乙女にも黒歴史はある
「お嫁さんなんて、お嫁さんなんて僕はっ、ぜえええったい許しませんっっ!!」
青磁は極度の興奮状態でゼエゼエと息も荒く叫んだ後、ビシリと指を突き付けた━━━━何故かシグに。
「僕はっ・・・!!華ちゃんのセーラー服姿も、ミニスカブレザー姿も見逃しちゃってるのに!何でいきなりお嫁さん!?」
いきなり変態臭くなった。
「華ちゃん、ちっちゃい頃『青ちゃんのおヨメさんになるぅ~』って言ってくれたじゃないかああああーーーーー!!」
「いったいいつのネタ持ち出してんの・・」
幼児の戯言真に受けてんじゃねーよ。
「とにかく、この件に関して青ちゃんの口出しは一切無用だから」
「そっ、そんな━━━」
「娘が思春期を迎える多感な年頃から、ずっと行方を眩ませてたポッと出の父親に、世間の親並みの発言権があるとでも?」
「うっ!そ、れは・・・そうだ、けども」
甘やかすとつけあがるタイプの男に情けは無用。ここはひとつビシッと言っておかねば。
「言っとくけど私、青ちゃんとは“赤の他人”で通すから」
「そんなっ!どうして・・・」
「青ちゃん、周囲の人に何て説明するつもり?馬鹿正直に父娘だとか言って通用するわけないでしょ」
「・・・それはっ・・・そう、なんだけども~~~!!」
ガックリと項垂れてテーブルに突っ伏した青磁が、捨て犬が縋るような目でこっちを見上げてくるけど、それに絆されてたらお母さんの二の舞だ。
「華ちゃんっ・・・、華ちゃんが、僕の知らないところで悪い男に引っ掛かけられたりしたら━━━」
すでに現在進行形で不良老人に付きまとわれてまーす。
こっちはシグ一人でも手一杯だってのに、青磁にまで付きまとわれたら益々婚期が遠退く未来しか思い浮かばない。
青磁の実態を目の当たりにしたシグが『メンドクセー父親だな』と言わんばかりの視線をこっちに投げ掛けてるけど、手が掛かるという点ではアンタもどっこいどっこいだからね?
「それでその・・・華ちゃんは、隣の彼氏とは・・・・・つ、つつつ付き合ってる、のかな・・?」
ゲフン!ゴッフン!!
ちょっと会話が途切れたと思ったら、青磁がおかしな事を言い出した!!
「青ちゃん、━━━私の話聞いてた?誰と誰が付き合ってるってぇ!?私、婚活中だって言ったよね?」
「ほほぅ、そうきたか」
「ちょっとシグ!面白がってニヤニヤしてないで、アンタも訂正しなさいよ!誤解が深まるじゃない!!」
「だって華ちゃんっ・・、茜ちゃんと同じで面食いだしっ・・・」
流石は身内、趣味嗜好はしっかり把握されてる。
━━━だがしかし!私には顔面偏差値よりも尊ぶべきものがある!!
「・・・・・いい?青ちゃん。男の真価は顔じゃないのよ。どんなに顔が良くたって、働かない男を私は男と認めないわよ。私は生涯を共にする夫を、面の皮一枚の美醜を基準に選ぶつもりはないの」
「えっ・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
シグが無言で虚ろな表情浮かべてるけど、それはこの際どうでもいいとして━━━。
青磁ぃぃぃ?なにその驚いた顔は。
「華ちゃん・・・。推しのアイドルも確実に顔で選んでたあの華ちゃんが・・・!クラスごとに“一番カッコいい男子”をチェックして、一人で盛り上がってた華ちゃんがっ!!」
うっぎゃあああああああああーーーーー!!
なんてこと思い出させんのよぉぉ、このスットコドッコイがーーーーー!!




