第二章5 再び
━━━━━夢の中━━━━━━━━
ん、んああ。目を覚ました俺はひとまず自分がいる場所を確認した。
「こ、ここは?」
今回は俺の部屋だった。日が昇り太陽の日差しが、俺のベットを照らした。
今回で三、四回目の俺はもう慣れていたため、今回のイベントが学校で起こるということまで推測がついていた。普段通り母親に呼ばれ、朝飯を平らげ、妹の香蓮を起こしに行った。
ここまでは俺だって分かっている。朝の特に家の中では何も起きないことくらい。
家を出たその時だった。玄関を開けるとそこを丁度、椎名が横切っていった。災難はまだ続く。椎名が俺のことを横目で見た。途端に顔色を変え走り去ってしまった。
最初は顔に何かついているのかと疑ったが、よく考えれば簡単なことだった。(あいつは俺のことが嫌いなんだった。)そのとおり。何一つ間違っちゃいない答えだ。したがって俺は今後何かがあるまでは椎名のそばに極力いないこと。それがこれからすべき行動だった。しかし、俺は良からぬ想像をし始めた。
(まてよ。今この状況において俺は椎名に近づくことが出来なくなっている。それは学校で何らかのイベントがあって、それで仲良くなっちゃうパターンのやつか。)俺の中では今日はさえているとさえ思っていたがそれはどうなのだろうか。
場所は学校に移る。俺と椎名は席に座り、ただただ本を読んでいた。しかし俺はとんでもなく悩んでいた。
(今この状況を見よ。俺と椎名の机が約5cmも離れている。他のところはすべて完璧にくっついているのに、これはやはり朝のことが原因なんだろうか。そしたら、一回やりなおそっかな。んー悩む悩む悩む悩む。)ずっと同じことをエンドレス状態で考えていた。決断したことは、やり直す。俺は左手の甲をつねった。
しかし夢の中から出てこれない。(やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。夢から醒められなくなった。えいっ右手の甲つねるか。)右手の甲をつねった瞬間俺は夢から覚めた。
━━━━━━━現実世界━━━━━━━
俺が目を開けると目の前に何かがあったが、何かは判断できなかった。体を起こすと、俺は自分の部屋の床に顔を伏せて寝ていた。
体を起こし自分の顔を鏡で見た。
「特にけがなどはしていないか。よし。しっかり、ベットで寝よう。」
その時、俺はまだ、重大なことに気づいていなかった。
━━━━━夢の中━━━━
俺は目を疑った。
夢の中で俺がいた場所は学校、しかも脳内ではやばい。という、一つの単語だけが飛び交っていた。
俺はあきれてしまった。(あああああああああああああああああああああああああああああああああああ。間違えたんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。明日学校やすもっかな。)右手の甲をつねると、この未来視の夢から覚められる。勿論左手の甲をつねればその地点でのセーブだ。
俺はセーブと覚めるのを間違えてしまったのだ。したがって出会うということが確定してしまったということだ。ミスをしてしまったのだ。夢で起きたことの記憶は朝にはもうなくなっている場合が多い。
記憶が残ることを祈って俺は夢の中を過ごすことに決めた。
そういう時に限って何も起きないのがこの世の常識だ。俺はあらかじめそのようなフラグを立てておいたが、本当に何も起こらなかった。嘘だろ!?と思うくらいに何も起きなかった。俺が予想していたことが何一つも怒らなかった。俺はいままで何もない。普通な日常でいいと思っていた。しかし未来視ができるようになってからはどうだろうか。何もない普通な日常が嫌になっていたのだ。徐々に俺のことを蝕んでいく。俺はそのことを………………
気付いていなかった。
━━━━━現実世界━━━━
俺は目が覚めた。
何分かボーッとして、目がやっと冴えてきたとき、したから普段通りに
「かなたーご飯よ。」
聞きなれた声が聞こえてきた。俺は一階の食卓へ向かった。今日はパンだった。バターを塗ってカリッカリに仕上げてジャムを塗って食べた。たまに出る食パンはいつもの朝ごはんより数倍おいしかった。内心、(こういう、ささやかなことを未来視できたらいいな。)という、いままでの、普通の日常が好きな俺に戻っていた。
妹の香蓮を起こし、自室に入り、身支度をこなした。階段を降り、靴を履きドアを開けた。
その時にはもう遅かった。椎名とばったり会ってしまった。
「お、おう。おはよう……」
「…………………………」
(うわぁぁぁぁぁぁでたぁぁぁぁぁぁ。無視かよ。貸しがあるからとか、言ってたのに対してそう思ってないじゃねぇかよ。)心の底から怒りがわいてきた。学校に着くまでの間、また訳の分からない作戦を考えていた。(んーまずは、作戦の名前だな。この前が………)傍からみたら、ただの変人としか思えないオーラを放っていた。そしてすべての考えが学校の下駄箱付近で決まったのだ。
{椎名へ怒りの超復讐}
~復讐内容~
1でたらめの情報を流す。
2あえて、家に毎日行く。
3無視
4ささやかになにかをする、
その四つが脳内にインプットされた。本当にしょうもない復讐だと自分でも感じていた。今回は上から順とかではなくそのような状況に陥ったときにその時に見合った内容のことをする。という、合理的?なものだった。
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
復讐開始を合図するチャイムが鳴った。
1時間目、2時間目と、どんどん時間が過ぎていく。考えることは出来てもそれを堂々と実行することが出来ないのがこの俺、鷲崎奏太だった。
結局、今日は復讐とやらは何もできなかった。(うわぁぁぁぁぁぁぁやっぱりだめだ。今日の未来視でとんでもなく大きなことをしてやる!!!。)かなり熱くなっていた。触ったら軽く手を引いてしまうくらい熱くなっていた。
口だけの自分に腹が立った俺はなんとなくだが、近くの公園のブランコを漕いで柵を飛び越えることに挑戦した。
刻一刻時間は過ぎてゆく。
思い切って飛ぶことにした。
「せーのっ!」
後に続いた音は鈍い音ばっかりだった。ゴン、ドテ、ガーン等様々ないかにも痛そうな擬音が続いた。俺は柵に足が引っ掛かり見事に顔から着地した。顔を起こし周りを見回すと、そこには帰宅途中の椎名がいた。俺はかなり慌てた。こんなダサいところを見られていたら、復讐したときに逆に懲らしめられそうになると踏んだからだ。すぐに状態を戻し何事もなかったかのように再びブランコを漕ぎ始めた。
それから何分立っただろう。自分の中では数時間経ったように思えたが、実際は12分だった。なんだか惨めな気分になり帰ることにした。家に帰り誰にも見られてないのを確認して、土で汚れた顔を洗った。
自分の部屋に入ると俺はいつも学校とは違う性格になることが出来る。そこには自分の世界が広がっているからだ。周りを見渡せば自分の好きな女の子たち(確認だけど二次元な?)が俺のことを見ているのだ。
そんな世界に入っているときは何かとんでもない優越感に浸ることが出来ているため、性格が変わってしまうのだろう。自分でも思ったが、椎名はメール、俺は自分の部屋にいるときに、{性格が変わる!?}
簡単には分からないが、絶対そうだという確証は持てた。そして無性に椎名にメールがしたくなった。
自ら地雷を踏むのは分かっているのだが、我慢できなくなってしまった。
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送信者:鷲崎
件名:今日のことについて。
本文:
お前、今日あの公園の横通っただろ?
あんとき何も見なかったか?
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なるべく起きたことを隠して言った。そして普段通りに秒で返ってきた。
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送信者:椎名
件名:あれは草生えたww
本文:
え、見たって、あれでしょw
鷲崎がブランコで飛んで失敗してこけたやつでしょw
あれはほんと傑作だった。
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(えええええええええええええええええええええええええ見られてたのかよ。)俺は瞬時に判断し再びメールを送った。
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送信者:鷲崎
件名:頼み
本文:
あのことは絶対に拡散しないで下さい。
お願いです。
まぁ、もし言ったとしたら
こっちにも切り札があることも
忘れないでくださいね。
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今回の返信は少し遅かった。