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乙女に捧げる狂詩曲  作者: 遠夜
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乙女と生産チートの香り?

バスタオル一枚の姿で寝室に駆け込む羽目になった私は、取り敢えず大急ぎで着替えを済ませるとソッコーで顔の良すぎる不良ヤンキーを自宅から叩き出した。


階下の居間兼食堂リビングダイニングに降りてからも、ぶーぶーといつまでもしつこくシグが文句をタレていたので、今後あの部屋に無断で立ち入らない事を条件に、毎回お茶の時間にコーヒーを提供する事になったんだけど・・・。


乙女の部屋に断りもなく上がり込むとか、普通フツーありえないのはそっちだからからね!!




「それにしても良い香りだね。この『珈琲コーヒー』とかいう飲み物は。そのままだと苦味は強いし風味も独特だけど、砂糖や乳を加えるとぐんと飲みやすくなる」


「だろー?」


いつもなら朝のお茶の時間には、爽やかな香草茶ハーブティーの香りが漂っているはずなんだけど。今朝の居間兼食堂には香ばしい珈琲の香りが充満している。

ちゃんとミルで豆を挽いて淹れたやつだ。

どちらかというと紅茶党の私は、普段珈琲を飲む時はインスタントで済ませる事の方が多かった。

だけど最初にきちんと淹れた方の味を覚えさせてしまったシグは、インスタントの味は不満らしい。面倒臭いことこの上ない。

今朝だってこっそりネ○カフェで済まそうと思ってたら、わざわざ厨房に現れて「俺は違いのわかる男だ」としっかり釘まで刺しに来た。


「・・・ウィネスさんまで。そんなに気に入りました?」


「ああ、美味いよ。あんたの故郷には不思議な飲み物があるんだねぇ」


「多分探せばこっちでも似たような味の物は作れると思いますよ」


「ふぅん」


コーヒー豆自体は存在してなくても、黒豆コーヒーとかタンポポコーヒーみたいに、類似品なら色々できると思うんだよね。


「でもまぁ、あの部屋の物資って謎の再生機能が働くみたいなんで、この家の住人で消費する分は半永久的に賄えますよ」


ちなみに部屋の外に持ち出した分は消費すればそこで終わり。

再生するのは“あの部屋”の中でだけ、しかも初めからあの部屋にあった品に限定されてるみたいだった。

クローゼットの扉を開け閉めするたび、部屋が初期化されて元の状態に戻るという無限ループ。地味にチート臭い。


この数日、異界部屋の時間停止機能に興味を示したグウィネスさんと色々な物を持ち込んで実験してみたけど、後から持ち込んだ物に関しては時間停止の効果は働くものの、消費すればそれきりで再生されない事が判った。


「しかしだな、グウィンがあの部屋に出入り自由でなんで俺はダメなんだよー」


「・・・いまだに何をしつこくブータレてんのシグは。だいたいねぇ、“出入り自由”といったってウィネスさんはちゃんと私の了解を取ってくれてるから。シグみたいに黙ってズカズカ上がり込んだりしてないから」


「じゃあ俺もお前の許可を取ればいいんだな?」


「許可なんて出さないわよ」


「なんでだよー」


「・・・ったく。いい年齢トシこいたジジィが口を尖らして拗ねてんじゃないよ!あんたは子供かい」


超絶チョーゼツ美形のアヒル口・・・・・。


「いくら中身が枯れた年寄りだといったって、男が年頃の娘の住む部屋に勝手に上がり込むのはマズかろうよ」


「枯れっ・・・、俺ゃまだ現役だってーの!」


「そーかい。なら尚更マズイだろう?」


「チッ」


「あんたが心配してるような事は何も起こらないから安心おし」


「・・・るせェ、ババァ」


グウィネスさんとシグの会話の最後の方は、小声で私には聞き取れなかったけど、なにやらシグがきまりが悪そうな表情でフイと視線を逸らせて終了していた。



後になって知ったんだけど、シグはあの部屋が現れた時と同じようにいきなり跡形もなく消え━━━()()()()()()んじゃないかと、結構気になっちゃってたらしい。


一度シグの目の前で『天狼のお母さんにお持ち帰りされた』私としては、その節は御心配おかけしましたと言う他ないんだけど。


なんか最近、過保護の度合いが増してない?



某珈琲のCMネタ。とてつもなく古い。

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