら思い始めてきてしまった。考え事をしていると、時間が経つのは早い。俺は、校門を向けたとほぼ同時くらいにあることを思いついた。それは、もしかしたら椎名も未来視を使えるのではないか。と言うことだった。普通の人が、未来視できるよ。とか聞いたら、
{はい?中二病ですか?}{未来なんて見えるわけないじゃん。}とか、散々言われる気しかしないのに、椎名の反応は全然違い、逆に食いついてきた、と思える反応であった。俺はそこのところを考えると、やはり椎名は、未来視を使えるのではないか。という答えに行きついたのだ。この答えには少しだが、自信があった。
靴を履き替え教室へ向かった。勿論先に走っていった椎名は、席に座り本を読んでいた。俺はその隣をゆっくり座った。椎名がこっちを振り向き、鞄の奥のほうから小さな紙きれを出し、俺に差し出してきた。
「これ、どっかよんどいて。」
「お、おう。」
小さな紙には、細かい字で、何かが書いてあった。その紙を俺はひとまず、ポケットにしまい、あとで見ることにした。
俺も席に着き、本を読み始めた。
数分して先生が教室に入ってきた。
「はーい。まずは読書しよう。」
教室は静寂に包まれ、小さな物音でさえも気になるほどの物だった。俺はかなりうずうずしていた。紙に書かれた内容がものすごく気になっていたからだ。俺の考えていることが当たっているのか、気になってしょうがなかった。いつも、本を読む速さより、何倍も遅くなっていた。本当に俺は気になっていた。一度そういうことに目を向けてしまうと、気になってしまうタイプの人だった。本当に気になっている。何とか我慢しきり、先生のホームルームが再開した。
「んー。今日話すことが、本当にないなー。」
先生は、手帳を開きながらそう言った。
「今日はおしまい。」
そう言って先生は、教室を出て行った。俺はすぐさま、トイレに向かった。トイレに着くと俺はすぐにポケットから、手紙を取り出した、
{鷲崎へ。}
おいおい。呼び捨てかよ。まぁ、許容範囲だな。
{実は、私も。}
私もぉぉぉぉぉ?
{未来視が使えるの。}
えええええええええええええええええええええええええええ。
俺は本当に驚いた。あいつも未来視使えんのかよ。俺はただただその事しか考えられなかった。ほんとかと、何度も疑った。しかし、紙に書かれていることは事実なはず、俺は疑心暗鬼になりながら、教室に戻った。
俺は席に着くなり、小さな声で、
「手紙読んだぞ。そういう意味だったんだな。」
小さく、頷いた。俺は再び席に着いた。
そして、再び俺の脳内に疑問が生まれた。
もしかして
高瀬も未来視使えんのか?