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アテン神☆ぷりーず2 ~ファラオの冥界大冒険~  作者: ヤミヲミルメ
ツタンカーメンは亡き父と再会を果たす
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「ツタンカ――アテン」

「ラム筋肉すじにくよ、名は何と申すか?」

「おれは……」


 アテン神体操で激しく動いて、防護服のヘルメットがグラグラ揺れて、ツタンカーメンはこれが取り外せるものなのだとようやく気づいた。

 ヘルメットを脱ぎ、ずきんを直し、父の瞳をまっすぐ見つめる。


 ツタンカアメン(・・・)の名は、アクエンアテンの死後に、側近の提案で変更したもの。

「ツタンカ――アテン(・・・)

 父につけられた名前は、こっち。

 名前の意味は、アテン神の生き写し。


「それはまた、ずいぶんと大それた名であるな」

 自分でつけたのに、父は覚えていなかった。


(……アポピスの胃液のせいだな……悪霊達みたいに、胃液で記憶を溶かされてしまったんだ)

 わかっている。

 けど、悲しい。


「父親の名前は……アクエンアテンっ!」

「ほう! そちらは良い名前だ!」

「あんたのことだよっ!」

「うむ! アテン神のための者(アクエンアテン)とは、私への篤き信仰を示す、実に良い名前だ!」

(それが何で自分でアテン神を名乗っているんだ!?)

 息子は奥歯を噛みしめた。


 悪霊達は、本人にとって重要な記憶は残っていた。

(自分がアクエンアテンだって事実よりも、アテン神だっていう思い込みのほうが大事なのか……?)

 息子と過ごした記憶よりも……?


 防護服のせいで蒸し暑くって息が苦しい。

 けれどこれ以上は脱ぎ方がわからない。


「じゃあ――――――って人は?」

 ツタンカーメンは母親の名前を告げた。

「それも良い名だ!」

「そうじゃなくて! あんたが愛した人の名前だ! 愛したはずの人の名前だ!!」

「うむ! 愛しておるぞ!」

「!!」

「太陽神アテンは全ての人類を愛しておる!」

「そうじゃっ……なくてっ……」


 うつむいた視線の先で、二人の股間が発光して、悪霊を遠ざけ続けていた。


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