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乙女に捧げる狂詩曲  作者: 遠夜
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涙がでちゃう☆だって乙女だもん(殺意)

「シグ、この近くにいるの・・・!?」


どういうことなんだろう━━━━━。

追われる立場になったローエングラムから逃れ、私というお荷物も消えた今、シグルーンは完全に自由の身。

今頃新天地で第二の人生を始めててもおかしくないはずなのに。

なんだってこんな山の中でウロウロしてんの。


私が訳も分からず混乱してたら、グウィネスさんはここで予想だにもしてなかった事を切り出した。


「うーん。いまひとつ状況がよく分からないねぇ・・・。少しばかりてみようか」


「“視て”・・・ですか?」


幻視げんしとか遠視とおみとか呼ばれる類いの能力なんだけど、あたしのは精度が低くてたいして役に立たないから、こんな場合でもなきゃ滅多に使おうとは思わないけどねぇ」


どれどれ、と気軽な感じで目を細め、何かに集中するように呼吸を整え始める。

肉眼で『見る』のとは別物なんだろうけど、色々とハイスペックなお人だ。




「━━━━━おや?今、何か交戦中の連中がいるね。山の民か山賊か、多勢に無勢・・・」


「えっ!?」


「なんでか一人だけ半裸の男がいるんだけど」


「は・・・」


なんだか無性に嫌な予感がした。


「あぁでも、この御仁かなりの腕っ節だ。全部返り討ちにして━━━━敵の衣類を剥ぎ取ってるよ、この男。・・・ったく、どっちが賊か分かったもんじゃないねぇ。追い剥ぎも真っ青の手際の良さじゃないか」


「・・・・・・・・・・」


「うーん、でもやっぱり細かい映像イメージまでは拾えないね。顔の特徴までは確認出来ないか・・・」


「なんかもう・・・そこまで聞いたら、わかりました・・・」



ナニやってんだあの不良老人ぃぃぃんーーーーー!!!



やってる事がこうもいちいち不良ヤンキー臭い上に、裸族とくればもう疑う余地もありゃしない。

どんな状況なんだか知らないけど!

どうせ嬉々として暴れ回ってるに違いないよ!!


呆れたのと無事なのが分かって安心したのと、なんだか色々な感情がごちゃ混ぜになって、頭の中にパンパンに膨れた風船が詰まったみたいな気分。


右も左も分からない世界で偶々出会って、思ってもみなかった急な別れ方をして。

もうこれっきり会う事も無いんだとばかり思ってたのに━━━━。



「なああぁにやってんのよ、あの王~~~~~~っ!!」



一瞬でもしんみりした私がバカみたいじゃないさ!

乙女の感傷を返せ!今直ぐ!!

このたぎる怒りをどうしてくれよう。


「出て来いヤああぁ!シグルーーーーン!!」


━━━━━と、思いっ切り叫んだら。




アラ、不思議。




目の前に見慣れた細マッチョのお爺様の姿がありました。




「シ・・・・・シグ・・・・・!?」




驚いたなんてもんじゃないけど、なんでかシグルーンの方が更に驚いたような表情をしてて、私と目が合うなりクワッと目を見開いた。


「・・・ネージュ・・・?」


「う、うん・・・」




「━━━━━━小娘えぇええ~~~~~っ!!」



ぎぃやあああァーーーーーっ!!

何故か半ギレでこっちに向かって突進かまして来てるしぃぃぃーーーーー!!


怖い怖い怖い!顔が良いぶんめっちゃコワイ!!





━━━━そして何故、上半身ハダカ!?





鬼気迫る表情で突進してきたシグの掌に、頭を鷲掴みされそうになったその瞬間、突如として背後から滑り込んできた人影によってその身体が派手に吹っ飛んだ。


「うぐっ!!」


何事!?と思ってその人影を確認すれば。

なんと勇ましく拳を構えたウィネスさんの姿がそこに。


「ウィ・・・ネス、さん?」



「うちの子に手ぇ出すんじゃないよクソガキ!!」



おおう・・・、シグがまさかの子供ガキ扱い!


「このクソババァ・・・いきなりなにしや・・・、、━━━━て、おま、グウィンか!?テメェ、生きてやがったのかっ!この死に損ないっ・・・がッ!!」


絶妙な角度で繰り出された二度目の拳が、今度は見事にシグの鳩尾に収まった。


「え・・・か、顔見知り━━━━!?」


ファイティングポーズで仁王立ちのグウィネスさんと、尻餅をついたままの体勢でお腹をさするシグルーンを交互に見比べて、私はただ唖然とするしかなかった。




「もしや・・・拳で語れるお友達!?」




「「そんなわけあるか」い!!」




イエイエ・・・・・呼吸はピッタリ合ってます。




















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