第三話 夢叶との出会い
チュンチュン、と小鳥のさえずりを聞き牙狼は目を覚ました。外はすっかり朝日が出て賑わっていた。
「ふあ~...寝過ぎたなぁ。」
牙狼は立ち上がり背伸びをしながら夢幻倉庫でタバコを出し縁側で吸い始めた。しばらくタバコを吸っていると、一階の方から怒鳴り声が聞こえてきた。それを聞き一階に下りていくと人混みが出来ており全員が怒鳴りを上げていた。
「醜い亜人の奴隷の癖して給金ねだってんじゃねえよ!!!」
牙狼が人を掻き分けていくと二人の男が獣人の少年に殴る蹴るの暴行を加えていた。それを見た牙狼は何かが切れる音とともに暴行を加えている二人に吠えた。
「貴様ら何をしている。こんな小さい子供を殴って....何をしていると言っているのだ!!!!」
そう言った牙狼の姿は鬼のようだった。
それを見た男二人や罵声を上げていた者は顔を青ざめさせながら釈明しようとした。
「こ....こいつは亜人の奴隷でして給金など貰える資格は無いんでっ」
男の話を途中まで聞いた牙狼は怒りが振り切れ男を殴り飛ばした。殴り飛ばした男は壁を突き破り吹き飛び宿の裏に伸びていた。
男を殴り飛ばした牙狼はすぐに獣人の少年を抱き上げ治癒魔法を使うと血だらけになっていた顔や体、古傷がどんどん消えていき少年が意識を取り戻した。
「う..うん?おじさんだれ?」
「よかった。目ぇ覚めたか身体は何処も痛くねぇか?」
「うん。大丈夫だよ。助けてくれてありがとう。ねぇおじさん姿が変わってるよ。」
話している間にどんどん牙狼の姿が変わり獅子のような顔に変わっていた。それを見た周りの野次馬達は腰を抜かしていた。
「ひぃぃ金獅子族だ殺されるに...にげろぉぉぉ」
といい一人逃げ出した途端また一人また一人と逃げ出して行った。
牙狼は気絶していない方の男に声を掛けた。
「この子は俺が引きとる文句は無いな。もしお前らが言う他の亜人に手を出してみろ次は殺す。」
「は...はひ。わかりました。」
男は顔を真っ白に染めながら声を搾り出すように答えた。
これを聞いた牙狼はそのまま自分の部屋に戻った。
「そういえば坊主。お前の種族と名前聞いてなかったなぁ俺の名前は牙狼だ。」
「僕は白兎族だよ!名前は無いんだ..そうだ!おじさんがつけてよ。」
「名前かぁ.....よし!決めたぞ。お前の名前は『大和夢叶』(ヤマト・ユウト)だ。お前の夢が叶うように願いを込めた。どうだ?」
「うん。ありがとう。気に入ったよおじさん僕絶対夢を叶えるよ。」
夢叶は嬉しそうにニッコリと笑った。
「夢叶、気を悪くするかもしれんが聞きたいことがある。お前以外に獣人わどのくらいいるんだ?」
「僕以外には子供が五人と大人が300人位だったと思うよ...」
「ごめんな、辛いこと聞いちまって。明日この街を出る。もちろん他の獣人達も連れてだ。」
それから街を夕方になるまで牙狼達は獣人達に購入予約を付け宿に帰り就寝した。
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