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5話 モンスターとセラ 2

セラの体からは蒸気が出ていた。体中が真っ赤になった状態までなると、腕を組みをはずしまるで武闘家のような構えをした。空手、ボクシング、キックボクシングどの格闘術でもない構えだが、完次のセラが取った構えは何度も見たような構えであり、そして凄くかっこよく見えるでのあった。


人間なら相手に異変があった場合は警戒するだろう。だが、モンスターであるゴブリンが再び襲いかかてきたのだ。


セラとの3mほどの手前でゴブリンはセラに飛びかかるためにジャンプをした。今度は、盾にすっぽりと隠れた状態でゴブリンはセラに飛びかかってきたのだ。


あまりに、単純な動き。これなら、この中でも一番弱い完次でもバッドでも持っていたら一撃を与えれるほど簡単であった。


しかし、今度は一匹ではない。セラの死角になっている茂みにもう一匹ゴブリンが隠れていたのだ。最初に襲い掛かってきた一匹よりかは若干身長が低く軽装備のゴブリンが地を這うように低い姿勢でセラに持っていた小型のナイフで切りかかろうとした。


小型ゴブリンが茂みから出てきたこ瞬間、盾に隠れていたゴブリンも盾から姿を現し短剣をセラに向かって振り降ろした。二匹同時に違う箇所を攻撃を仕掛けてきた。これだと完次は間違いなくどちらかの攻撃をまともに受けることになる。

 

・・・ 危険だ ・・・


二匹は危険だと感じて完次はセラに声をかけようとした。仲間であるはずのケイトとルーネは完次の側から離れようとせず、セラの援護を一切しようとはしなかった。そんな二人に沸々と怒りがこみ上げてる。


なぜ助けないのか? なぜ守ろうとしないのか? セラの死角から襲っているゴブリンをなぜ倒そうとはしないのか? 完次にわからない 仲間を守ろうとしないのか まったくわからない わからないが自分を守ろうとしてくれる人を見殺しにはできない。


「なんで助けようとしないのだ。」


完次はケイトとルーネに怒鳴り、ケイトが持っていた拳銃を奪い取った。


完次は迷わず引き金を引いたが、途中で引き金が硬く止まった。安全装置が作動したのだ。だが、完次はそんなことがわからない。銃に関しても無知な完次は何度も引き金を引こうとしても銃弾が出ない事にも苛立っていた。


今の完次にはただセラに向かって叫ぶことにしかできなかったのだ。


「セラ 危ない もう一体いるぞ」

 

完次の声はセラに届いてないのかセラは飛びかかっているゴブリンにしか見ていない、そして先ほどの体勢から一向に動こうとはしなかった。

 

・・・ 駄目だ。 気づいていない これでは食らってしまう セラが死んでしまう ・・・


「セラあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


完次は自分でも驚くほど大きな声を上げた。人生で初めてここまで大きな声を出したのかもしれない。それだけ必死なのだ。なぜ必死なのかわからない。まだ出合って数週間のセラになんでここまで必死になれるだろうか。だが、完次はセラに死んでほしくないと強く思っているのだ。



完次の叫び声よりも大きな鈍い音が完次の耳に入ってくるのと同時に完次の横を何かが通過した。


先ほどまでとは違い何かを撃ったような体勢になっているセラ。そして先ほどまで優勢だったゴブリンの姿がどこにもない。


恐る恐る、横にを過ぎ去ったモノを見ようと後ろを振り返ると、ケイトがニコっと笑っているのと道の真ん中で泡を吹きながらピクリと動かないゴブリンの姿が見えた。


もう一体を探そうとキョロキョロと見渡すと、先程までなかった道の先にある大木にめり込んでいた。


ゴブリン達はセラに殴り飛ばされたのだ。しかも、2匹同時に正拳突きで吹き飛んだように見えるほど早正拳突き、ダメージも相当の物だったゴブリン達は地面で泡を吹きながら倒れ、体に小さな拳の痕がくっきりと残っている。


セラが深く息を一つ吐くと、強くそれは強く地面が揺れるほどセラは踏み込んだ。地面が揺れると周りの木々は大きく揺れる果実がなっている木は果実を落とし、枯れかかっている木は倒れてしまった。そして、茂みから飛び跳ねるように一匹のゴブリンが逃げっていく。


「一匹のみか? なら この技をやってみるか?」

完次の方を見てにかと笑った後、上半身の赤みが右手に集まっていき右手は光り輝くほど赤く燃えているように見えた。


「私の右手が 光り輝き 完次と一緒に夢を掴めと叫んでいる」

セラに背中を向けて全力で逃げていくゴブリンに向けて右手を突き出した。そして、セラから音楽が流れてきた。その音楽を聴いた瞬間思わず口にしてしまった。


「勝った。」

 

セラは完次のその言葉が聞こえたようで少し笑った後、ゴブリンに向けて走っていった。まるで風のように早くゴブリンに突撃をしていく。走っているセラは本当に風のようで、セラが通った所は草木が伐採されていった。



【一握くぅうううううううううううううううううう】


セラは技名を叫びながら走っていく。そして、あっという間に全力で逃げていたゴブリンはセラの右手に捕まった。そして、軽々とゴブリンの頭部を持ち上げる。持ち上げたられたゴブリンは、もがき苦しんでいた。セラの手が熱いのか、握り潰そうとしているセラの力が強いのか見た目だけではわからないだろうが、完次はこの技を知っている。この技は、高熱で相手の頭部を握り潰す技だ。


【必殺!!!!!!!!!!】


ゴブリンの頭はトマトを潰したように簡単につぶれた。そして、頭部に詰まっていた物が弾け飛ぶ。血のシャワーを浴びたように、セラのオレンジ色の髪が真っ赤になっていた。


そんなセラの所に、全力疾走で走って行く完次がいた。

嬉しそうに笑っていたのだろう。気持ちが高ぶっている。大人が笑いながら走っていたら気持ち悪いだろう。だが、そんな事を理解していても笑顔になってしまう完次。本当に嬉しいのだ。自分が好きなロボットアニメの必殺技が目の前で見れたのだ。興奮してもおかしくない、笑いながら走ってもおかしくないとと完次は思っている。


「セラ 今の技・・・」

「あぁそうだよ ロボットキングシリーズの<ガッツ> 主人公機の必殺技だよ」

思わずがっちりセラの手をがっちり握ってしまった。


「セラ お前 ロボットキング知っているのか?」

「知っているも何も私たち全員好きだぜ ロボットキングシリーズ 私は<ガッツ>が好きだぜ それより完次・・・・」

「俺も<ガッツ>が好きなんだよ でさ・・・」

「完次!!!手大丈夫? 」

完次は話に水を差された気分になって嫌ではあったが、セラは俺の気遣っているように見えた。冷静になる手が物凄く暑いのに気が付く。


「あっつ!!」

急いでセラの手を放す。手をバタバタをして冷ましていた。


「大丈夫か? 冷却中だったから火傷はしないと思うだが 平気か」


セラは完次の手を診てみようと思うのが自分の手がまだ少し熱いと思い完次の握ろうか戸惑っている。その姿は普段の男らしい仕草ではなく、可愛らしい大人しい女の子が心配するようであった。普段男らしいセラが女の子らしい行動をすると、ギャップというものなのか可愛すぎる。完次は初めてギャップ萌えというものを味わっった。


「完次さん とりあえず私に診せてください」


いつの間にかケイトが背後にいる。いつからいたのか、わからないが気配がまったくないのも恐ろしく思えたが、自分のために必死である事はケイトの姿を見てもわかる。いつも冷静であるケイトが救急箱から包帯を取り出し、まるで重傷者のように手を包帯をグルグル巻きにしていた。


「これで大丈夫です 軟膏を塗りましたし ガーゼも新品です これで平気です」

「ケイト これくらい平気だぞ 少し火傷したくらいだから ほっておけば治るぞ」

「駄目です!! 火傷軽傷でも皮膚が弱っています もしそこからばい菌等が入っていたらどうするですか 」


ケイトは過保護すぎるところがあるが心配をしてくれることは事実だ。何でも過ぎることは良くない事だ。自分にも言えるのが情けない所だ。


「わかった。 気を付けるよ ケイト 心配してくれてありがとう それにセラもありがとうな 戦ってくれて 助かったよ ありがとうな 」


「初めての実戦だったけど うまくいったな これでこれからは完次も安心しくれると嬉しいぜ うちらが守ってくれるってちょっと信じてくれよな 」


こっちのセラはかっこ良い。この言葉を聞いて普通の男子や女子なら信じようと思うのだろうが、完次は少し違うのかどこか信じれないでいる。やはり自分はダメだと思うと同時に信じれない自分が情けないと思うのであった。


「そんな顔をするな 完次 人を信じて一度裏切られた事がある人がもう一度信じる事は勇気も必要なことだ 自分を下を見るな 完次はすげえーって私たち知っている」


セラは、作業着の上着の袖で汗をぬぐった。汗と言ってもロボットからは汗が出ないので先ほどまで出ていた蒸気が体に付着していたのだろう。


「お疲れ様です。セラ姐さんさすがです」

 

ケイトがセラに綺麗に畳まれたタオルを渡してあげたのだ。綺麗に畳まれたタオルを広げてみると見慣れた少しボロボロのタオル。


・・・ もっと 綺麗なモノあるのに いいのか それに俺がつかってたやつだし ・・・


「おぅ ありがとうな」

 

セラは何も気にすることなくケイトからタオル受け取り、たくさんの蒸気が付着した体を拭いていた。【汚い』『こんなの使えない』とか言われずに心痛まなくて済んだ完次は、セラが少し男よりの性格をしていてよかったと思った。


上着を脱ぎサラシのみとなった上半身、サラシにも少し汗が染み込みいつもより胸の輪郭がはっきりと見えてしまっている。普段は男の子ぽいのにセラは出てるところ出ている体型をしていて、女性からも男性からお焦がれるようなスタイルをしている。完治も、もちろん見惚れてしまっている。


「エッチ」


完次は、自分の直ぐ傍にいるフードかぶったルーネが声を発するまで全く気がつかなかったのだ。いつからいたのかと詮索をしようにもセラに見惚れていた完次には不可能なものだった。


そんな完次にルーネはきつい一言を言い放った。もっともである。完次は、慌ててセラから視界を外し違うところに向けた。


「なんだよ 見てたのか まぁ完次なら見られてもいいけどな」


セラはそう言いながら胸を張っていた。堂々としていも誰もが羨むスタイル、決して恥ずかしくないものだが、セラはその行動と逆に顔は真っ赤となって恥ずかしそうである。


「完次さん そういう時はセラの体は綺麗だとか言うものですよ 女性は男性から褒められると嬉しいものですから」


ケイトは微笑んでいた。微笑みくれるケイトは手を前で組み胸を寄せいていたが、完次はケイトの姿を見ようとするとルーネの視線を感じるのでケイトの姿直視することを辞めた。


「エッチ」

「ケイトのは見れなかった」

注意を受けると今度は正直に答えた。見たかったけそルーネの視線が気になり、少ししか見れなかったのだ。


「見れなかった ということは 見たい 気持ちが ある エッチ」

今度は、何も言え返せなかた。ルーネに完次の心理を読まれたからだ。完次が何も言い返さないのを確認すると、本を広げ読み始めた。


そして、自分の都市の半分も行かない娘に自分の恥ずかしい心理を読まれた今の顔が間違いなく顔が赤くなていることが自分でもわかっていた。


「完次さん 見たからいつでも言ってくれればいいのです 私のでしたらいつでも見放題ですから」


ケイトは、そう言いながら胸を強調しながら完次に近づいてきた。このように、アプロ―とされるとどう対処すればいいのかわからない完次は、戸惑ってしながらケイトとの距離を取ろうとして後ろに下がることしかできなかった。


女性にいじられるのは初めてだったのだ。学校は男子校、仕事場にはお客としてたまに女性が来る程度だった。女性に対してこの時にはなんて言い返せばいいのかわからなかった。


その時に、ケイトに向かってタオルが投げ込まれた。もちろん、タオルを投げたのはセラであり、タオルを投げ込まれたと後、ケイトの手元に綺麗に畳んれたタオルがある。一瞬でどうやって綺麗に畳んだかは理解はできなかったが、ケイトとセラがバチバチとにらみ合っている事だけは理解できた。


しばらく沈黙が続き、空気が悪く感じたので完次が重い口を開けた。


「あと少しで鉱山だから皆さん先に進みましょう。」


空気が重すぎて、思わず遠足の先生みたいな口調になってしまったが、完次がその言葉を発すると、セラ達は睨みあうのは辞めて、セラが先頭で歩き始めてそれに続くようにケイトとルーネが歩き始めた。


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