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乙女に捧げる狂詩曲  作者: 遠夜
153/156

乙女の旅は続く

“ぶらり旅”はその後も順調に続いた。


宿泊費0円の日帰り旅で、食事代と市場での買い物ぐらいにしかお金を掛けてないから、懐具合にはまだかなり余裕がある。

私もシグも贅沢品にはそれほど興味がなくて、買い物といっても地方の特産品とか実用品ばかりだし。


実は例の大暴走スタンピードの後、仕事を辞めて帰宅したシグが時折山を歩き回って回収した素材が吃驚するぐらいの大金に化けて、ちょっとしたにわか成金状態なのだ。


中でもナントカいう珍しい魔獣の、骨が変質して蛋白石オパールみたいな鉱物に変わったやつが激レアアイテムで、肋骨一本が街中に二・三軒家が建ちそうな金額で売れて、シグはほくほく顔だったけど私は腰を抜かすほどおののいた。


・・・丸ごと一頭分の骨を売却したら、いったい幾らになるんだろう、あれ。

怖ろしくて計算する気も起きないけど、天文学的な桁の数字になるのは間違いない。


その後シグと話し合い、例のブツを売り捌く時は小出しにして時期と場所が被らないよう徹底し、売り手(自分達)が悪目立ちしないように気をつけよう、という結論に至った。


魔力を持つ獣の中には稀に体内に魔核(石)が備わっているものがいて、それも充分レアなアイテムとして巷で取引されてるらしいんだけど、骨格丸ごと魔核(石)化したものとなると、もはや伝説級のお宝というか・・・。


売りに行った先では、肋骨一本分でもありえないサイズだと言われ、鑑定士にしつこく出処を問われたりして。

面倒臭くなったシグが『買い取りできねーんなら、細かく砕いて他所に持ち込むか』て言ったら、その鑑定士は真っ青になって『ウチで買い取るから砕くのは止めてくれ!!』と叫んで代金を即金で支払ってくれたけど、店を出た後店の人間に後ろをずっと尾けられた。


魔核の出処を掴むか、最悪パターンで支払った代金を回収カツアゲする要員だったのかもしんないけど、ハイハイご苦労さんー。すぐに撒きました。

人気の無い曲がり角を利用して、一跨ぎで自宅に直帰。

後の事はシラネ。



そんなこんなでお金には困ってない状態なんだけど、働かずに遊び回るだけの生活はどうにも自分の性に合わなくて、旅行ついでに行商人の真似事なんかを初めてみた。


いやね?たまたま出先でカカオ豆を見つけて、例によって粉に挽いた物と油脂カカオバターの状態の物を探し歩く過程で、『こういう物を作るから』と見本に“チョコレート様(改)”を市場の人に渡したら、『コレを売ってくれ!』とねだられて。


『これは開発中の商品だから売れないけど、別の甘味で良ければ』という話の流れになって、鞄から手仕事屋の商品を幾つか取り出して売ったのが始まり。


元々鞄の中は空で別宅に保管してる在庫を取り寄せるだけだから、手荷物を増やす必要もないから楽ちんだし。


でもって、入手したカカオマスとカカオバターはいつも通り、“向こう側”のチョコレートの品質に少しでも近付けるべく試行錯誤しながら改良に改良を重ねている。


一番最初の頃よりかは美味しくなってると思うけど、道具や技術の差も大きいから、再現に至るのはいつになる事やら・・・。



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