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4話 モンスターとセラ 1 

アサゲ村を出発した完次一行は村長が教えてくれた鉱山へと異世界での初めて冒険を始めたのだ。鉱山はアサゲ村から歩いて三時間ほどの距離の所にある。

 

魔物に遭遇する恐怖に脅えている完次は、生物探知機とにらめっこしながら道中をビクビクと歩いている。魔物と戦うの事が怖くないのか余裕のある様子で先頭を歩いてるセラ、完次の横を無口で歩き表情が一切見えないようフードを深くかぶっているルーネ、一歩下がって周辺に気を配りながら歩いているメイド服のケイト。完次はこの三人の間に守られるように配置されている。


これは、村を出る時に三人からのお願いであった。【私達から離れない事及び一人で行動をしない事】【道中は私達の誰か二人の間にいる事】これらを守ってほしいと三人から何度もお願いをされていた。完次も自分の事を守るためだとわかっていたのでこの約束を守ることを三人に約束をした。


約束をした後、完次達は村を出たのだが、会話という会話をしていない。最初の方はセラが気さくに話しかけてくれていたが、ケイトに注意というか怒られていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「セラお姉様 少し静かにしてもらってもいいですか?」

「どうしてだ? 旅は楽しく っていうじゃん」

「はぁ セラお姉様 これは旅ではありません 冒険です 冒険では危険が付き物です 些細なことで命を落とす つまり セラお姉様の大きな声はモンスター達に私達がここに居るって教えているモノです」

「モンスターにあったのならうち等がぶっ倒せばいいじゃん」

「モンスターが単体なら セラお姉さまが相手にすればいいのですが 複数若しくは強敵だった場合 どうするのですか? まさか何も対策してないとか言わせませんよ 完次さんに身に危険が及ぶ これがどれほどの事かわかりますか? 」

「うっ…」

「もしも何もお考えないのなら黙って先頭を歩き 目の前に出てきた敵をなぎ倒したり 完次さんが逃げる時間を稼いでください 」

「そこまで言う必要ないじゃん」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


と、怒られて以降、セラは完次に話しかけず静かにしている。ケイトに怒られた時に頬を少し膨らませていたように見えたので拗ねているのかもしれない。だが、これ以降誰も話すことなく黙々と村長に教えてもらった鉱山へと向かっている。


逆に、完次の隣にいるフードを深くかぶった少女ルーネは、この道中一言も話していない。むしろ、自己紹介をしてもらった以降話をした事がなく、どんな声をしていたか忘れそうかくらいに無口な娘だが、完次の側から絶対に離れないようぴったりと完次の側についてくる。まるで二人が手錠で繋がれているみたいに共に行動している。


少しルーネとの距離を空けると、その分ルーネが距離を狭めてくる。守ってくれることを理解してるが、互いの手が触れそうなくらいの間しかないと、いつかルーネの手が触れそうになる。そんなことになったらこの少女に怒られるかもしれないし、歳が一回り違う男性に触れられるなどルーネくらいの歳の娘なら嫌に決まっている。なのに、近寄ってくるので手や体が当たらないように生物探知機を両手で持ち体が当たらないように歩いている。


ケイトは、完次の後ろを恐ろしいくらいに静かに付いて来ている。後ろを振り向かないと本当に付いて来ているのか疑問になるほど静かである。確認のため一度だけ後ろを確認をした時には、「完次さん 何か御用ですか?」と笑顔で聞かれる。その時は、「特にはない」と答えたが何度も後ろを振り向きたくなるほど静かで、モンスターに襲われてないか確認したくもなっていた。


完次達は異世界に来てモンスターに遭遇したことは一度もない。だから、どんなモンスターが来るのかわからなかった。完次が想像するモンスターには、背後から静かに近寄り悲鳴を上げる前食い殺す獣型のモンスターや、まるで大きな壁のようなモンスター、空を自由に飛び急降下して獲物を捕らえるモンスターなど様々が頭の中にある。どのモンスターも凶悪で、女性三名と貧弱な男性一名が太刀打ちができないようなモノばかりであった。


完次は、そのモンスターの数々に襲われないよう。生物探知機を眺めているか反応は一切ない。反応が一切ない探知機を眺めて二時間くらい経った頃だ。誰かに肩にポンと触れられた。思わずうわっと大きな声を上げた。


「ごめん ビックリさせてしまったようだな ごめんごめん まぁ緊張するのはわかるけど、完次は私が守るから平気だ。絶対に平気だからな」


肩を叩いたのはセラだった。元気な笑顔を見せてくれていて、その笑顔を見ていると気持ちがほぐれていき、安心をした。〔セラが守ってくれる〕絶対安全とまでいかないが、セラならやってくれそう気持ちになる。ウキと井戸の時もそうだったがセラは、正義のヒーローみたく守ってくれる。だから、安心するのかもしれない。


もしも、完次が女性でセラが男性ならここで恋をしている。そして、男性の完次は自分が脅えていた事に少し情けないと思うのである。



こういう性格だったらもっと違う生き方になっていたのかとか考えたが、そんな事を考えてもすぐさま無駄と思った。性格というものはすぐさま変わらないのだから。


「ありがとう それとごめんな」

「いいってよ 完次は鉱山でお宝ゲットすることだけを考えてればいい モンスターと戦うのは私 そしえ完次は絶対に死なない それだけはわかってくれればいいさ 命の心配はするな 私が何が何でも守るからよ」


完次は惚れそうになるのと同時に恋する女性だった場合の完次はここでセラに完全に堕ちていた。


心がポカポカと温かくなり安らぎが生まれると、心に少しゆとりが出来るようになり先程まで思いつかなかった事が思いついていた。確かにセラの言う通り、このまま無事に鉱山についたら宝があるかもしれない、その宝が巨大ロボットができる材料になるかもしれない。はたまた、巨大ロボットが眠っている場合もあるかもしれない。その場合は分解をしてどんな造りになっているのか興味があるが願望としては、鉱山には材料の宝庫で1から造りたいところであった。


少し冷静になると、完次の視野は探知機以外のモノが入ってくる。辺りは森林で、木々の隙間から大きな山々が連なっているのが見えた。あれこそが村長が言っていた鉱山であろう。あと少しのところまで来ている事に気が付いた。


だが完次達がいる道のすぐ横には、いかにもモンスターが出てきそうな茂みが一面に生えているだ。およそ1メートル腰ぐらいまで生えている茂み、鉱山は見えているが空を覆い隠すような木々。それらすべてが不気味にユラユラと揺れているようにも見えてくる。


しかし、鉱山の入り口付近には昔採掘者達が作った小さな集落があると村長から聞いたが、いまだに存在するのかわからないが、鉱山の入り口は森林から解放された大きな広場となっていることに違いない。


小さな集落があったならそこで休憩を取る、無くなっていた場合は、安全な場所を確保しそこで休憩をすることにしていた。どんな場合でもそこで休憩を取ることになっている。


あと少しで休憩に入る、あと少しで目的地鉱山に入れると考えていると完次の足は前と一歩踏み出そうとしていたが、完次の視界にセラの手が入ってきた。この手のポーズは【警戒】を現している。完次は急いで生物探知機を見てみたが何も反応がなかった。 


セラ達の顔つきが変わった。今までも警戒してくれていたが、警戒レベルを上げたのだろう。セラは腰を落とし、ケイトは完次の背中に自分の背中を合わせ後方をくまなく見渡している。そして、ルーネは完次の手を取り、左右をくまなく敵がいないか確認している。


完次の心臓の音がバクバクと高鳴りをしていた。周りに聞こえてるのではないかと思うほど鳴っている。どんな凡人でもわかる程、異様な空気であることを感じ取った。そして、完次はモンスターと戦うことになる覚悟を決めた。


深く深呼吸をとった。先ほどみたいに大きな声は出したくない。どんな恐ろしいモンスターがでても、セラ達の言う通りに動くようにした。


探知機に動きがあった。完次達以外にも反応が見えた。反応があった方角に目をやると奥の方で茂みがガザガザとで動いてるのと、動く影のようなものが見えた。


茂みがあるのでだいたいの高さがわかる。それほど、大きなモンスターではないことがわかった。大きくて1メートル50センチ。身長が高い完次よりも低いモンスターである。その影を見ると巨大なモンスターでない事に少し安心をした。しかし、その影は素早く完次たちの方へと向かってくる。


ガサガサと茂みが揺れる音が大きくなるのと、後ろの方でカチャという音が聞こえた。おそらく、ケイトが拳銃で撃つ準備態勢に入ったのだろう。セラは迫りくる音の方に構えていた。 


バサッ


茂みから出てきた影は先頭にいるセラに飛びついてきたのだ。


飛びかかってきた影は、短剣みたいな物でセラに切りかかった。


だが、セラはその一撃を片腕で防いだのだ。影は防がれた事を確認をすると距離を取り低い姿勢で完次達に姿を現した。


完次は、そのモンスターを見て、ゲーム等に出てくるあのモンスターに似ていることに気が付いた。

 

ゴブリンだ。


緑色の肌をしていて、小さく、耳も尖がっている。ボロボロの皮状の服を着ている。あれは間違いなくゴブリンだ。


そのゴブリンは右手に短剣を握り前に突き出し、背中に備えてあった盾を左手に装着をした。


意外にも完次でもわかるくらいにゴブリンの表情見てわかるモノだった。モンスターであるゴブリンの表情がわっても別に得した気分になれないが、ゴブリンの顔が驚いているように見えた。


おそらくあのゴブリンは、あの一撃で相手に重傷又は殺せると思っていたのだろう。しかし、その一撃は、セラに傷一つできなかった。


それどころか、鈍い音と同時に片手でゴブリンの全体重が乗った一撃を押し返す形となった。ゴブリンの装備はどれも人間が作ったもので、おそらく人間を殺したのか奪い取ったのものであろう。短剣は研がれているものでないし、盾も凹みが見られる。布製の防具も何度も修理したのであろうボロボロとなっている。しかし、このゴブリンは弱そうにも見えない。


おそらく何度も人間と戦っているのであろう。だから、装備もボロボロになっているであろう。何度も人間と戦っていたからわかるのであろう。目の前にいる女性が、今まで戦ってきた人間より強い事を。


ゴブリンはまるで獣が威嚇する時に鳴くような唸り声を上げている。そして、人間から奪ったであろうボロボロの盾で身をすっぽりと隠した。


「なんだもっと強いやつかと思ったら全然弱いじゃん。」


ゴブリンはセラが言ったことが理解できたのか顔がクシャリと怒った顔になった。


「んじゃ こっちも戦闘モード切り替えるか」


セラは、仁王立ちしながら腕を組みをする。


セラから物凄いエンジン音と共に体中から蒸気が発生すると



麦色の肌だった部分が 赤く 


さらに赤く 


そして鉄が熱を持っているような色までになる。


相手の異様な様子にゴブリンは後方に飛びセラとの距離を取った。


セラはゴブリンの様子見てクスリと笑うのであった。

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