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アテン神☆ぷりーず2 ~ファラオの冥界大冒険~  作者: ヤミヲミルメ
ツタンカーメンは亡き父と再会を果たす
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「迷えるラム肉」

「迷えるラム肉よ! 我が光の教えにて救ってしんぜよう!」

 男の声にあふれる神々しさ。

 それ以上に強く感じる懐かしさに、ツタンカーメンの目が潤んだ。


 悪霊はあっという間に逃げ去って、ツタンカーメンと光る男の二人きりになる。

「ああ、哀れなラム肉達よ。何故に正しき光を拒むのか」

 悲しげな声。

 けれど自信は、信念は、少しも揺らいでいない。


「……あなたは……まさか……」

 ツタンカーメンはこの男を知っていた。

 幼い頃の記憶の中で。

(ダメだ……まぶしくて見えない……)


 ブヨブヨの足もとを踏みしめて、男の足音が近づいてくる。

「逃げぬのはお前だけだな、面妖なるラム肉よ」

「面妖?」

 確かに今のツタンカーメンは、時代的にありえない、防護服なんていう面妖なものを着込んでいる。


「異国の者か? 人ならぬ化け物か?」

「……おれは……」

「お前が何者でも構わない。慈悲の陽光ひかりは、全ての生命いのちを等しく照らす」


「……あなたは……あ……あ……」

 ツタンカーメンはおずおずと、ひさしにしていた指を開いた。

 光の主の、細面の顔。

 差し伸べられた手を見つめる。


「我が名はアテン! 太陽神アテンである!」

「違う! あんたは……!」


 本物のアテン神は、人間とはかけ離れた姿をしている。

 輝く円盤の頭部に、無数の光線の触手。

 ツタンカーメンとはすっかり顔なじみの神だ。

 けれど目の前の男は、顔も手も光ってはいない。


「あんたは神様じゃない!」

 それは悲痛な叫びだった。

 人の身でありながら神を、それも、よりにもよってアテン神を名乗る男。

 思い当たるのは一人だけだ。


「あんたの名前はアクエンアテンだ!!」

 ツタンカーメンは自分の目を守るのをやめ、その男をめつけた。


「あんたは、おれの前のファラオで!! おれの……おれの…………」

 幼い頃に死に別れた、実の父親。

 しかし純潔であるべき巫女に生ませた王子を実子と認めず、ツタンカーメンをあくまで養子として跡取りにした。

 本当のことを、最期まで、ツタンカーメンに伝えなかった……


 涙がにじむのはまぶしいからで、悲しいからではない。

 自分にそう言い聞かせる。


「あんたはただの狂信者だ!! アテン神本人のわけが……な……」

 その訴えは、ツタンカーメンが男の光源を確認したことで途絶えた。


 男はアテン神ではない。

 アテン神のように頭や腕が光っているわけではない。

 光源は、股間だった。

 股間。


「ぴょえええええええええええええっ!?」


 なぜ? どうして? 他の場所じゃダメなのか?

 考える暇もなく、ただ叫ぶ。

 こんなの悪霊じゃなくても逃げる。

 アクエンアテンの股間の光が、ツタンカーメンの瞳を直撃した。


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