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Diary  作者: 海砂利水魚
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中学1年生 1

頑張れなかった。

中学1年生。初めての登校。初めての教室。

座席を確認すると窓際の1番後ろの席だった。

漫画の主人公みたいだ、と思った。まだ、自分が1番で、世界の中心である、という幻想から逃れきれないでいた。


クラスに僕よりも背の高い男の子がいた。

良かった、僕は1番じゃなくてもいいんだ。たったこれだけのことに、どれだけ囚われていたか。とても心が軽くなった。1番を演じなくてもいい。普通に立ち上がってもいい。

スポーツテストでは、念のために手を抜いた。しかし、加減がわからず、予定よりもかなり遅いタイムが出てしまった。1番でなくても良いが、ここまで遅いのは嫌だった。


隣の席には女の子が座っていた。可愛い子だった。少し喋りかけてみると、会話はすぐに相手の側から中断された。どうも僕を怖がっているような気がした。小学生の時、喧嘩の1番を守るために行った所業の数々が噂になっているからかもしれない。拒絶されたくなかったから、自分から話しかけることはもうしなかった。


ある日突然、告白をされた。

中学に入ってまだ一ヶ月。これで3人目だった。どうやら小学生の時の行いで、不良が格好良いと勘違いしている女の子を引き寄せてしまっているようだった。しかし、この前までの2人とはわけが違った。人形のように整った顔をして女の子だった。名前だけは聞いたことがあった。一時期、佳奈という女の子が可愛いという話題で持ちきりだったから。噂以上だと思った。僕は勢いでOKの返事をしてしまった。有頂天だった。クラスで囃し立てられてもニコニコしていたと思う。

次の日、教室に向かう途中に視線を感じた。そして話し声が聞こえてきた。

あの子が佳奈ちゃんの?うそー、釣り合ってない。

そう言い残し、2人組の女子生徒はいなくなった。多分先輩だったと思う。彼女らは僕の外見を見てそう言ったのだ。顔には少し自信があった。だから、かなりのショックを受けた。その日は憂鬱な気持ちで1日を過ごした。


告白されてから3日後。僕は振られた。

訳が分からなかった。とにかく驚いた。振られる、というのは初めての経験だった。自尊心を保つことができなくなった。常に吐き気がした。誰に対しても腹が立った。なにもする気が起きなかった。全てがどうでも良かった。

明日から頑張る。

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