ブルーマウンテン
アラームの音で目が覚めると、微かな温もりがベッドにあるのを感じる。
またか...と半ば呆れつつも頬を緩め、私は隣に目を向ける。
「ちょっと青山さん!起きてください!」
隣の男、青山純一の体を揺らしてみるが、反応はない。
少しばかり苛立ちを覚えながらも揺らすのをやめる。
文句を言うのは後にしよう。
そう思いながらベッドから出て、薄手のパーカーを羽織ったあと、
コーヒーでもいれようかと台所へ向かった。
数分後、コーヒーの良い香りが部屋の中に広がり始め、
その香りに反応したように青山が目を覚ました。
眠そうな目を擦りながらも彼は、ベッドの上で私を求めた。
「ゆい...」
この人も仕事をしている時はカッコいいのだが…
苦笑しながら彼に近付き、その頬にキスをする。
頬にしたのが不満だったのか、彼は顔を近付けて続きを催促する。
それを手で制し、代わりにいれたてのコーヒーカップを顔に押し付けた。
「熱っ!!?ゆい...酷いよ…。」
恨めしそうにこちらを見る目が潤んでいる。
そんなに熱かっただろうかとコーヒーを口に含んでみる。
なるほど、これは確かに熱い。
少々罪悪感を覚え、気持ちばかりのキスをする。
すると青山は満足気に微笑んでコーヒーをすすり始めた。
「明日、晴れだって。」
しばらくして、食い入るように新聞を見つめていた青山が、新聞から顔もあげずに呟いた。
「そうみたいだねー。」
特に興味を引く内容でもなかったので、私は引き続きテレビを観ていた。
すると、いきなりドンッと背中に衝撃が加わったかと思うと、青山が抱きついてきた。
コーヒーの香りと彼の香りが混ざり、少しドキッとする。
「海...行こうよ。」
子犬のような目で見つめられて抗えるはずもなく、私は承諾した。
「いいよ。でも私は明日仕事だから、家で待っててね。」
彼の髪をなでて、しばらく見つめあって。
もうすぐ暑い夏が来るね。なんて言い合って。
それはとても小さくて、目に留めることもできないけど、
貴方とならそれもいいかもしれない。
こういうのを、俗に「幸せ」と表現するのだろう。
-終わり-
お読みいただきありがとうございました!
いかがでしたか?
ドライな女性×甘えた男性 この構図めっちゃ好きです!
とはいえ、このストーリーを書いたのが結構前なので、
文章的にも幼い部分があって恥ずかしいです(笑)
ちなみに、お気付きかと思いますが、「ブルーマウンテン」という題は、
登場人物の「青山」とコーヒーの銘柄「ブルーマウンテン」から来ています。
次回もぜひよろしくお願いします!