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乙女に捧げる狂詩曲  作者: 遠夜
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乙女と不良とお爺様

シグの『絶壁ツルペタ』発言でヘソを曲げた私が席を籍を外していた間に、大人二人がどんな話をしてたのかは知らないけど。

どうにかこうにか荒ぶる気分を鎮めて私が居間に戻ると、しばらくの間この家に居候が増える事がもう既に決定していた。


この人達・・・初っ端から拳で語り合いとかしてなかったっけ?

明日にでもシグが叩き出されるものと思ってたんだけど、意外。


ちなみに私が居間に戻った時、シグは何故かまた山猫シグに戻ってて、不機嫌そうに尻尾で床をバシバシ叩きながら部屋の隅っこで丸まってた。


尚この後、予定通り街に出掛けたグウィネスさんが買い物ついでに男物の古着を見繕ってきてくれて、シグは晴れて裸族から普通の人間へと進化する事になる。





「━━━なぁ、おい」


グウィネスさんが出掛けて家の中で二人きりになった直後、シグに話し掛けられた私は反射的に振り向きかけてからある事を思い出し、そのままの姿勢で踏み留まった。


“獣の口では喋れない”


つまり今またシグルーンは裸族の状態だという事だ。


「・・・ちゃんとシーツ被ってる?」


「おう」


一応確認を取ってから振り向くと、シグはさっきのお坊さんスタイルで長椅子に行儀悪くふんぞり返っている。


・・・・・だから、なんでこういちいち仕草が不良ヤンキー臭いのよ、お爺様。


「魔女がいないうちにいっぺん確認しときたかったんだが、━━━お前は自分の意思でここに留まると決めたんだな?」


「うん、そう。でも多分ずっとじゃないよ」


「何?」


「だってウィネスさんに一生赤の他人の面倒をみさせる訳にいかないでしょ?いずれは一人立ちして自力で生活出来るようになりたいんだ」


「自力で・・・ってお前な・・・。その子供じみた姿ナリで一人暮らしなんかしてみろ、一人立ちしたその日のうちに人買いに持ってかれておしまいだぞ」


「その頃までに一緒に暮らしてくれる旦那様を見付けるからいいんですぅ~。ウィネスさんに将来有望な平均男子を紹介してもらうんだ~。ふっふっふ~」


「・・・普通そこは金持ちの御曹子が良いとか言うんじゃねえのか?」


「そうね、財力は大事よ。でも私はそこそこ稼げる人ならそれで充分なの。贅沢がしたいわけじゃないし」


私が人生の伴侶パートナーに求める一番重要なポイントは人柄。なんといっても誠実さだ。


「でもそんなのはまだ先の話よ。取り敢えずウィネスさんにみっちり仕事を教わらなきゃならないしね」


「仕事?」


「魔道具作りを習ってるの。私細かい作業とかの手仕事は好きだから、案外楽しいよ」


「ふーん・・・」


それからしばらく二人で色んな話をして、お母さんとチビちゃんにもシグを紹介した。

二頭と一人の間に微妙な距離感はあったけど、いきなり死闘バトルになるような事もなく、チビちゃんがシグの脛に噛りついただけで終わった。


『 ねぇね さっきおこってた しかえしー ! 』


姉思いの良い弟を持って私は幸せ者だ。



━━━だけどこの日の夜からシグは疲労が原因で二晩ぶっ通しで死んだように眠り続け、どこか具合でも悪いんじゃないのかと散々私に気を揉ませた挙げ句に、ようやく目が覚めたら覚めたで今度は、こちらの心臓が停止しかねない衝撃を与えてくれた。





シグが寝込んでから二日目の朝。


私がいつも通り台所キッチンで早朝のお茶の支度をしていると、客間の扉がガチャリと開いてペタペタ裸足で歩き回る音が聴こえてきた。


「あー・・・寝た寝た。頭はスッキリしたが今度は腹が減ってしょうがねえ・・・。おーい、何か食うもんくれー」


なんてシグルーンらしい言い草。

起きた途端にこれとか、心配して損した━━━━。


「はいはい分かったから、ちょっとそこに座って待ってて・・・・・」


ダイニングの椅子をガタリと引く音につられて後ろを振り向いた私は、そこで絶句した。



「・・・・・・・どちら様で・・・・・・・」



居間のテーブルにふてぶてしく陣取って居たのは、いつもの見慣れた不良ヤンキー老人じゃなかった。


「・・・何言ってやがんだお前は。こちとら腹減って死にそうなんだっての。頼むから早いとこメシ食わせてくれってー」


はあああああああぁーーーーーーー!?!?


・・・・・・・・面影は、ある。声も・・・同じ、ような???

つか、この非常識なまでに整ったイケメンヅラ!!


「・・・・・・シ、・・・シグ?」


「あ”?」


そしてのこの無駄に不良ヤンキー臭い言動━━━━━━━。




「なんで・・・・・なんで、若返ってんのシグルーーーーン!!!」



なんと、あろうことか超絶美貌チョーゼツビボーのチョイ悪お爺様が、正真正銘の現役不良青年ヤンキーに更なる爆弾進化を遂げていた。












































































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