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乙女に捧げる狂詩曲  作者: 遠夜
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乙女の知らなかった事情

「━━━ネージュ。このババ・・・女は昔、俺と同じで傭兵稼業をしてた時期があってだなぁ。同業者の間じゃかなり名を知られた要注意人物だったんだ!」


ようへい・・・よ━へ━・・・。・・・・・・・・・・。


「━━━って、『傭兵』!?」


「ナニ勝手に女の履歴をバラしてんだい、クソジジィ」


「普段は後方支援だけが取り柄の弱っちい魔女のふりをして、引っ掛かった敵は素手で瞬殺。乱戦になると面倒臭くなって味方も巻き込む勢いで極大魔法をブッ放して、付いた二つ名が『殲滅』

コレと仕事を組まされた連中は、毎回必ず家族宛に遺書を書く始末だ」


「・・・それは凄いというか・・・なんというか」


「俺が軍属になって傭兵稼業から足を洗った後、しばらくして名前を聞かなくなったんで、とっくの昔に死んだとばっかり思ってたんだが・・・。

━━━━なんだってお前はこんな面倒な奴に拾われてんだ!!」


「とばっちり!!」


なんでここでこっちに文句をよこすかなー。


「ウィネスさんがかなりはっちゃけた前歴をお持ちな方なのは分かりました」


「おや、それほどでもないと思うけどねぇ」


いやホントもう、予想外のプロフィールよ。


「でもね、シグ。私にとってウィネスさんは大・恩・人!お母さんがウィネスさんに助けを求めてくれなかったら、今頃私二度目の天国逝きを果たしてたところなんだからね!」


「・・・“誰”が、なんだって?」


「だから、おか━━━・・・あ、そっか。シグにはまだ紹介してなかったっけ。シグ、後ろの窓から外を見て」


「外?」


「うん。━━━あそこ見えてるのが『お母さん』と『弟』」



「━━━━━━━・━━━━━━━・・・・・・・・」



突然家の中に湧いて出るという非常識な現れ方をしたシグは、この瞬間初めて庭先で日向ぼっこをしている天狼親子の姿に気付いたみたいだった。


「いつの間にか養子縁組が成立してました」


「小娘えぇぇぇーーーーーーっ!!事の成り行きを洗いざらい吐けぇぇ!今すぐだ!!」



━━━━この後、トレンカの街で別れてからの顛末を、取り敢えずダイジェスト版でシグに説明する事になった。


天狼の巣穴に運ばれる途中で低体温症で死にかけて、お母さんに暖めて貰ったり雛扱いされたりして、ずっと世話を焼かれてた事。

それから更にまた高山病で死にかけて、お母さんのツテでグウィネスさんに助けられた事とか。


シグには「お前は何回死にかけたら気が済むんだ!」って呆れられたけど、不可抗力だよ!


「岩牢の次は獣の巣穴か。お前ぇもつくづく運が無い奴だな」


「薄暗いのと寒いの以外はわりと快適だったよ。あなぐらは清潔だったし、食べ物も運んで貰ってたし」


天狼は中々のキレイ好きで、寝起きする場所と食事や排泄をする場所がきっちり分かれてたから、臭いもほとんど気にならなかった。

一生住めるかと問われればそりゃ無理だけど。


「━━━━岩牢ってのは何の話だい?」


・・・あ。グウィネスさんにはそこら辺の説明を端折ってたんだった。


「えーと・・・、これにはシグの事情が絡むので、説明は本人からでお願いします」


シグは一瞬“しまった”という顔をしたけど、自分で口に出してしまっただけに誤魔化しきれないと思ったみたいで、観念してボソボソと事情をグウィネスさんに語り始めた。





「━━━━じゃあ、あんたが枕営業を断ってブチ込まれてた牢に、偶々何かの理由でハネズが“落ちて”来たって言うのかい」


一通りシグの説明を聞いたグウィネスさんは、しばらくの間目を細めて深く何かを考え込む仕草をしたまま固まった。

・・・まぁそうなるよね。突拍子も無さ過ぎる話だし。


一方のシグもシグで、時々首を捻りながらの説明になってたけど。

だって例の“何処でも○”の一件とか眉唾物の胡散臭さだ。

自分で説明しながらも『何言ってんだ自分?』みたいな気分になったんだろう。


「転位用の魔方陣が施された岩牢か・・・。大方表に出せない貴人を幽閉しておく為の場所だろうね。今となっちゃあんたもそこに該当する身分てやつだし」


「━━━?」


「なんだいシグルーン、その辺は何も教えて無いのかい」


「・・・・・・・・・」


何故、目を反らす。


「ハネズ。この男は自分の顔を利用して、女を後ろ楯にのし上がった典型的な成り上がりでね。世間じゃ『白狼将軍』といえば『ローエングラム女王の愛人』で有名なのさ。面だけは良いからあちこちで瓦版や読み売り小説の題材にされたりしてね」


「シグが『将軍』で、しかも女王様の『愛人』!?・・・てことは、シグ、女王様に手を出してブタ箱行きになったの!?」


「・・・人の話を聞いてんのか小娘!手ぇ出さなかったからブチ込まれたっつってんだろが。だいたいなぁ、相手はまだ十三の子供ガキで発育途上のお子様だ!頼まれたってその気になるか!!」


「女王様、若っ!?」


「あの国は先代女王が早世しててねぇ、今のところ先々代が摂政を務める形で実権を握ってんのさ。当代女王はまだお飾りで我儘放題の小娘だって話だよ」


「・・・まぁ、おおむねその通りだ」


「フフン。その先々代の女王の愛人だったあんたが、その孫の相手も━━━とくりゃ下世話な宮廷雀達の格好の噂の的だね」


「はああぁっ!?ナニそのただれ具合!!」


「あの頃の女王の愛人なんざダース単位でいやがったぞ。早世した先代女王が誰の種だったかは知らんが、実際孫みたいな年齢トシの当代相手に愛人ごっこなんざやってられっか」


「・・・うわぁ・・・」


これは完全に別世界の話題だ。


つか、これ以上そういう無駄情報は要らないし。












































































































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