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乙女に捧げる狂詩曲  作者: 遠夜
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乙女の決意は

スミマセン、短いです。

世の中は理不尽だらけだ。


私のこの異界落ちにしたって、納得のいく説明をしてくれる人なんか何処にもいやしないだろう。


そして残念な事に私は物語に定番の『親切なナビゲーター代わりの天使』や『チートをくれる神様』にも遭遇しなかった。


ならこれは突発性の事故のようなものだと思って、ここはひとつ何もかもキレイさっぱり諦め・・・・・・・・・・・・・きれるかバカ━━━━━━━━━━━━━━━━!!!




・・・どうも、華朱です。


オマエは一体ダレと会話しているんだ、という突っ込みは御容赦下さい。

只今心の平穏を求めるあまり現実逃避に走っております。


脱獄後のすったもんだの末、結局私はシグルーンと同行する事になった。

なった、というか、それしか野垂れ死にしないで済む方法を思い付かなかっただけなんだけども。

・・・ついでに私の生死に関する疑問も、泣き止んだ途端盛大に鳴った腹の虫で明らかになった。


私の泣き腫らした顔を見てなお、腹の音を「ギャハハハハ!」と笑ったジジィには、向こう脛を思い切り蹴飛ばして報復したけど、別の意味で腹の虫が治まらなくなった。


「ぷっ・・・いやいや、俺が悪かった・・・ぐふっ」


そんなにワザとらしく笑いを堪えながら言われてもねっ!


私はシグの顔を絶対に見ないようにしながら、彼の前をずんずん歩く。

幸い丈の低い草が生い茂る草原ステップに視界を遮る物は殆んどないから、迷子になる心配だけはしなくていい。


「━━━━ネージュ!足下に蛇がっ!!」


「ぎゃん!」


驚いて後ろに飛び退いた私が、手近なものに縋りついたのは正常な反応だと思う。


「蛇っ!蛇キライ!なんとかしてぇ━━━━!!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・ぷぷっ・・・!」


「うえっ・・・、ナニ!?━━━━━━━・・・え?」


「ぶわっははははあ!!」


「!!騙したなぁ━━━━━っ!!」


どこの小学生だ貴様ああぁ!!

遊ばれた悔しさでまた目尻に涙が浮かんできたし!

こっちはボカスカと力任せに拳で叩いてるのに、ちっともダメージになってないしで、更に腹立つ。


「いやー悪い悪い。頭の中身があんまり顔に出るんで面白くてなぁ」


どんな言い種!?熟年通り越して初老の紳士の台詞とは思えない。

こんななりして中身はコドモかっての!

姿は大人、頭脳は子供、果たしてその正体は━━━━━、って・・・何なんだろこの人。


自分の事を軍人だとは言ってたけど。

確かにそれっぽい格好はしてるけど。

・・・この服装ってどう見たって実用向きじゃないでしょ。

華美で装飾的、上着の丈も長め。おまけに勲章っぽいのまでジャラジャラ付いてる。

これって式典とかで着る礼装の類いなんじゃないの?


「なんだぁ?俺に見惚れてんのか?そーだろそーだろ、うんうん。世界広しといえど俺ほど見応えのある男はいねーからなぁ」


━━━━バカがいる。


確かに顔“だけ”なら伝説級レジェンドクラスだけど、この残念過ぎる中身は如何ともし難い。

私は出来るだけ早く独り立ちしようと心に誓った。



現在の私の状態が『生きている』というのなら、それが何処であってもやることは一つしかない。


『生き抜く事』


平凡で良いから、幸せな人生を全うしたい。

生きる場所が変わっただけ。


『人生なるようにしかならないもんよ、華朱』


お母さんなら、きっとそう言う。


「━━━シグ。男は顔じゃないからね」


「・・・・・お、おう?」


笑いを引っ込めたシグがキョトンとした顔になる。

あーうん・・・。顔は無駄に良いのよ、顔は、ね。


「じゃあ、取り敢えず色々と教えて欲しい事があるんだけど━━━・・」


私はこの旅の道中、まずはシグを質問攻めにしてこの世界の一般常識の強化を計ろうと決めた。






































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